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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

36 移動基地篇

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36-02 潜入開始

 実際、自由魔力素(エーテル)供給が止まったため、『移動基地』内部は一時的に指揮系統が混乱していた。

[吾の邪魔をするのはいったい何者だ]
[司令、現在調査中です。ですが、自由魔力素(エーテル)供給が止まっており、プールした魔力素(マナ)に切り替えておりますので、今しばらくお待ち下さい]
[1秒でも早く態勢を整えよ]
[承知しております]

*   *   *

 『しのび部隊』10体は通路を進んでいった。
『今のところ邪魔は入りません。順調です』
 しのび壱の報告。
 その様子は、しのび壱の視覚情報と『覗き見望遠鏡(ピーパー)』からの情報との2系統で仁は確認していた。
 だが、その時。
「おっ!?」
 『覗き見望遠鏡(ピーパー)』からの映像が途絶えたのである。
御主人様(マイロード)、『移動基地』は魔法障壁(マジックバリア)を張ったようです』
自由魔力素(エーテル)供給の停止に対応したか」
『とはいえ、これは予想されています』
「そうだな」
 今は、しのび壱の視覚情報だけだ。
「『固定(フィクス)』がうまくいっているな」
 『固定(フィクス)』とは、結界に穴を開け、それを保持する技術である。
 この穴を通じて魔力波=エーテル波を送受信できるのだ。
『ですが、向こうも対応を始めたからには、『しのび部隊』にはより注意をさせませんと』
「だな。連絡を頼む」

 『しのび部隊』は通路の右隅を1メートル間隔で1列縦隊になって進んでいく。
〔注意せよ〕
 リーダーのしのび壱が注意を促す。
 その先で通路は一旦終わり、隔壁になっていたのだ。
 実際問題、『しのび部隊』はこうした隔壁を最も苦手としている。
 隔壁はその施設本来の使用者に合わせて作られているので、身体の小さい『しのび部隊』は不利なのである。
 この隔壁の開閉機構はレバー式であった。
力場発生器フォースジェネレーターを使う〕
〔了解〕
 しのび弐と参が協力して隔壁の開閉機構を操作し、ほどなくして扉は開いた。
 向こう側を慎重に確認するが、特に変わったことはないようだったので、まずしのび玖と拾が進んでみることになった。
〔異常なし〕
〔よし、全員進め〕
 危険がないことが確認されたため、10体は進出を続ける。

 同じような隔壁を3つ通過すると、明らかに雰囲気が変わった。明るく照明されているのだ。
〔より一層注意せよ〕
〔了解〕
 不可視化(インビジブル)がどこまで通用するかわからないが、10体は慎重に進んでいく。
〔下へ行く通路か階段を探そう〕
 事前に『覗き見望遠鏡(ピーパー)』で調べた結果としては、あと3層下のフロアになるはずなのだ。
 なんとか発見されずに探し回ること1時間。
 ついにしのび陸がそれらしい箇所を見つけた。
〔この部分、ハッチではないでしょうか〕
 壁面がやや突き出しており、長方形の合わせ目が見える。
〔標準的な人間の腰の高さあたりに操作パネルがあるな〕
 古代文字……『始祖(オリジン)』が使っていた文字で表示されている。
 蓬莱島勢は事前に『知識転写(トランスインフォ)』による教育を受けているので問題なく読めるのだ。
〔”開放”に”閉鎖”か。間違いなさそうだな〕
 しのび壱は、力場発生器フォースジェネレーターを使い浮揚し、パネルを操作した。

 扉が開く。
〔うむ、この基地内のエネルギーは回復しているようだな〕
 自由魔力素(エーテル)供給が止まっているにもかかわらずこうして動作するということは、予備エネルギーの備蓄が十分であるということだ。
〔それもこんな人気ひとけのない区画にまで行き渡っているということは……侮れないな〕
 しのび壱は十分に注意しつつ扉内部を覗き込む。
 そこは望んだとおり、『エレベータールーム』とでもいうべき場所。
 上もしくは下へ通じるエレベーターがあった。
〔まず私以下、伍までが下りてみる。何ごともなければ連絡するから陸以下は続け〕
〔了解〕
 5体の『しのび部隊』はゆっくりと扉の中へと進み、下へ行くはずのエレベーターに乗る。……が。
〔動かない、か〕
 『しのび部隊』の大きさではエレベーターが反応しなかったのである。
〔うむ、これはよろしくないな〕
 しのび壱たちはエレベータールームの周辺を見回してみた。
〔ここにハッチがあります〕
 しのび参は丸いハッチを見つけた。
 手回しのハンドルが付いている。
〔”有事用”と書かれているな〕
 非常用もしくはメンテナンス用の通路のようだ。
〔よし、ここを使おう〕
 ハンドルを回すのはさらに困難であったが、5体掛かりで回し、何とかハッチを開くことができた。
〔中は縦穴か。梯子が付いているな〕
 やはり非常用かメンテナンス用のようで、人一人がやっと通れる程度の縦穴だ。
 が、『しのび部隊』には広すぎるほどである。
 梯子は使えないので、力場発生器フォースジェネレーターを使い、ゆっくりと降下する。
 しかし、この縦穴では2フロア下までしか行けなかった。
〔あと1フロアか。また下へ行く手段を探す必要があるな〕
 シャフトを出てみる。そこも2フロア上と同じような場所だった。
 何ごともないのでしのび壱は陸から拾も呼び寄せ、調査に取りかかることにした。

*   *   *

「うーん、オフィスビルみたいだな」
 蓬莱島司令室で映像を見ていた仁はそう独りごちた。
 仁がいた会社の建物でも、『エレベータールーム』は、事務仕事をする部屋とは扉などで切り離されていたものだ。
 今『しのび部隊』がいる場所も、そうした区分けがされているようだ。

*   *   *

 『しのび部隊』は10分ほど掛けて調べたが、その付近にはいくら探しても下へ行く手段は見つからなかった。
『おそらく、目指すフロアは重要なエリアなので、行き方も特殊なのでしょう』
 老君も『しのび部隊』にそうアドバイスした。
〔よし、一旦出てみよう〕
 『しのび部隊』は一旦その『エレベータールーム』を出てみることにした。
〔慎重にな〕
 そして扉を開けて出たその先には、異形のゴーレムが待ち構えていたのであった。
 いつもお読みいただきありがとうございます。

 20161030 修正
(旧)〔”非日常用”と書かれているな〕
(新)〔”有事用”と書かれているな〕

 20161031 修正
(旧)そこも2フロア上と同じような場所だった。
(新)そこも2フロア上と同じような場所だった。
 何ごともないのでしのび壱は陸から拾も呼び寄せ、調査に取りかかることにした。
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