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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

35 オノゴロ島篇

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35-20 オノゴロ島の秘密

 魔導投影窓(マジックスクリーン)に映し出される『オノゴロ島』の映像がぐんぐん大きくなっていく。
 そして島表面へと到着した。
『やはり、島の周囲には障壁(バリア)が張られています。が、この『覗き見望遠鏡(ピーパー)』は、障壁(バリア)のない地下を通して制御していますので大丈夫です』
「そうか……ということは、こっちも覗かれる可能性があるわけだ」
 仁が呟く。
「地下でも関係なく展開出来る結界を急いで研究する必要があるな」
 そして、眼前の映像に注意を戻した。

 映像は『オノゴロ島』の地表部分。
「植生が随分と違うな……」
 グースが興味深そうに言う。
「独自の進化を遂げた小動物とか昆虫なんかもいそうだ」
 そして画面は真っ暗に。
『地下へと進みます』
 真っ暗な画面が10秒ほど続き、不意に様子が変わった。
『地下の空洞に出ました』
 明かりは点いていないらしい。
『魔力波を光波に変換しています』
 魔力同位元素(マギアイソトープ)は微弱な魔力波を発しているので、それを光源にした暗視モードである。
 色が判別できないが、何があるかはわかる。
「これは……『守護神(ガーディアン)』だな?」
 そこには、壁に沿って、かつて見た『守護神(ガーディアン)』と思われるゴーレムがずらりと並んでいた。
「予備の倉庫かもしれないな」
『移動してみます』
 映像が横に移動し、また真っ暗になる。隣に部屋がなかったのだろう。そして再び何かが映った。
『隣の部屋です』
「資材倉庫……かな?」
「そうみたいだな。重要な物はもう少し下か?」
 また映像が暗くなった。今度は15秒くらい。そして。
「これは……?」
『おそらく居住施設ですね』
 そう言われてみればそうも見える、というくらい荒れ果てた部屋であった。
「地下でもやはり埃は溜まるのか」
「家具らしき物も劣化してるな」
「『始祖(オリジン)』が使っていたものだとすれば、不思議ではないだろう?」
 その仁の言葉に、グースが反論した。
「いや、『いつまで』ここに住んでいたのかを考えると……」
「ああ、そうか」
 使われなくなって何年経つのか、という意味だ。すなわち、ここに住んでいたと思われる『始祖(オリジン)』がいなくなって、かなりの年月が経つのは間違いないだろう。
「やっぱりここを作った『始祖(オリジン)』は……その子孫も含めて、もういないようだな」
「資料のような物も残っていないみたいだ」
「でも、生活様式は私たちとあまり変わらないみたいね」
 ヴィヴィアンが別角度からの感想を述べた。
 その階層は居住区ばかりで、どこもかしこも同じ様相だったので、次へ行くことにした。

 また15秒くらい、映像が暗くなり、再度何かが映った。
『地下200メートルくらいです。これは巨大な魔導機(マギマシン)ですね』
「うーん、何だろう、これは?」
 トアが首を傾げる。
「不思議な形よね……」
 ステアリーナもわからないようだ。
「……ジン兄、これって……」
 だが、エルザはその正体に気が付いたようだ。
「ああ。おそらく『自由魔力素凝縮器(エーテルコンデンサ)』だ」
 空間に存在する自由魔力素(エーテル)を集め、濃縮する機能がある。
「俺が作った物と違うのは、こいつには指向性があるようだな」
御主人様(マイロード)、そうしないと『オノゴロ島』全体の運営が難しくなるからであると推測します』
 老君が的確な注釈を入れてくれた。
「しかしでかいな」
『はい。拡大率は先程の居住区と同じですので』
 大雑把な比較によれば、その魔導機(マギマシン)は10メートル程の高さがありそうだ。
 それが10基以上並んでいる。
「これで自由魔力素(エーテル)を集めているのか……」
『おそらくここ一箇所ではないでしょう。南回帰線上に何ヵ所かあると考えるのが妥当です』
 自由魔力素(エーテル)分布がほとんど偏っていないことを考えるとそうなるだろう、という老君。
 仁もそれには賛成だった。
「だとすると地下にこうした施設があるわけか」
『はい。そして『オノゴロ島』が全体を統括しているのでしょう』
「なるほどな」
『最低でも3箇所。『オノゴロ島』と正三角形を為すような地点の可能性が大です』
「うーん、なるほど」
 搦め手から攻めるのもありかもしれない、と仁は考えるが、今は施設の調査だ。
「他の魔導機(マギマシン)はどうだ?」
『はい。お待ち下さい』
 その階層にはこの魔導機(マギマシン)しか見あたらなかった。

 そして更に深い階層を調査する。
 30秒ほどの暗転の後、映った映像は。
「これは何だ……?」
 仁もまったく見たことのない魔導機(マギマシン)
「ジン君がわからないんじゃ私たちはお手上げね……」
 ヴィヴィアンが早々に諦めた。
「老君、内部は見られるか?」
『お待ち下さい』
 これだけの距離で精密な制御ができるのも老君ならでは。
 映像は魔導機(マギマシン)に近づき、その外被を通り抜けた。
「これは……」
「ジン、わかるのかい?」
「部分的に……だが。これはおそらく自由魔力素(エーテル)を転送する装置だ」
 だが、仁にわかるのもそこまでであった。
「組み合わせが複雑で、実物を見ないとわからない面もあるなあ……」
『おそらく部分的にブラックボックス化しているためではないかと思われます』
「なるほど」

 ブラックボックスとは、内部機構を知らなくても使える装置、または見ることができないように密閉された装置である。
 簡単に解析されないため……というより、作った『始祖(オリジン)』自身、理解せず使っている可能性もある。
 PCやスマホを使いこなす現代日本人が、必ずしも内部構造を知っているわけではないということだ。

「『始祖(オリジン)』も退化の兆しがあったらしいからな……無理はないか」
 仁は、わからないものは仕方ないと、さらなる情報を得るために画面に注意を向け直したのである。
 いつもお読みいただきありがとうございます。

 20160920 修正
(誤)そして島表面にと到着した。
(正)そして島表面へと到着した。

 20160921 修正
(旧)『赤外線映像です』
(新)『魔力波を光波に変換しています』
 魔力同位元素(マギアイソトープ)は微弱な魔力波を発しているので、それを光源にした暗視モードである。
 温度が安定している地下の場合、あまり赤外線の恩恵は受けられそうもないので。
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