挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

29 世界会議と賢者の足跡篇

1061/1475

29-26 ハンナの発見

「うーん、探し方が悪いのかなあ……」
 時刻は現地時間で午前11時半。
 少し早いが、気分転換のためにも昼食にすることにした。
 もちろん、ランド隊たちはそのまま探索を続けることになる。

 用意した昼食はサンドイッチだ。
 玉子サラダ、トポポサラダ、ハム、ベーコンなどを挟んである。
 飲み物は微炭酸のシトランジュース。後口がさっぱりする。
「ごちそうさまー」
 食べ終わったハンナは、沖の方を見つめている。
「どうかしたのか、ハンナ?」
 その様子が気になった仁は、ハンナに尋ねた。
「うん。……ねえ、おにーちゃん、あそこに見えるのって、島かな?」
「え?」
 ハンナが指差す方を見ると、水平線の上にぽつりと島らしいものが見えた。
「礼子、どうだ?」
 一行の中で最も目のいい礼子に仁は尋ねてみる。
「はい、お父さま。あれは、島ですね」
「そうか……」
 アルスの曲率は地球より大きいので、水平線ギリギリに見えるということは10キロも離れていないということになる。
「スカイ、確認してきてくれ」
「わかりました」
 そばにいたスカイ33がラプター3に乗り込み、飛び立った。
 そして2分後、礼子を通じて報告が入る。
「お父さま、ごく小さいですがやはり島だそうです」
「そうか……」
 それを聞いたハンナが仁に言った。
「ねえ、おにーちゃんたちが探している場所って、もしかしたらあの島じゃない?」
「何だって!?」
「だって、あの島、さっきの記念碑から見て真っ正面にあるんだよ?」
「え……」
 仁はハンナの言葉を聞いて、改めて記念碑の所へ行ってみた。
「確かに……」
 よくよく見ると、記念碑は真っ直ぐ海に向いているのではないようだ。
 10度くらい北に向いており、その方向に先程見つけた島がある。
「なるほど、ハンナの言うとおりだ。あの島にシュウキ・ツェツィの記録が残されている可能性はあるな」
「ジン、行ってみるかい?」
 サキが少し興奮気味に言う。どうやらサキも行ってみたいらしい。
「そうだな。『コンロン3』が着陸できる広い場所があるかどうかわからないから、『ファルコン』で行こう」
『ファルコン』は垂直離着陸機(VTOL)である。最高速度時速300キロで10人乗り。こういう場面には滑走路のいらない小型垂直離着陸機(VTOL)が向いている。

 スカイ41が操縦する『ファルコン4』に、エドガーも含め、一行は乗り込んだ。『コンロン3』は一時的にスカイ隊が管理することになる。
『ファルコン4』をサポートするように、『ファルコン3』と『ファルコン5』も飛び立った。
 数分で目的の島に到着。
 予想どおり、平らな場所はほとんどなく、辛うじて島の北東側に着陸できそうな平地を見つけた。
 慎重に降下する『ファルコン4』。
 スカイ41の腕は確かで、『力場発生器フォースジェネレーター』も使わずに、衝撃もほとんどない完璧な着陸を行った。
「お父さま、まだ下りるのはお待ち下さい」
 礼子が仁たちを止める。
「危険はないと思いますが、油断はできませんから」
「そうですとも。まずは私たちが様子を見てまいります」
 そう言って、エドガーとアアルが『ファルコン4』を下りたのである。

 上空から見た限りでは、動物類はいない。植物も、高い木は生えておらず、灌木と草だけである。
 エドガーとアアルは、それぞれ右回りと左回りで島を回り込みながら確認を行っていく。
 島の形はいびつな円形、1周3キロほどの小さな島である。
 幻影結界の影響もあって、蓬莱島謹製の地図にも載っていなかった小島である。

 エドガーとアアルが出会ったのは、島の西南西。エドガーの方が少し早かったようだ。
 そこも海側は少し開けた平地となっている。ローレン大陸がよく見えた。
 おそらくこのあたりは、海を挟んで、記念碑のある岬と相対している地点であろう。
「アアルさん、こちらには何もなかったのですが、そちらは?」
「はい、こちらにも何もありませんでした」
 その時。
 島側、つまり岩山奥から、2体の『自動人形(オートマタ)』が現れたのである。

「君たちは何者だ?」
 1体は黒目黒髪の成人男性型。それが口を開いた。
「あなたたちは?」
「質問をしてるのはこちらです」
 これはもう1体の、暗めの金髪をした成人女性型の言葉。
「私はエドガー」
「私はアアル」
「ほう、名前を持っているのですか。それは興味深い」
「それで、エドガーさんとアアルさんは何をしに来たのです?」
 女性型が更なる質問をしてきた。
「我々はこの島に、『賢者(マグス)』の手掛かりがないかとやって来たのです」
「ふむ。岬の記念碑に気が付いたようだな。だが、興味本位でこの島を荒らすことは許せない。立ち去って貰いたい」
「え、でも……」
 男性型自動人形(オートマタ)はけんもほろろに2人を拒絶した。
「立ち去りなさい」
 女性型自動人形(オートマタ)も、とりつく島もない。
「……わかりました」
「エドガーさん!?」
「アアルさん、ここは引きましょう」
 そう言ってエドガーはアアルが来た方向へと、つまり右回りに駆け出した。
 そちらの方が仁たちのいる地点により近いからである。
「あ、待って下さい」
 一拍遅れて、アアルもエドガーの後を追った。

*   *   *

「……と、いうわけです」
 数分後、エドガーとアアルは仁に報告していた。
「ふうん、やっぱりこの島に『賢者(マグス)』の手掛かりがあるのは間違いなさそうだな」
「はい。争うのはまずいと思い、引き上げてきました」
「うん、それでいい。……それじゃあ、我々全員で行ってみようか」
 礼子がそれをやんわりと押し止める。
「お父さま、危険ではないでしょうか?」
「ああ、だから必要以上には近付かないし、みんな『仲間の腕輪』を持っているから『障壁(バリア)』も張れる」
「でも……」
「それに、『賢者(マグス)』に関係ある自動人形(オートマタ)なら、人間相手にそうそう過激なことはしないだろう。礼子もいるしな」
分身人形(ドッペル)』を使うことも考えたのだが、『興味本位で』はないことを証明するためにも、自ら行かないと相手にして貰えないのでは、という考えがあった。
 そして、それが先代の作った自動人形(オートマタ)であるならなおのことだ。
「ですが……」
 まだ礼子は納得しないようだ。
「わかったよ。それじゃあ、老君に言って、ランド隊10体くらいここへ回して貰おう」
「はい、それでしたら」
 仁がどうしても『賢者(マグス)』の手掛かりを知りたいというのを知り、礼子も折れたのであった。
 いつもお読みいただきありがとうございます。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ