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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

35 オノゴロ島篇(続)

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35-39 意外な真実

「お父さま、これはいったい何でしょう?」
 指先で摘んだそれを、礼子は仁に向けて差し出した。
 今は『魔法無効器(マジックキャンセラー)』を止め、『エーテルジャマー』にしてある。
 仁と仁の作ったもの以外は魔法を使えない状況だ。
「『分析(アナライズ)』……これは!? もう一度『分析(アナライズ)』」
 難しい顔をする仁。
「お父さま、どうなさいました?」
「ジン、どうしたの?」
「ジン様、いったいそれってなんだったんですか?」
「うーん、なんというか、これは超小型な魔導機(マギマシン)の集合体だ。マイクロ魔導機(マギマシン)とでもいうか……もうゴーレムの一種だな」
「こんな小さいのに!?」
 その点については、仁も小さなゴーレムは作り出している。
 『ミリ職人(スミス)』が身長5ミリだから、この超小型魔導機(マギマシン)と比べても遜色ない。
「あとは、こいつが何をしていたかだ」
 仁は、その後の調査を『ヘレンテ』にも見せるため、『エーテルジャマー』を切った。
 すると。
「お父さま、この超小型魔導機(マギマシン)、動き出しました」
「何?」
 見れば、豆のようだったそれは、形を変え、まるでゼリーのように礼子の指をすり抜け、手の甲へと這い上がって行くではないか。
「気味悪いな」
《な、何だ、それは!?》
 再起動した『ヘレンテ』が疑問の声をあげる。
「『ヘレンテ』さんから取り外した超小型魔導機(マギマシン)ですよ」
《なんと!》
「おそらくこいつがあんたの制御核(コントロールコア)に寄生していたんだろう。あの『ヘレンテ’』はそういう意味だったんじゃないかな?」
《ふむう……確かに、思考がすっきりしている。ノイズがなくなり、クリアな感じだ》
「やはりこいつが干渉していたんだな」
《マリッカ様には感謝致します》
「ふえ!? わ、私なんて」
「いやマリッカ、君がいなかったらこんなに速やかな対応はできなかっただろうから、やはり君のお手柄だよ」
「そ、そうでしょうか」
《そのとおりです、マリッカ様》
 切りがないので、仁はまだうごめいている超小型魔導機(マギマシン)をさらに調べることにした。

「『精査(インスペクション)』『読み取り(デコンパイル)』……え?」
「お父さま!」
「ジン様、これは?」
《なんだ、これは?》
「?」
 シオンだけは魔導式(マギフォーミュラ)が読めなかったので反応が芳しくないが、他の面々は皆一様に驚く。
「支配……侵食……だと?」
「礼子、そいつに『エーテルジャマー』を……いや、『魔法無効器(マジックキャンセラー)』をかけてから結界に閉じ込めておいてくれ」
「はい、お父さま」
 仁は『ヘレンテ』に聞かれないよう、別の部屋まで行ってから礼子に指示を出した。
「……だが、これはちょっとシャレにならない気がするぞ」

*   *   *

 超小型魔導機(マギマシン)を取り除いたあとの『ヘレンテ』はすっかり協力的になった。
 もちろん『マリッカ』の存在も大きい。
 正常に戻った『ヘレンテ』は、拘束を解かれ、二堂城2階のラウンジで仁たちと話し合っている。
 拘束を解く前に、制御核(コントロールコア)をコピー後老君が調べて、裏切るような意志がないことは確認済みだ。
 今や『ヘレンテ』は完全にこちら側に付いたと見なしてよいだろう。

 そのため、今まで疑問だったことの幾つかが氷解した。

 『メガフロート』は、本来はこの世界を守護するための移動基地である。
 本来はあそこまで巨大な物にする予定はなかったが、1000年くらい前から建造している魔導頭脳に異常が生じ始めた。
 ほぼ同時に、『オノゴロ島』の頭脳も異常を生じる。具体的には『メガフロート』の異常を異常と認識しなくなった。さらに、このアルスに関する関心が薄れたという。
 『ヘレンテ』が『崑崙君』を躍起になって捜していたのは、『メガフロート』の異常を何とかできるかどうか打診するためと、もう一つは『オノゴロ島』の頭脳が時々異常動作するので何とかできそうな者を捜していたから。

 余談ながら、『エネルギー転送』については、『ヘレンテ』は説明できなかった。理由は単純。やり方を知らなかったのである。

 そして『オノゴロ島』の役割は、『始祖(オリジン)』が移り住んだこのアルスの守護。
 だが、魔導頭脳に異常が生じてからは、そういった役目に対する意識が薄弱になっていたようだ、と『ヘレンテ』は述べた。
魔素暴走エーテル・スタンピード後のアルス世界に何もせず傍観するなどということは有り得ないのだが……》

 円盤の攻撃手段が矢しかなかったのはその名残だそうだ。
「とすると、そういった装備類を改造することはできないのか?」
《そうだ。我々には権限がない》
 また1つ、小さいが謎が解けた。

「あの超小型魔導機(マギマシン)はいったい何だろうか?」
《私にもわからない》
「少なくとも、友好的ではないな」
「ジン様、1000年前って、アドリアナ様の頃ですよね?」
「そうなるな」
「どちらが後なんでしょう? 『ヘレンテ』さん、正確な年数はわかりますか?」
《申し訳ないのですが、そのあたりの情報が曖昧でして、正確な年数を算出できません》
 『ヘレンテ』はマリッカに謝った。
「い、いえいえ! お気になさらず!」
 恐縮するマリッカであった。

「何といってもまずは頭脳の解放だろうな」
「そうよね。『めがふろーと』はその次よね」
 仁の言葉にシオンが同意する。
《うむ。それでいいだろう。メガフロートは一日二日で完成するようなものではないだろうからな》
「そうすると、『オノゴロ島』へ向かうことになるわけだが」
「手段は置いておくとして、潜入はできるのか?」
《かなり難しいだろうな。警戒は厳重だから》
 『ヘレンテ』が言う。
《だが、私なら問題なく入れる》
「そりゃそうだ」
《私が捕虜にしてきた、ということにすれば、2人くらいまでなら怪しまれずに入れるだろう》
「なるほど。その手か」
《マリッカ様は危ないのでやめておいた方がいい》
「で、ですよね」
「俺と礼子が行こう。『崑崙君』とその従者を捕らえてきた、ということなら問題ないだろう?」
《問題ないな》
「よし、それじゃあ話してもらえる範囲で『オノゴロ島』の内部を説明してくれ」
《当然の要求だな。書くものはあるか?》
「すぐ用意する」
 こうして、『オノゴロ島潜入計画』及び『頭脳解放作戦』は進められていくのであった。
 いつもお読みいただきありがとうございます。

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