挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

32 新婚旅行篇

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

1201/1740

32-19 旅行を終えて

 夕食は『家』ではなく、研究所の食堂。
 今回はエルザの手料理がメインだった。
「あー、やっぱり落ちつくな」
 仁とエルザ、それにミーネ、礼子、エドガー。
 最近の『我が家』の顔ぶれである。

「さて、簡単な反省会をしておきたいんだ」
 研究室の食堂で夕食にしたのはこれをしたいからである。
御主人様(マイロード)、準備はできております』
 老君が壁の魔導投影窓(マジックスクリーン)を起動させた。
「いや、島のことより、装備ややり方についてから始める」
『わかりました』

 仁はまず、自分の感じたことを説明し始めた。
「まず、長期間の船旅に必要なのは『暇つぶしの手段』だと改めて思った」
「ん、わかる。……その言い方はどうかと思う、けど」
 苦笑しながらエルザも同意した。
「ほら、ハンナが泳ぎたいと言ってたろう?」
「確かに。水に囲まれているのに泳げないというのは辛い、かも」
『つまり、プールの設置ですね』
 老君が結論を言う。
「そうなるな。……水はバラストに使っている分を流用できないかな?」
『飲料水と別に分けて考えれば可能でしょう。プールですが、巡洋艦ベースですと幅は取れませんね。幅5メートル、長さ10メートルくらいでしょうか』
「ああ、それでいいと思う」
 あるとないとでは大きく違う。
『では、甲板上に設置しておき、普段は蓋をしておいて使うときだけ開放する、という形式で』
「そうなるな」
 船で泳ぎたい、という願望を満たす目処は立った。では、次である。
「退屈しのぎに、ゴーレム楽団を作ったらどうかと思ったんだ」
『楽団、ですか』
「そうだ、……リトル職人(スミス)かミニ職人(スミス)を使って、オーケストラ……と言っても、俺も詳しくはないんだが、そういった楽団を作って、演奏させたい」
「ジン兄、ショウロ皇国にも軍楽隊はいるけど、そういうもの?」
 エルザが首を傾げながら尋ねてきた。
「そうだな。軍とは関係ないし、行進曲だけ奏でるわけでもないけどな」
 仁の知る音楽・楽曲にも限りがある。作曲の才能がある仲間がいれば……と、ちょっとだけ思った仁であった。
「弦楽器、管楽器、打楽器の開発も行わないとな」
 できるだけ仁がイメージするオーケストラに近くしたいと思っている。
『わかりました。そうした楽器の調査・開発も行っていきます』
「頼んだぞ」

 旅行中に気が付いた項目を、ごく小さいものも含めて再検討を終えれば、いよいよ『プレアデス諸島』についてである。
『まずは、見つけた資源につきまして、ご指示をいただきたく』
「うん。まずは植物。バルサ、ウルシもどき、ヤシの木、各種香辛料、だったか」
「あとバナナの木も」
「ああ、そうだったな。ありがとう」
 エルザの補足に仁は礼を言った。
「苗木を採取して、蓬莱島でも栽培してみよう」
『わかりました』
 これらは5色ゴーレムメイド、トパズの役割になるだろう。

「宝石も豊富で、確認したものはペリドット、水晶、クンツァイト、トパーズ、それに宝石ではないが滑石だったな」
『そうなります。その後の調査で、ダイヤモンド、ガーネット、スピネルも見つかっております』
「そうか。乱開発は避けるべきだが、素材として少し採取するのもいいかもな」
『でしたら海底の鉱床から採取いたしましょう』
「ああ、それはいいな」
 老君の提案を仁も賛成した。
 市場に出すことはないかもしれないが、蓬莱島がこの世界を陰ながら支えるためには資材が不可欠だからだ。

『生物も若干確認しております。毒のある昆虫、魚、クラゲがいました』
「ああ、やっぱりな」
 仁たちが泳ぎを楽しんだ『アトラス島』では、マーメイド部隊がほとんど総掛かりで付近の危険生物を排除していたらしい。
「ちゃんと結界もあったから大丈夫なんだがな」
「お父さま、それでもわたくしたちは心配なのです」
 仁の言葉に、それまで無言でいた礼子が口を挟んだ。
「そう……だな。悪かった、礼子」
「いいえ、お父さまは悪くないです。これはわたくしたちの我が儘のようなものですから」
製作主(クリエイター)』である仁を最優先すること、それはどうあっても譲ることのできないアイデンティティなのである。
「ありがとう」

 フォローは老君が引き受けてくれたので、仁は最後に残った謎について、再度考えることにした。
「さて、一番の謎だ。圧縮された方鉛鉱が、なぜあんな場所にあったのか」
御主人様(マイロード)、情報が少なすぎて判断することができません』
 老君の言うことはもっともである。
「確かになあ……だが、あれ以外の手掛かりは見つからなかったんだろう?」
 さらに数を増やしたランド隊が『アルキオネ島』を探索したが、こうした不可思議な物質は発見できなかったのである。
 そもそも、これを見つけたことも偶然の産物だったわけだが。
『最後の手段として、700672号さんに聞いてみることをお勧めします』
「やっぱりそうなるかな」
「……ジン兄、魔族の人たちには挨拶したのに、700672号さんにはしてない」
 エルザが指摘する。
「まあ、なあ」
 以前魔族領に行った時は時間が足りなかったこともあるのだが。
「挨拶がてら、行ってみるか」
 どうにも気になる仁であった。
「ん、じゃあ、明日にでも」
 エルザも賛成してくれる。
 700672号のところには、転移門(ワープゲート)が設置してあるため、移動に時間は掛からない。

御主人様(マイロード)、最後に報告があります』
 仁が、今日はこれで終わり、と思ったところに老君が話しかけてきた。
「うん、どうした?」
『長周期惑星のことです。……ユニーの『ジャック』からの報告ですが、より詳しい観測を行うために、無人観測ロケットを送り出したとのことです。接近するまであと15日程とのこと』
 距離が離れていては、詳しいこともわからない。『ジャック』の措置は当然といえた。
「わかった。結果が出次第報告してくれ」
『はい、御主人様(マイロード)

 今度こそ、この日の作業は終わり。
 下準備をして、仁とエルザは休むことにした。
「おやすみなさい、母さま」
「お義母さん、お休みなさい」
 ミーネに声を掛けて、仁とエルザは『家』へ。ミーネは新婚の2人を邪魔しないよう、研究所の自室へ向かったのである。
 いつもお読みいただきありがとうございます。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ