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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

35 オノゴロ島篇(続)

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35-23 未曾有の事態

「なんだって?」
 蓬莱島では、仁が老君から緊急連絡を受けていた。
「ショウロ皇国と連絡が取れない?」
『はい、御主人様(マイロード)。これは由々しき事態です。ロイザートの屋敷とも連絡が途絶えたままで、転移門(ワープゲート)も動いていません』
「一体何があったんだ?」
『直前までの情報ですと、早朝、未確認飛行物体がロイザート上空を飛び、トスモ湖に何かを投下。わかっているのはそこまでです』
「情報が少なすぎるな。第5列(クインタ)からは?」
『はい、ロイザートとその周辺にいるはずの彼等からは何の連絡も入りません』
「うーん……」
 仁は考え込んだ。
「……『オノゴロ島』の攻撃だと思うか?」
『はい。これを攻撃と彼等が認識しているかは別として』
 彼等のメンタリティはアルス人類とはかなり異なるようなので、老君の言いたいこともわかる仁であった。
「攻撃であろうがそうでなかろうが、放っておけないな」
『はい』
 そこへエルザもやって来た。
「……一体何が、起きたの?」
 仁はわからない、と正直に告げた。
『エルザ様、今現在、ショウロ皇国に派遣している第5列(クインタ)に指示を出し、ロイザートへ向かわせています』
 ロイザートから離れた場所にいる第5列(クインタ)は何も起きていない、と報告してきていたのだ。
『1体で行動せず、二体一組で行動するよう指示を出しました。あと数十分で、最も近くにいたレグルス9、通称『グロウ』とミラ11、通称『マージュ』が到着します』
 レグルス9は街道の要所モント付近、ミラ11はワス湖付近担当であった。
『それから、もう一組、ミラ5と6、通称『リエ』と『ルシル』が、それぞれイーノとペンテから駆けつけているところです』
「わかった。慎重にな」
 そして、待つこと3分。
御主人様(マイロード)、『グロウ』と『マージュ』はシュベーレに到着しました。街道を少し離れつつロイザートへ向かわせます』
「うん」
 だが、その5分後。
御主人様(マイロード)、『グロウ』と『マージュ』からの連絡が途絶えました』
「何!?」
『『ウォッチャー』から監視していたところ、リアレの町を過ぎたところでいきなり停止したようです』
「停止?」
『はい、停止です。攻撃されたようには見えないのにそのまま倒れ、動かなくなったのです』
 仁は状況を考えてみた。
「最も大きな可能性はエネルギーの枯渇だな」
『はい。私もそう推測します』
「なら、『リエ』と『ルシル』には、より注意させろ」
『はい』
 この際なので同じルートを行かせることにした。
『2人には、身体を10メートル程のロープで繋がせることにしたく思います。そして前後に離れてロイザートに接近させます』
「うん、いいな」
 そうすれば、先行する方が停止しても、ロープを手繰って引き寄せられるだろう、という考えだ。
「仮に自由魔力素(エーテル)が無いのだとしても、その境目ははっきりしているといえるからな」
 それは『グロウ』と『マージュ』が突然停止したことからもわかる。
 徐々に自由魔力素(エーテル)がなくなったわけではないのだ。
「それに、単に自由魔力素(エーテル)がなくなったわけでもないだろうな」
 今の蓬莱島勢は、自由魔力素(エーテル)がまったくない場所でも短時間なら行動できるよう改良されているからだ。
『はい。保有する自由魔力素(エーテル)魔力素(マナ)まで奪われない限り、いきなり停止するはずはありませんから』
「ジン兄、それって『魔力素除去器(エーテルエリミネイタ)』や『魔法無効器(マジックキャンセラー)』みたいな?」
 今まで黙って何か考えていたらしいエルザが口を開いた。
「……そうだと思う。さらに言うなら、その2つに『エーテルジャマー』を合わせたような機能だろうな」
 『魔法無効器(マジックキャンセラー)』は魔力素(マナ)を強制的に自由魔力素(エーテル)に戻してしまう魔導具である。
 そして『魔力素除去器(エーテルエリミネイタ)』は対象物が持つ自由魔力素(エーテル)を除去、エーテルタンクに蓄えるもの。
 この2つが合わさると、対象物は魔力素(マナ)を根こそぎ奪われてしまうことになる。そして自由魔力素(エーテル)も自由にならないため、停止せざるを得ない、というわけだ。
 ただし、『魔素暴走エーテル・スタンピード』とは違い、人間への影響は小さい。
「そんなことが……」
 できるの、と言いかけた時、報告が入った。

『『リエ』と『ルシル』、『グロウ』と『マージュ』を発見しました。これより『リエ』を先頭に接近してみます』
 『ルシル』の目から見た光景が魔導投影窓(マジックスクリーン)に映し出される。
 『リエ』の腰にはロープが結びつけられており、その格好でじりじりと進んでいく。その先には倒れて動かない『グロウ』と『マージュ』が。
 そして『グロウ』と『マージュ』に触れる程近付いたその瞬間、『リエ』はくずおれたのである。

 『ルシル』はすぐにロープを引き、『リエ』を引き戻した。
 すると停止した『リエ』は動き出した。
「やっぱり魔力素(マナ)を根こそぎ奪われたのか……」
『そのようです』

「これではっきりしたな。なんとか『グロウ』と『マージュ』も再起動させられないかな?」
『そうですね。投げ縄などを使えば引き寄せられると思います』
 ということで、『リエ』と『ルシル』は、互いを繋いでいたロープを一旦ほどいて投げ縄にし、『グロウ』と『マージュ』を回収。再起動に成功した。
「ひとまず安心だな。ところで、境界線は変わっていないんだろうか?」
 もしも、だんだん拡大している様であったら一大事だ。
「ジン兄、何か測定器みたいなものは作れないの?」
「うーん、そうだなあ……小さな『明かり(ライト)』の魔導具を使えばモニタできそうだな」
「確かに」
 そこで仁とエルザは、小さな魔結晶(マギクリスタル)に『明かり(ライト)』の魔導式(マギフォーミュラ)を刻んでいった。
 10個ほど作ると、それを転送機で『リエ』と『ルシル』に送り付ける。
 2体は腕を伸ばしてその魔導具を持ち、ゆっくりと前進。消えたならその箇所が境界である。
 その境界に魔導具を置き、観察する。
 そうして30分ほどではあるが、観察した結果によれば、『魔導無効化』の境界は変化していないことがわかった。
「それだけは救いだな」
 もしも拡大していたら、今よりさらに被害が拡大するだろうからだ。
「手分けして、境界がどのあたりにあるかマーキングしてくれ」
 仁とエルザはさらに同じものを100個ほど製作し、境界部分に配置するよう指示を出した。

「さて……次はこの問題をどう解決するかだ……」
 今のところ、ゴーレムだろうが自動人形(オートマタ)だろうが、『魔導無効化』の結界内に入ったら停止してしまうことは間違いない。
「ジン兄、結界の効果を障壁(バリア)で防ぐことはできない?」
 エルザが難しそうな顔をしながら尋ねてきた。
「防げるかもしれないが、その場合、使える自由魔力素(エーテル)は結界の中だけになるからな。『魔力貯蔵器(マナボンベ)』を持っていかないと長時間の行動は無理だろうな……」
 エルザに説明しつつ、仁自身も対策を考えていく。
「まずは、『魔法障壁(マジックバリア)』で防げるかどうかを確認する必要があるな」
『はい、御主人様(マイロード)。すぐに指示します』
 老君は『ルシル』にその確認をさせることにした。
 その結果、『魔法障壁(マジックバリア)』は『魔導無効化』の結界から『ルシル』を守ったのである。
 これは、『魔導無効化』の効果が魔法であることの証明でもある。
「よし!」
 これで一歩前進した、と喜ぶ仁。
「そうすると……」
 対策の手順を考えていく仁であった。
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