挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

36 移動基地篇

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

1341/1736

36-07 謎解き

「壁が迫ってくるぞ!」
 仁の分身人形(ドッペル)(仁D)が叫ぶ。
 部屋の左右の壁がじりじりと動き出したのである。
 が、その速度はかなり遅い。
《ふうむ、これはどうやらあの扉に浮き出した文字と関係があるな》
 あくまで冷静な声で『ヘレンテ』が言う。仁には紋様に見えたが、『ヘレンテ』に取っては文字だという。
《一番上は数字だ。188……187……186……カウントダウンだな》
「おそらく、この壁が我々を押し潰すタイムリミットか」
 壁の迫る速度からざっと推測してみて、そういった結論が出た。
「なら、他の文字の意味は?」
《うむ、任せてくれ。論理的な問題だ》
「何と書いてある?」
《『色も形も大きさも同じ宝石が8個ある。1つだけが重く、あとの7つは同じ重さだ。最低何回天秤を使えば重い1個を確実に見つけることができるか』》
「へえ……」
 仁も聞いたことのある有名な問題であった。もっとも仁が知っているのは宝石でなくコインだったが。
「似たような考え方をするもんだな……『2回』だ」
《うむ》
 『ヘレンテ』は扉の中程にあるボタンらしき箇所を操作し、『2』と打ち込んだ。
 すると壁の動きが止まった。
「正解だったようだな」
《うむ》
 こうしたクイズ的な問題は、『始祖(オリジン)』にとっては遊戯の1つだったらしい。
《開けるにはもう1問を解かなければならないようだ》
「その問題は?」
《『私が座れる。**も座れる。++も座れる。だが、お前だけが座れない場所とはどこであるか』だと》
「は?」
《『主人たち』はこうした思考遊戯が好きだったのだ。**と++はこのアルスにいない愛玩動物のことだ》
「いや、それはいいが……」
 仁は似たような『なぞなぞ』を聞いたことがあったのだ。そして、その答えも知っている。が、それでいいのだろうか、という一抹の不安があった。
「『自分の膝』でいいのだろうか?」
《うむ、正解だ。よくわかったな》
 『ヘレンテ』は扉の入力部分にその答えを入力し、確認した。すると、迫って来ていた壁が元の位置に戻っていく。
《あと1問だな》
「まだあるのか」
《そういうな。なになに、『自分の物なのに他人が一番使うものとはなんであるか』だと》
 これも仁は知っている。年少の子相手に何度もやっているからだ。
「名前、だな」
《うむ、正解だ。『崑崙君』は大したものだな》
「……」
 素直に喜んでいいのかわからない仁であった。

 そんな仁の想いとは別に、正面の扉はついに開いた。
《行くぞ》
「よし」
 『ヘレンテ』、ランド11、仁D、ランド12、13、14、15の順でその部屋をあとにした。

 その先も同じような通路であった。
「罠はもうないのかな?」
《それは保証出来ぬな。以前と同じなら罠などないはずだが、今はどうなっているか……》
 その言葉が終わるか終わらないうちに、通路の向こうに動くものが現れた。
 転移魔法陣を刻もうかと思っていたのだが、その時間はなくなったようだ。
「異形のゴーレムか……?」
 身構える一行。
《いや、あれは私と同じタイプのゴーレムだ。おそらくここの頭脳から派遣されてきたのだろう》
 その目的は一体何か。仁たちは身構えた。
[侵入者よ、目的は何か]
《この施設の正常化だ》
 『ヘレンテ』が進み出て答えた。
 相手のゴーレムも頭に『モヒカン』があり、ヘレンテと同型であることがわかる。
[それは有り難い]
《何?》
 思い掛けない言葉が出てきた。
[『中央頭脳』がおかしいということはわかっている。それを修正できるなら、いや、修正してもらえるなら協力は惜しまない。私は補助ゴーレム066号]
《そうか、066号、私は『ヘレンテ』。こちらは協力者の『崑崙君』とランド隊だ》
[わかった。よろしく頼む]
《早速だが、『中央頭脳』の所へ案内してもらえるだろうか?》
[もちろんだ。付いてきてくれ]
 066号は来た道を戻り始めた。仁たちはその後を追った。

*   *   *

「老君、信用できると思うか?」
 蓬莱島では、この展開を訝しんだ仁が、老君と話し合っていた。
『いえ、御主人様(マイロード)。罠である可能性も大きいと思います』
「だよなあ。どうするべきだろうか?」
『ランド隊をできるだけ離しておき、いざという時バックアップさせるべきかと』
「なるほど」
『それから、1体をここに残し、転移魔法陣を刻ませるべきです』
「わかった」

*   *   *

 先へと進んでいく一行から離れ、ランド14は不可視化(インビジブル)で姿を隠し、その場に留まった。
 どうやら不可視化(インビジブル)は察知されなかったようだ。
「ここに刻みますか」
 ランド14の持つ特殊装備は『魔法転写銃(マギトランスガン)』。特定の魔法をロスタイムなく放つことができる。
 『変形(フォーミング)』を用いれば転移魔法陣を金属などに刻み込むことができるわけだ。
 大きめの銃の形をしており、カートリッジに記録させた魔法を発射する。
 『火の嵐(ファイアストーム)』を記録していれば『火の嵐(ファイアストーム)』が。
 『回復(ヒーリング)』を記録していれば『回復(ヒーリング)』が発動する。
 今回は『変形(フォーミング)』。それが形成するものは転移魔法陣。

 さすがに数秒かかったが、無事、床に転移魔法陣を刻むことができた。
 これで増援を送り込むことが容易になる。

*   *   *

《どこまで行くのだ?》
[もうすぐだ。その先にある扉の向こうが目的地だ]
《よし》
 仁D、『ヘレンテ』、ランド11、12、13、15はその扉を目指すのであった。
 いつもお読みいただきありがとうございます。

 20161104 修正
(誤)ランド14の持つ特殊装備は『『魔法転写銃(マギトランスガン)』。
(正)ランド14の持つ特殊装備は『魔法転写銃(マギトランスガン)』。

(旧)重い1個を見つけるために天秤を最低何回使えばよいか』》
(新)最低何回天秤を使えば重い1個を確実に見つけることができるか』》

(誤)『色も形も大きさも同じ宝石が8個のある。
(正)『色も形も大きさも同じ宝石が8個ある。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ