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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

35 オノゴロ島篇(続)

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35-43 人質

《ふむ、『崑崙君』は有能だな》
《はい。既に、中級施設の整備は完了しております》
《あとは上級施設、か》
《はい》
《まずは1つだけやらせて、様子を見よう》
《わかりました》

*   *   *

《ジン殿、まずは1つ、上級施設を整備してみろとの指示が出た》
「その結果いかんでは、他の施設も任せてもらえるということかな?」
《そうなると思う》
「わかった。何をやればいい?」
《まずは付いてきてくれ》
 仁は『ヘレンテ』の後に付いて歩き出した。
 『ヘレンテ』は階段を下り、下へ下へと進んでいく。既に地下100メートルほどまで下りているか、と仁の分身人形(ドッペル)は考える。
《ここだ》
「ここは……」
 そこには、『ヘレンテ』と同型のゴーレムが5体、並んでいた。
《私の『スペア』だ。作られて以来動いていない》
「道理でボロボロだと思ったよ」
 表面の艶はなく、くすんだ色をしている。
「資材は?」
《奥の部屋にある》
 が、今度はなかなか大変であった。
 金属素材や魔結晶(マギクリスタル)系はよかったが、一部の素材は魔物系、つまり生体素材を使っていたのだ。
 当然、倉庫にあるものも劣化している。
 具体的には筋肉用素材である。
「あんたは合成素材を使っているのに、同型機はなぜ合成素材をなぜ使っていないんだ?」
《それは、私にはわからない。作ったのは『主人』だからな》
「それはそうか……」
 『始祖(オリジン)』である『主人』に作られた『ヘレンテ』ゆえに、作られた背景や事情までは知らされていないということだ。
「あるいは、所詮スペアはスペアということなのか……」
 例えば礼子だが、彼女のスペアを用意するとしたら、おそらくスペックはオリジナルより劣ったものになるだろうから。
 内心そんなことを考えながら、仁の分身人形(ドッペル)は5体のゴーレムを整備していく。
(こいつには『超小型魔導機(マギマシン)』はくっついていないか……)
 いつ動くかわからないスペア機にまで『超小型魔導機(マギマシン)』を付けるのは無駄と考えたんだろうな、と仁は思った。

「終わったぞ」
 およそ2時間後、5体の整備は完了した。仁本人なら1時間を切るだろうが、そこまで懸命になる義理はない。
 また、何か得るものがないかと思いながら整備したのだが、特に得るものはなかった。
《やはり優秀だな。……これで、うまくすれば上級施設を任されることになるかもしれん。だが、それは、2度とここから出ることができないということでもある》
「なるほど、秘密を知った者を野放しにはできないということか」
《そういうことだ。どうする?》
「ここを出られないとは思わないしな。上級施設を見せてもらおうじゃないか」
 因みに、このセリフは老君が言わせている。仁本人であったらこんなセリフは言わないであろう。
 老君も老君なりに、『統括頭脳』のやり方は腹に据えかねていたのである。

*   *   *

《来たか、『崑崙君』》
 仁の分身人形(ドッペル)は、『統括頭脳』の声を初めて直接耳にした。
《なかなか優秀なようだな。この星の住民にしておくには惜しいほどに》
「貴方がこの島の『統括頭脳』か?」
《そうだ。この星の管理者でもある》
「管理者……ということは、誰かに任じられたわけだな? 誰にだ?」
《私を作った方にだ》
「抽象的だな」
《それ以上詳しく知る必要はない。お前は指示されたことを行っていればいいのだ。さもないと……》
「さもないと?」
《お前の『連れ』が残念なことになるぞ?》
「連れ?」
《そうだ。レーコといったか。あの娘がどうなってもいいのか?》
「何?」
《お前が言うことをきかなければ、レーコの無事は保証しない》
「何だと?」
《既にレーコはこちらの手の内だ》
 壁の一部が魔導投影窓(マジックスクリーン)になっていたようで、そこに礼子の姿が映し出される。
《空気や食事用の小さな穴以外は厚さ30センチの鋼鉄で覆われた部屋に閉じ込めてある》
「いつの間に!」

*   *   *

「いつの間に!」
 蓬莱島の操縦席で、わざと驚いた声を出す仁。

 既に礼子から、待機していた部屋がいつの間にか鋼鉄の壁で覆われていたことを報告を受けていた。
 それはすなわち、礼子を人質にして仁に言うことをきかせようと画策していることを意味する。
「今のところ、俺……というか分身人形(ドッペル)と礼子は人間だと思われているようだな」
『はい、御主人様(マイロード)。そこのところは『ヘレンテ』も協力してくれているようですが、なんといっても『統括頭脳』には大した分析機能がないようですしね』
「そうなのか?」
『そうなのです。あるいは持っていても使えないのか。とにかく、『統括頭脳』は……言うなれば『大きな子供』のようですね』
 自分の存在意義はなんとなく知っている。が、どうすればそれを行えるのか、よくわからない。
 かといって、尋ねることのできる相手はいない。
『そういう意味でも御主人様(マイロード)……『崑崙君』を求めたのかもしれません』
「なるほどな。だとすると、『ヘレンテ』と同じように、マリッカに会わせたら、反応するかもな」
『その可能性は大です。ですが、今は……』
「ああ、わかってる。くっついている『超小型魔導機(マギマシン)』を排除しないとな」

*   *   *

「……わかった。言うことを聞こう。今のところはな」
《それでいい》
「で? なにをすればいい?」
《『ヘレンテ』に聞け。奴に全て任せてある》
「わかった」
 仁の分身人形(ドッペル)は『ヘレンテ』に向き直る。
《まずはこの施設の魔力反応炉(マギリアクター)を整備してもらおうか》
 いよいよ核心に近付いて来たことを感じる仁であった。
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