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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

33 予兆篇

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33-35 見えた方針

「お父さま、情報を得るだけなら、その守護神(ガーディアン)さらってしまったらどうですか?」
 礼子が過激な発言をする。
 確かに、守護神(ガーディアン)をオノゴロ島でない場所に連れ出せば、『守る』意味がなくなるので、いろいろな質問に答えてくれるようになる可能性はある。
「そううまくいけばいいけどな……」
 島から連れ出したら停止する、暴走する、他の守護神(ガーディアン)が出てくる、などの可能性もあるわけで、最悪敵性認定される可能性だってあるのだ。
 おまけに、必要な情報を持っていない可能性だってある。
「そうですね……考え足らずでした」
 それを礼子に説明すると、礼子はしゅんと項垂れた。仁はそんな礼子の頭を撫でてやる。
「いや、いいんだ。いろんな意見を出して、それを検討しようとしているんだからな」
「はい」
御主人様(マイロード)、ここはやはり700672号さんに相談されるのが早道かと』
 老君の発言に、仁は渋い顔をする。
「うーん、どうなんだろうな。守護神(ガーディアン)のことを教えてくれたのは確かだが、それ以上詳しいことを知っているのかどうか……」
 考えた末、他の案が出なかった場合、聞いてみることに決めた仁であった。
「他に案はないかな」
『その守護神(ガーディアン)を納得させられるような証拠みたいなものがあればよろしいのでは』
「納得……って、彼等の言う『聖地』を訪れた理由か? だけど、守護神(ガーディアン)は融通効かない可能性が高いぞ」
『仰るとおりですね。守護神(ガーディアン)が警備のため『だけ』に存在するなら、交渉は難しいかもしれませんね』
「だよなあ……」

 このあと、1時間ほど考えたが、よい案も出なかったので、仁は礼子と共に700672号の下を訪れることにした。

*   *   *

「ようこそ、ジン殿」
「早速ですが、少しだけ進展がありましたので」
 いつもの手土産、ペルシカジュースを『ルージュ』に手渡した仁は、早速本題に入った。
 オノゴロ島の発見と、そこでの出来事を述べようとした。
 が。
「まず、『長周期惑星』について聞いておきたいのだが」
「あ、はい」
 仁は、700672号の要請に応じて、これまでわかったことを説明した。
「ふうむ、興味深い。吾も、ここから多少の観測をしていたが、ジン殿の話を聞き、裏付けが取れた」
 満足そうに頷く700672号。
「まず、先に言っておく。今のままの軌道ですれ違った場合、確実に災害が起きるな。もしかすると重力異常が起きる可能性もある」
「そのために、できることとしての対策をとりつつあります。内容は……」
 仁は、食糧の備蓄や、薬品の製造、エネルギーの備蓄などをしていると説明した。
「うむ、それはよい」
 700672号は満足そうに頷いたあと、先を促した。
「では、島の話を聞かせてくれ」
「はい」

*   *   *

「……という状況です」
「ふうむ、やはり守護神(ガーディアン)がいたのか」
「ええ。どうにかして、守護神(ガーディアン)に認められるようにはなりませんか?」
 その質問に、700672号は難しい顔をした。
「おそらく……無理だ。守護神(ガーディアン)は融通が利かないだろうから。そもそも、そんな判断ができる仕様ではないだろうしな」
「何か、彼等を信用させる手立てはないものでしょうか?」
「それも無理だな。吾のような、後期に作られたサーバントには、彼等についての知識も情報もない。役に立てなくて済まぬな」
「そうですか……」
 肩を落とす仁。
「だが、あきらめるのはまだ早い。それに……」
「えっ?」
「アルスに災害が起こりうるなら、彼等の惑星改造の技術は絶対に必要だ。協力を得られるよう努力することは間違っていない」
「な、なるほど」
 惑星を改造する程の技術があるなら、自然災害にも立ち向かえるだろう、というのだ。
「だが、今の話を聞く限り、一筋縄ではいきそうにないな」
「そうなんです」
 仁は難しい顔をした。
「うむ、そうだ。……『守護神(ガーディアン)は』融通が利かないが……」
 700672号は何かひらめいたようだ。
守護神(ガーディアン)を操縦、あるいは指示を出している存在が必ずいる。そういう相手なら交渉ができるはずだ」
「ああ、なるほど! ただ問題は、どうやってそういう相手を引っ張り出すか、ですね」
「そのとおりだ。吾が言えることは、そういう存在は気難しく、なかなか姿を現さないということだな」
守護神(ガーディアン)が全滅したら、姿を現すでしょうか?」
 珍しく過激な発言をする仁。
「ジン殿、何を考えている?」
「いえ、壊さなくても、転移させてしまったらどうなるかと思いまして」
 先程の礼子の発言を思いだしたのである。
「自爆したりするでしょうか?」
 この質問に、700672号は首を振った。
「いや、『主人たち』はそういう思考はしない、と思う」
 元々敵というものがいない環境にいたため、好戦的な対策はしていないはず、という。
 これを聞いて仁はかなり安心できた。
「転移させて、手駒がなくなれば、そういう存在が出て来ざるを得なくなるだろうな」
 700672号は仁の考えを読み、後押しする。
「そうですよね」
 とにかく、守護神(ガーディアン)を壊すことなく、一旦無力化できれば、その先にいる存在と交渉できるかもしれないのだ。
「『長周期惑星』対策のためにも、参考になる技術が得られたら」
「というより、確実に持っている」
 嵐や津波に対抗するには、『始祖(オリジン)』が持っていた惑星改造の技術が大いに役立つだろうと700672号は保証した。

「ありがとうございました」
 それから仁は、『始祖(オリジン)』の考え方について、疑問に思ったことをいくつか確認をし、蓬莱島へと戻った。

*   *   *

守護神(ガーディアン)の排除?」
「そう、どうやってやるか、だ」
 仁が蓬莱島に戻ると、エルザも回復薬・治療薬を作る作業を終えていた。
「壊さず、後で戻せるようにするわけ?」
「そういうことだな」
「ジン兄が言った守護神(ガーディアン)を転移で連れ出す他に、停止させる手もあると、思う」
「それはいえるな」
「『魔力素除去器(エーテルエリミネイタ)』でなんとかなる?」
「うーん、どうだろう。自由魔力素(エーテル)のほとんどない島で動いているんだから、何らかの対策はしているだろうし……」
 不確定要素は排除したいと仁は言った。
「となると、やっぱり転移?」
「そうだな」
 以前作った『転送銃』。これを使おうと仁は考えたのである。
「エネルギー供給系を見直して、転移させる先をきちんと決めて」
「外側を囲む岩か、湾の入口にある島がいいんじゃないかな」
 仁は地図を見ながら答えた。
 自爆するよう設定されていたとしても、場所が島の一部であれば、その可能性を低くできるという考えからである。
「賛成。そこなら、私たちに敵意がないことを証明することもできる」
「よし」
 転送銃も自由魔力素(エーテル)を必要とする。故にそのエネルギー供給系を改造する必要があるのだ。
 また、転送先もきっちりと決めておく必要があるので、念のためマーカーを置くことに決めた。
 何台現れてもいいように、全部で10丁、100回分のカートリッジを用意する。
 こうして、着々と『オノゴロ島』調査の第2幕はクライマックスが近付いていたのである。
 いつもお読みいただきありがとうございます。
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