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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

35 オノゴロ島篇

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35-18 そして、ついに

 カイナ村で楽しい日々を過ごしたシオンとマリッカは二堂城にいた。
 仁はエルザと共に、食堂で2人と向かい合っている。
「ジン、ありがと。楽しかった」
「ジン様、楽しかったです!」
「それはよかった。……で、2人にはこれから話があるんだ」
「何かしら?」
 仁は、まず自分の出自から話すことにした。
「俺は……」

 地球という星の日本という国の出身であること。そこでおそらく死にかけていたこと。
 先代『魔法工学師マギクラフト・マイスター』、アドリアナ・バルボラ・ツェツィと同じ魔力パターンを持っていたため、危ういところで礼子に召喚されたこと。
 そして、今日まで『やらかした』こと……。

「……」
「……」
 シオンとマリッカは、それを聞いて言葉が出てこなかった。
 特にマリッカは、情報を処理し切れていないという顔をしている。
「え……と、ほんとのこと、よね?」
 やっとの思いで反応を返したシオンに、仁は頷いてみせる。
「本当だよ」
「……まあ、ジンがちょっと……いえ、大分普通じゃないのはわかってるけど、まさか別の世界から来たなんて想像もできなかったわ」
「それが普通だと思うよ」
「でも、よくよく考えていくと、納得できてくるのよね。それに、エルザさんはそんなジンと結婚してるんだし、何よりもこの村はジンのこと……うーん、うまく言えないけど、仲間と思ってるというか……ちょっと違うかな……」
 首を傾げて、うまい言葉を考えるシオン。
「ああ、とにかくジンがどこの出身とか、何ができるとか、そんなこと一切関係なく、受け入れてるのよね!」
 そして一息ついてから更に言葉を続ける。
「むしろジンがすごい理由が分かったわ」
 その時、マリッカも再起動した。
「ジン様はジン様です! 私はジン様を尊敬してます、ただそれだけです!!」
「あ、ありがとう」
 仁はほっとした。
「あたしたちを信用してくれたのよね。こちらこそありがとう、ジン」
 シオンはジンに向かって頭を下げた。

 そして、暫くはいろいろな話をした。
 中でもシオンが聞きたがったのは、
「この前の流星雨の時、ジンは何をしたの?」
 とか、
「『始祖(オリジン)』って別の星から来たっていうの?」
 などについてだった。
 仁としても、現状を知ってもらうために必要な情報なので、包み隠さず説明したのである。

「その『オノゴロ島』? ……そこってなんだか胡散臭いわね」
「シオンもそう思うか?」
「ええ。聞いた限りでは、なんかいやーな感じがするわ」
 シオンも、勘で『オノゴロ島』が信用できないことを感じ取ったようだ。
「だから俺は今、どうしようかと思っているんだ。現に、こんなことがあったんだよ」
 仁はいよいよ最新の事件について説明することにした。

「……というわけだ」
「なにそれ! どう考えても理不尽よね!」
「こ、これから、どうなるんでしょうか?」
 シオンは憤り、マリッカは若干不安そうだ。
「それなあ……向こうの出方を見ないとなあ……」
 表立って敵対することになったら、仁の方が不利なのは間違いない。
 仁は、人類の住む地域全てを守らなければならないのに対し、向こうは『オノゴロ島』だけ守ればいいのだから。
「でもそれって、逆に『オノゴロ島』だけを攻撃すればいいということよね?」
 シオンのいうことは正論であるが、事はそう単純ではない。
「それはある意味そのとおりなんだがな。別の観点から見たら危険なんだ」
「どういうこと?」
「その『オノゴロ島』は、この世界の自由魔力素(エーテル)を集めていると言っただろう? そしてそれを送っている、とも」
「ええ」
「その送り先の相手が参戦してくる可能性があるんだよ」
「あ、そうか……」
 仁は、もしもそれが『ヘール』にいる何者かであるなら、こちらよりも遙かに優れた技術を持っている可能性もある、と告げた。
「うそ……ジンよりも凄い、っていうの?」
 仁は頷いた。
「その可能性を……いや、ほぼ間違いないと思う。そう考えて行動すべきだ」
「……怖いわね、確かに」
 シオンも、事の重大さがだんだんわかってきたようだ。
「それでな、先に『ヘール』を調べに行こうかと思ってはいる。準備中だけどな」
「でも、凄いわねえ。宇宙、か……正直、想像付かないわ。行ってみたいけど」
「だろうな」
 ここで仁は、ようやく2人に、今回招待した目的を告げる。
「それも含めて、俺に力を貸して欲しい」

「ええ? あたしたちなんて、何もできないわよ?」
「そ、そうです! ジン様に助けていただくことはあっても、お力になれることなんて何もないですよ!」
 シオンとマリッカは卑下するが、仁はそれを否定した。
「そんなことはないさ。俺だって間違うこともあるしできないことだってある。現に、エルザをはじめ、仲間たちに助けられることだって多い」
 そして仁は2人の顔を代わる代わる見つめ、
「仲間になってくれ」
 と告げた。

*   *   *

「ようこそ、蓬莱島へ」
 仁はいつものセリフを言う。
 シオンとマリッカは少し照れながらも、仲間になると言ってくれたのだ。
 それで、転移門(ワープゲート)を使い、蓬莱島へとやって来たのである。
「わあ……ここが、蓬莱島……ジンの本当の拠点……」
「す、すごいです……」
「随分と暖かいのね」
 北回帰線上にある蓬莱島はカイナ村に比べ、ずっと気温が高い。シオンは霜降狐(しもふりぎつね)の毛皮でできたコートを脱いだ。
「さあ、まずは研究所を案内しよう」
 時差の関係で、こちらはもう夕方なので、島の案内は翌日に回し、仁はまず施設の案内をすることにした。
「文字どおり俺の拠点だな。ここで『カプリコーン1』も『コンロン3』も作ったんだよ」
「わあ、楽しみです!」
「そうね、わくわくするわ」
 この先、どれだけ驚くことになるか、シオンとマリッカはまだ知らない。
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