挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

32 新婚旅行篇

1191/1510

32-09 9月11日旅行三日目 エレクトラ島

 参考資料2(地図)、21章関連地図にプレアデス諸島の正式名称を明記しました。
 現地時間午後1時、『蓬莱島新婚旅行艦隊』は『エレクトラ島』に到着した。
 島の南側が、調査によるとちょうど接岸にいい断崖となっていたので、そこを目指す。
「天然の港だな。これがなければはしけ代わりにストリームを呼ばなきゃならないところだった」
 偶然にも、段差もちょうど巡洋艦の甲板と同程度だったので苦労せずに上陸できた。
「おおー! 未知の土地! 未知の自然! 楽しみだなあ!」
 今にも駆け出しそうなグースに、仁は釘を刺す。
「グース、障壁(バリア)があるとはいえ、単独行動はするなよ?」
 仁はサポートのために呼んだランド隊をちらと見て、
「必ずランドを1人連れて行くようにしてくれ」
 と、全員に向かって言ったのである。もちろん仁には『桃花』を持った礼子が付いている。

 この『エレクトラ島』に凶暴な生き物がいないことを確認しているとはいえ、単独行はやはり危険である。
 確認が短時間であることを考えると、見落としや、地中に潜む危険などもありえるからだ。
 だが、奥へ行こうと考えているのはグースとサキくらいで、あとの者は沿岸部周辺だけで満足しているようだった。

 断崖の上は草も木もほとんど生えておらず殺風景だったので、ぐるっと回って砂浜に下りてみる一行。
「この木は面白いな」
 そこでグースは、沿岸部に生えている木を興味深そうに見上げた。
「お? 実が生っているな」
 そう言いながら、いきなり木を蹴飛ばした。木が揺れ、実が落ちてくる。
 どす、というような音を立てて、木の実は砂浜にめり込んだ。
「おお、重そうな実だな」
「グース、頭に落ちてきたら大変だぞ?」
 仁が注意すると、
「いや、さすがにそこまで無分別じゃないさ」
 と言葉が返ってくる。
「くふ、そうかなあ……?」
 サキは懐疑的だ。

 それはともかく、落ちてきた実を見た仁は礼子に、桃花で真っ二つに切ってみるように指示をした。
「わかりました」
 素早く礼子は桃花を抜き放ち、その実を一瞬で真二つにした。
「おお、すごい」
 早速グースはその実を拾って観察する。
「ふむ、外側は繊維状の皮、中に種……なのかな?」
 仁も残り半分を拾い上げてみた。
「種の中には……果肉? それに水分……やっぱり、『椰子の実』にそっくりだ」
 そう、その実は仁が知る『椰子の実』そっくりなのであった。
「ココナッツミルク……だっけ? 料理とかお菓子に使えるんだっけ?」
 あまり仁はココナッツ系の食材は使ったことがないのでうろ覚えであった。
「まあいいか。研究してもらおう」
 サンプルを確保し、ペリドたちに応用を研究してもらうことにした。
 が、実の周りの繊維質はタワシに使ったり、土に混ぜて土壌改良をしたりできることは憶えていた。
 それをサキとグースに言うと、
「ふんふん、役に立ちそうな植物だね!」
「うん、ためになるな。仁、参考になった」
 と、それぞれの反応を示した。
「じゃあ、もっと面白い木がないか探しに行ってくる」
「くふ、ボクも」
 そんな2人に、仁はランド2体を付けてやったのである。

「あなた、ほら、きれいなお魚が泳いでいますわ」
「ああ、ほんとだ。飼えたら面白そうだが無理だろうなあ」
 ラインハルトとベルチェは、潮だまりで魚を眺めていた。色とりどりの熱帯魚が泳いでいるのを見ているだけでも楽しそうだ。
「ここの魚は海水だから難しいが、淡水魚ならガラスや水晶で器を作って、そこに泳がせれば……」
 ラインハルトは鑑賞用に魚を飼うにはどうすればいいか考えているようだ。

「うわー、お水が温かい! あっ、お魚さんだ!」
 ハンナは水着になり、浅瀬で思う存分泳いでいた。
 ちゃんとゴーグルもしているので水中でもよく見えるため、小魚を追いかけて遊んでいる。
 マーサはそんなハンナを木陰でにこにこしながら眺めていた。
「マーサさん、ハンナちゃん可愛いですね」
 そんなマーサの隣にはミーネもいて、のんびりを会話を交わしている。
「あたしゃ生まれて初めてこんな遠くまで来たから、驚いてばかりだよ」
「ふふ、そう仰るわりにはそれほど驚いてらっしゃるようには見えませんよ?」
「それは、ジンとの付き合いも長いからかねえ」
「ふふ、そうかもしれませんね」

「リシアさん、これ塗るといい」
「ありがとうございます。……これは?」
「日焼け止め」
「ひやけどめ、ですか?」
「ん。日に焼けにくく、なる」
「わあ、こういう物があるんですね!」
 リシアは早速腕や顔に塗ってみた。
「南は日射しが強いから」
 リシアは後から来たので、渡しそびれていたのである。
「……これ、もしかして?」
「ん、ジン兄が、ケメリア油を使って、作った」
「すごいですね……」

「ビーナ、ルイス、これをどうぞ。日焼け止めっていうんだ」
「へえ、ひやけどめ? とすると、これを塗ると日に焼けないの?」
「ああ。とはいっても少しは焼けるけどな」
「でも、助かるわ」
 ビーナはすぐに塗ろうとして、まず夫であるルイスに手渡した。
「はは、ありがとう。まずはお前が塗りなさい」
「ありがとうございます」
 ということでまずはビーナが、その後ルイスが日焼け止めを使った。
「しかし、ジン殿と付き合うということは驚きの連続だな」
「そうですわね、ルイス様」
「2人は泳がないのかい?」
「う、うん。あたしは泳げないし……」
「ビーナと一緒にのんびりするよ。ここのところ忙しかったからね」
「そうですわね、ルイス様」
 クズマ伯爵夫妻は、参加するまで忙しい毎日を送っていたらしく、木陰でのんびりとするようだ。
 それはそれで南の島の楽しみ方といえるだろう。

「父さん、たまにはこういうのもいいね」
「ああ、そうだな。仕事を離れてのんびりするのも」
 マルシアとロドリゴは砂浜で泳いだり寝転がったりしている。

 皆それぞれ『南の島』を楽しむのであった。
 いつもお読みいただきありがとうございます。

 20160607 修正
(誤)リシアは早速腕や顔の塗ってみた。
(正)リシアは早速腕や顔に塗ってみた。

 20160608 修正
(誤)早速グースはその身を拾って観察する。
(正)早速グースはその実を拾って観察する。

 20160721 修正
(旧)「……これも、もしかして?」「ん、ジン兄が、作った」
(新)「……これ、もしかして?」「ん、ジン兄が、ケメリア油を使って、作った」
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ