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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

36 移動基地篇

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36-09 ランド活躍

 ランド隊の標準装備は『超高速振動剣バイブレーションソード』である。この武器の威力は高く、ほとんどの物質を斬り裂くことができる。
 が、『手加減』が難しいため、今回は携帯していない。
 代わりに今回装備しているのが『十手』だ。
 ハイパーアダマンタイト製で、直径20ミリ、長さ50センチ。
 そのままでは重すぎるので、中空にして軽量化を図っているが、それでも20キロの重さがある。
 この重さのため、素早さを要求される1対10の戦い時には使えなかったが、今回は違う。
 それを用いて、ランドたちは敵ゴーレムを迎え撃った。

 振り下ろされた剣を十手で受け止めたランド11は、そのまま手首を返した。
 十手の鉤部分に挟まれた剣は、梃子の原理で簡単にへし折れる。
 剣を失った敵ゴーレムは後ろに下がり、代わってもう1体が盾を構えて突進してきた。
 一部で『シールドバッシュ』と呼ばれる、盾で殴打する戦法だ。
 ランド11は辛うじてかわしたが、横合いからもう1体が同じようなシールドバッシュを仕掛けてきたため、それを喰らってしまう。
 体重差では倍くらいある相手からのシールドバッシュに、ランド11は弾き飛ばされてしまうが、その俊敏さと身のこなしを以て、転倒することなく体勢を立て直すことができた。
 だが、さらにもう1体の敵ゴーレムが剣を突き出してきた。
 辛うじてそれを十手で弾くランド11。
 今はなんとか凌げているが、劣勢なのは明らかだ。

 そしてランド15もまた、苦戦していた。
 剣と盾を持った相手に徒手空拳は効果が薄いため十手を使っているが、そのためランドの速度が若干落ちてしまうのは否めない。
 それにより、数の劣勢をはね返すには今一つ決め手が足りなくなるといった状況だ。
 ランド12と13が参戦できれば、一気に逆転できるのだが、動けなくなった仁の分身人形(ドッペル)(仁D)を庇い、ついでに『ヘレンテ』も守っているため、積極的な参戦は難しかった。

 が、ランド隊には、様々な戦闘情報が転写されている。
「15、来い」
 ランド11は、少し離れた場所で戦うランド15を呼んだ。
「背中は任せる」
「任された」
 それだけのやり取りで2体は戦法を変えた。
 すなわち、互いに背を向け合ったのである。
 こうすることで、後方からの攻撃は受けにくくなる。前方と左右からの攻撃に注意すればいい。
 さらに相手も戦いづらくなる。正面は変わらないが、横からの攻撃を加えようとすると、2体では互いが邪魔になるからだ。
 必然的に1体ずつが攻撃を仕掛けてくることになる。
 つまり、ランド11と15に対する敵ゴーレムは4体ということになり、残りは手をこまねいていることしかできなくなるのだ。

 が、この戦法にも欠点があった。
 それは、あぶれた敵ゴーレムが、仁Dと『ヘレンテ』に向かうということである。
「12、13、少しだけ耐えてくれ」
 ランド11が声を掛ける。
 ランド12と13は無言で頷いた。

「さて、それじゃあ本気を出させてもらう」
 ランド11と15の速度が上がった。自由魔力素(エーテル)の補給が見込めないため、30パーセントの出力で今まで戦っていたのを50パーセントに上げたのだ。
 短期決戦を目指したのである。
 その結果は劇的。出力が上がったということは速度とパワーも上がったということ。
 今まで十手で受け止めていた剣撃は弾き返すことができたし、シールドバッシュにも耐えることができる。
 それは、防戦一方だった2体が、攻勢に転じることができるということである。
「ふっ!」
 声に出す必要はないのだが、元になった情報には、動きに加えて呼吸の仕方も含まれていたため、ついこうした呼吸に伴う声が出てしまう。
 別に害はないので仁も老君も編集せずにそのままにしてある。

 ランド15の十手が、敵ゴーレムの剣を折り飛ばした。
 ランド11の十手が、敵ゴーレムの盾に穴を穿った。
 武器を失った敵ゴーレムの頭部に十手が叩き付けられる。
 盾に空いた穴に手を突っ込み、振り回す。
 ハイパーアダマンタイトの十手による打撃は頭部を凹ませ、50パーセントを出したランドの力で振り回された敵ゴーレムは横にいた同型のゴーレムを巻き込んで転倒する。
 動きが鈍った所へさらなる追撃。
 十手による頸部への打撃と、胸部を貫く十手による刺突。これで敵ゴーレム2体が動かなくなった。
 数が減れば、均衡が一気に崩れる。
 さらに2体が動かなくなり、そしてもう2体。
 ランド12と13が相手取っていたゴーレムも同じように動かなくなった。

 こうなると戦況は一方的になる。
 程なくして、8体の敵ゴーレムは全て無力化されたのであった。

《見事だな、ランド》
 『ヘレンテ』が称賛した。
「いや、まだだ。ここを脱出しない限り、ジリ貧だ」
《確かに》
「来た道を戻るという手はあるが、それで目的が達せられるのかは不明だからな」
《そのとおりだ。だが、私は動くことができない》
「このままではまずいか」
 そして三度みたび、敵ゴーレムが現れる。
 その数は3体。
 が、大きさはおよそ2.5メートルとなり、腕を4本生やしていた。
 その腕には剣・ハンマー・槍・盾を持っており、なかなか手強そうだ。
 仁Dと『ヘレンテ』を守るランド12は、残念そうに言う。
「……向こうはまだまだ手駒があるようだ。こっちは、今の出力で動き続けていたら早晩魔力素(マナ)が尽きてしまう」
 『ヘレンテ』もそれに答えた。
自由魔力素(エーテル)の流れを阻害している魔導機(マギマシン)の在処がわかればいいのだが》
「なるほど。だが、この部屋にあるとは限るまい」
《そのとおりだな。……来たぞ!》

 ランド11に1体、ランド15に1体。そしてランド12と13も1体を相手取ることになった。
「……今度のゴーレムは強いぞ」
 腕が4本あると言うことは、単純に言って2人を相手取ることに等しい。
 4本腕を自在に操るノウハウも持っているようで、ランドたちは苦戦を強いられていた。
 剣を防げばハンマーが飛んでくる。
 それを避けて間合いを取れば、槍が突き出される。
 槍をかわし、隙を突いて十手で攻撃すれば盾で逸らされる。
 どうにも戦いづらかった。
「出力70パーセント!」
 ここで出し惜しみしていては目的を達成する前に潰されてしまう、と判断したランド11は指示を飛ばした。
 そのおかげで戦いは互角になる。いや、互角以上だ。
 ハイパーアダマンタイトの十手は敵ゴーレムの剣を弾き、折る。
 繰り出された槍を掴み取り、奪い取る。
 ハンマーをかわし、盾に体当たりすれば、敵ゴーレムはたたらを踏む。
 すかさず再度の体当たりに転倒した所へ追撃で十手による打撃を2度、3度。
 そしてついに敵ゴーレムは沈黙する。

《見事だな、ランド》
 先程と同じ言葉で称賛する『ヘレンテ』。
「……とはいえ、貯蔵魔力素(マナ)は残り少ない。これ以上出てこないならいいのだが」
 が、新たに5体の敵ゴーレムが姿を現す。今度は防御に特化したと見られる、重装甲タイプだ。手にはメイスを持っている。
「まずいな。だが、やれるところまでやるしかないか」
 出力を40パーセントまで落とし、ランド11と15は敵ゴーレムを迎え撃った。
 が、やはり力不足。メイスの一撃を十手で受けたものの、受け止めることはできず、吹き飛ばされてしまう。
 敵ゴーレムは仁Dと『ヘレンテ』をも目指す。
 『ヘレンテ』目掛け、メイスが振り下ろされた。
《これまでか……》
 諦めを口にする『ヘレンテ』。が、そばにいたランド12はそのメイスを十手で弾き返したのである。
 そして叫ぶ。
自由魔力素(エーテル)が戻った!」

 その時、彼等が入ってきた入口が吹き飛んだ。
 姿を見せたのは小さな影。
「遅くなりましたが、自由魔力素(エーテル)を阻害していた結界発生器は全て破壊しました。ランド隊の皆さん、ご苦労様でした。あとはお任せください」
 いつもお読みいただきありがとうございます。

 20161106 修正
(旧)ランド11は危うくそれをかわしたが、
(新)ランド11は辛うじてかわしたが、

 20161221 修正
(誤)すかさず再度の体当たりに転倒した所へ追撃て十手による打撃を2度、3度。
(正)すかさず再度の体当たりに転倒した所へ追撃で十手による打撃を2度、3度。
+注意+
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