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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

35 オノゴロ島篇(続)

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35-40 オノゴロ島潜入

「そうすると、『魔法職人(マギスミス)』を必要としているのは間違いないわけか」
《そうなるな。我々には『創造』は許されていない》
「なるほど」
 被造物にどこまで自由を与えるかということは難しい問題だ。
 仁も、『老君』をはじめ、『職人(スミス)』たちにも、新規創造の権限は与えていないからだ。
「修理もか?」
《いや、修理用のゴーレムは信用できない》
「ああ、そうか……」
 例の超小型魔導機(マギマシン)に支配されている可能性が高いというわけである。
《技術者を捜していたというのも、『統括頭脳』に残された自我によるものなのだろうな》
「そういうことか」
《であるから『魔法職人(マギスミス)』を連れて来たということなら問題なく入れるはずだ》
「それなら、潜入は問題ないな」
 問題はその次の段階だ。
「連れて行って何をさせたいんだ?」
《まずは無難なところで、内部設備の整備だろうな。資材はあるので問題ないだろう》
「うん、大丈夫だろうな。それから?」
《私の整備をしてもらうことになるだろう》
「それも問題ないな。あとは?」
《その先は『統括頭脳』が決めることになるが、今の流れだと『メガフロート』の完成を早めるために何かさせられるだろう》
「工事用ゴーレムを作るとか、技術面のフォローとか……かな」
《それは十分に考えられるな》
「その『統括頭脳』と接触する機会はあるだろうか?」
 『オノゴロ島』を超小型魔導機(マギマシン)の支配から解放するにはそれが不可欠である。
《正直、それはわからない》
「それは行ってみてから……か」
 ここで、重要なポイントが1つ。
「『オノゴロ島』の結界はどのような性能を持っているんだろう?」
《物理結界と魔法結界を持つ。普段は物理結界だけだ。詳細は話せない》
「いや、それでも十分だ」
 仁は考え込む。
 『分身人形(ドッペル)』を使っている最中に魔法結界を展開されたら、接続が切れてしまう。
 その場合何が起きるか想像がつかないのだ。
「やっぱり俺が行くしかないか」
「駄目」
「うわっ!」
 後ろからいきなり駄目出しされて仁は仰け反った。
「エ、エルザ!?」
「……遅いから見に来たら……危険なことしちゃ、駄目」
「言われると思ったよ」
《話の途中で済まぬが、『オノゴロ島』の魔法結界は、エーテル波は通すぞ?》
「え?」
《そうでなければ『メガフロート』へ自由魔力素(エーテル)を送り続けられないからな》
「ああ、そうか」
 これで、1つの懸念が消えた。
 それからも、細かい質問を幾つかして、仁たちは準備を整えていったのである。

*   *   *

 秋も深まった11月7日。
 仁たち……仁の分身人形(ドッペル)、礼子、『ヘレンテ』の3体は、『円盤』に乗って『オノゴロ島』へ向かった。
 この『円盤』は、『コンロン2』とチェイスをしたものと同型であり、『ヘレンテ』はこれに乗ってクライン王国までやって来たのだそうだ。

 『円盤』の最高速度は時速200キロ。クライン王国から『オノゴロ島』まではおよそ3000キロ。15時間と少し掛かる計算になる。
 が、時差があるため、『オノゴロ島』に着いたのは同日の午後2時頃であった。

 『円盤』は問題なく『オノゴロ島』に着陸。第一の関門突破である。

《戻りました》
《ご苦労》
《『崑崙君』とその従者を捕らえてきました》
《なぜ従者まで?》
《『崑崙君』に言うことを聞かせるためのいわゆる人質です》
《そうか、わかった》
《まずは何をさせますか?》
《設備の整備だな》
《わかりました。整備時には私が着いているようにします》
《うむ、それでよい》

*   *   *

《……ということだ。まずはうまくいっている。とはいえ整備はしてもらわねばならんがな》
「わかってる。ここの設備を整備すればいいんだな?」
《そうだ》
「よし、やるか。礼子、手伝ってくれ」
「はい」

 こうして仁の分身人形(ドッペル)は、『オノゴロ島』地下施設の整備を開始した。
 作業的には膨大な量だが、大半は老君が肩代わりしていたし、仁に取っても得るものが多かった。
御主人様(マイロード)、目新しい技術が使われている時にはご連絡いたしますので』
「うん、たのむぞ」
 仁自身は蓬莱島司令室にいて、『オノゴロ島』の施設を解析し続けている。
「ふうん、使っている金属素材は軽銀とミスリル銀が主か。あとリン青銅とアダマンタイトが少々。珍しい組み合わせだな。どれも純度が高い」
 素材の把握に始まり、
「このあたりに使われている技術は先代が見た魔族領にあったものと同レベルだな……」
 構造の解析。だが。
「うーん……目新しい技術はないな」
 今のところ、仁の目を惹くような新技術は見あたらないようである。
《ふむ、ジン殿はなかなか進んだ知識と技術を持っているようだな》
 監視という名目で仁の分身人形(ドッペル)と行動を共にしている『ヘレンテ』も感心している。
「そろそろ休んだ方がいいです。働き続けているとそれはそれで疑われます」
 礼子が助言をくれる。
 老君が操る仁の分身人形(ドッペル)は、24時間どころか48時間でも72時間でも働けるが、そんな人間はいない。
 適度に休息して見せないとまずい。
《よし、こっちへ来てくれ》
 『ヘレンテ』は仁の分身人形(ドッペル)を居住区へと案内した。
 以前仁が『覗き見望遠鏡(ピーパー)』で観察した場所のようだ。
《使っていなかったので埃っぽいと思う。掃除して使ってくれ》
「わかった」
 一応工学魔法で掃除をしておく仁の分身人形(ドッペル)と礼子であった。
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