挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

30 謎のゴーレム篇

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

1103/1714

30-13 ゴーレム競技開幕

〈それではいよいよ、『ゴーレム競技(ゴンペテイション)』開幕です! 私は司会のエムサストン、通称エムシィと申します〉
〈解説のトルフェデスト、通称トルフです〉
〈トルフさん、今日はよろしくお願いします〉
〈はい、こちらこそ〉
〈我が国における最初の『ゴーレム競技(ゴンペテイション)』と言うことですので、簡単に説明していただけますか〉
〈わかりました。一言で言えば、ゴーレムを競わせて優劣をつける、というものです。そしてその内容、つまり競技についてを説明させていただきます〉
〈お願いします〉
〈大別して、身体能力、つまり力や速さを競うものと、動作の精密さを競うものに分けられます。前者は短距離走やおもり投げですね。そして後者はコイン積みなどですね〉
〈わかりやすい例えをありがとうございます〉
〈最後に、模擬戦というのもありますが、これは説明はいらないでしょうね〉

 このようにして、競技の説明が行われていった。
〈では皆様、具体的な競技の説明をいたします。詳細は競技前にまた行うことにしまして、まずは概要です。トルフさん、お願いできますか?〉
〈トルフです。まずは陸上競技としてお馴染み、短距離走。それから高跳び。そして槍投げです〉
〈わかりやすいですね。それだけで大体の内容が推測できます〉
 ショウロ皇国では錘を投げたが、ここでは槍投げとなったようである。
〈それから精密動作競技ですが……〉
〈先程のコイン積みのようなものですね〉
〈そうですが、コイン積みでは絵的に見栄えがしませんので、『的当て』となっていますね〉
〈なるほど、的を目掛けて何かを投げて当てることを競うのですね〉
〈そのとおりです〉
 仁もそれを聞いて面白そうだな、と思った。
〈そこまでが本日行われ、明日が模擬戦となります〉
〈よくわかりました。ありがとうございます。……さて、出場者の準備もできたようです。製作者もしくは所有者とそのゴーレム、総勢40組。それぞれ番号を振ったゼッケンをつけてもらっています〉
〈番号は申し込み順となっているようですね〉
〈今回は招待選手もいらっしゃいます。それでは、選手の皆さんを拍手でお迎え下さい!〉
 控え室の扉が開き、ゼッケン1を付けたゴーレムと、その所有者(もしくは製作者)が出てきた。それに続き、ゼッケン2、3、と続いて出てくる。

〈ゼッケン1、ショウロ皇国からの招待選手です。エーリッヒ・ジフロ氏! ゴーレムは『鋼鉄騎士(シュタールリッター)』!〉
 拍手と歓声が沸く。細マッチョ、といった体型のゴーレムは、洗練された感がある。
(エーリッヒ・ジフロ? ……知らないが、あのゴーレムはなかなかのものだ)
 とは仁の感想である。

〈ゼッケン2、エゲレア王国からの招待選手です。ヤルイダーレ氏、ゴーレムは『ザーベラー』!〉
(確か、ゴーレム園遊会(パーティー)の時、歌を披露した『ズィンゲル』を作った魔法工作士(マギクラフトマン)だっけ。あんな人だったんだ)
 歌うゴーレムということで印象深かったため、仁は名前を覚えていたのである。が、当時は財務相ブラオロートの依頼で作った、という情報のみで、どういう人物かはわからず仕舞いだったが、はからずもこのような場所で知ることができたのであった。

〈ゼッケン3からは我が国の選手です……〉
 選手の紹介が続くが、仁としては一々全部覚えていられない。そもそももらった資料に選手の一覧表があるので、必要ならそれを見ればいいからだ。
〈……40番、かつて『アルファ』を名乗ったこともあるドナルド・カロー氏、『古き戦士(アルトクリーガー)』! 以上40組です!〉
(ジン兄、あれは見たことある気が、する)
(そうだろうな)
 そう、『懐古党(ノスタルギア)』のナンバー2、ドナルドである。
懐古党(ノスタルギア)』のバックアップを受け、個人名義で出場していたのである。
(……納得。ちょっと楽しみ)
(そうだな)
 仁とエルザも、知らない相手ではなし、少し期待を抱いたのであった。
 そして、40組の紹介が終わり、いよいよ競技開始である。

*   *   *

〈短距離走は500mを走ってその記録を競います!〉
〈10組ずつ、4回の予選を行い、上位2組が決勝進出できます〉
 解説の説明を聞きながら、仁は以前、礼子は2秒を切り、マルカスのゴーレムは12秒くらい、その他のゴーレムは20秒超位だったな、などと思い出していた。

〈3、2、1、スタート!〉
〈なかなか速いですね。皆さん優秀です〉
 1組目のトップはエーリッヒ・ジフロの『鋼鉄騎士(シュタールリッター)』でおよそ10秒。2位は僅差でヤルイダーレの『ザーベラー』であった。
(やっぱり、あのゴーレムは、パワーの配分を変えられるようだな)
『あのゴーレム』というのは『鋼鉄騎士(シュタールリッター)』のことである。
 仁の目は、その特徴を見抜いていた。
 おそらくパワーソースは魔力貯蔵庫(マナタンク)、その限られた出力を自由に割り振ることで、さまざまなシーンに即対応できるようになっていると仁は考えた。
(いいアイデアだな……)
 今回は脚力に割り振ったのだろう。
 体操選手に比べ、陸上選手、特にランナーの腕は細い、というようなものだろうか。
 比して、ヤルイダーレの『ザーベラー』は、その『魔術師』という名のように、パワー型ではないのだろう。

 そんなことを考えていたら、第2組が走り終えていた。特に見るものはない、と仁は感じていたが、観客が沸いているところを見ると、16番、『蒼天の騎士(ブルーナイト)』というゴーレムは人気があるのだろう。
(格好は騎士っぽくていいけど、パワーが不足している上に配分も悪いな……)
 仁の評価は、本日の中では中の下である。

 そして第3戦が終わり、第4戦。
(おっ、いよいよか)
〈……40番、ドナルド・カロー氏、『古き戦士(アルトクリーガー)』!〉
〈ドナルド・カロー氏は、先日引退された『アルファ』でしたからね。これは期待できますよ〉
〈年齢を理由に、王権が交代した際、後進に道を譲ると言って引退したとはいえ、元『アルファ』のドナルド・カロー氏、期待大ですね〉
 仁も、ドナルドのゴーレムに注目した。
 パワーのバランスもよく、動きもいい。『統一党(ユニファイラー)』時代よりさらに洗練された感がある。
〈……スタート!〉
(……やっぱりな)
〈おおっ! 『古き戦士(アルトクリーガー)』、やはり速い!〉
〈元アルファの実力これにあり、といったところですね〉
古き戦士(アルトクリーガー)』は他9体のゴーレムに圧倒的な差をつけ、7秒でゴールインしたのであった。

 そしていよいよ決勝戦となる。
〈やはり1番、2番、16番、35番、40番に期待ですね!〉
〈そうですね。招待選手のレベルが高いのは当然として、我が国にも16番『蒼天の騎士(ブルーナイト)』や35番『鉄戦士(アイアンウォリアー)』、そしてなんといっても『古き戦士(アルトクリーガー)』がいますからね〉
〈決勝戦は10秒前後の争いとなるでしょう。期待大です!〉
 そしてスタートのカウントダウンが始まった。
〈5……4……3……2……1……〉

「おっ?」
〈……スタート!〉
 競技場の外から、黒い影が駆けてきた。
〈なんだ、どうした!? これはなんということだ! 飛び入りで謎のゴーレムが参戦! しかも速い速い!〉
 どこからともなく現れた謎のゴーレムは、一足先に走り出していた8体のゴーレムをゴボウ抜きにしてゴールイン。
 測定はしていないが、5秒そこそこの記録であろう。
〈い、1位は飛び入り参加のゴーレム! 2位は40番、ドナルド・カロー氏、『古き戦士(アルトクリーガー)』、3位はヤルイダーレ氏の『ザーベラー』、4位は1番、エーリッヒ・ジフロ氏の『鋼鉄騎士(シュタールリッター)』です!〉
 司会も戸惑っている。2位の『古き戦士(アルトクリーガー)』も予選よりも速く走り、6秒くらいのタイムだったことを考えると、謎のゴーレムの速さは際立っていた。

(あれは……!)
 飛び入りのゴーレムは、まず間違いなく、エゲレア王国で報告された謎のゴーレムであった。
 いつもお読みいただきありがとうございます。

 お知らせ:3月12日土曜、早朝から夕方にかけて実家へ行ってまいりますのでその間レスできなくなります。ご了承ください。

 20160312 修正
(旧)『古き戦士(アルトウォリアー)
(新)『古き戦士(アルトクリーガー)
 ドイツ語で統一しました。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ