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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

28 世界会議準備と遺跡調査篇(続)

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28-25 暴走

 何とか復旧しました。
 ご心配おかけしました m(_ _)m
「魔物だって? ゴーレム部隊じゃなく?」
 思わず聞き返してしまった仁。
「はい、魔物です。『巨大蟻(メガアント)』と『超巨大蟻(ギガアント)』だそうです」
「ランド隊に命じて掃討させろ。手強ければ、増援を呼ぶんだ」
「はい、老君にそう伝えます」
 指示を出した仁は、目の前の問題に取り組むことにする。
 正面の床に穴が開いたのだ。
《出でよ、無敵のゴーレム部隊!》
 魔導頭脳が声高らかに宣言した。
 だが。
 出てきたのは半壊したゴーレムが3体だけ。しかも1体は歩き出そうとしてそのまま脚が折れ、倒れ込んでしまう。
「……何だ?」
 そんな、仁と同じ感想を、魔導頭脳も持ったらしい。
《い、いったい何をした!》
「ジン君、いったいどうしたというのかしら?」
 ミロウィーナも事態が理解出来ず、戸惑っている。
 だが、本当に混乱しているのは魔導頭脳だったろう。
《おおお、私の無敵部隊が……!》
「ジン兄、あれ」
 半壊したゴーレム3体が出てきた穴から、なんとギガントーアヴルムが4体這い出してきたのである。
 この巨大ハサミムシは、かつて傀儡くぐつのアルシェル、そのホムンクルスが使役していた魔物で、尻尾の巨大ハサミが武器だ。
「ミロウィーナさん、俺のそばへ」
 仁はミロウィーナを庇いつつ、守護指輪(ガードリング)を使い、障壁(バリア)を展開した。
《いったいなぜ、ゴーレム部隊が魔物に変わってしまったのだ!!》
 事態を理解できないらしい魔導頭脳の混乱した声が響き渡った。

*   *   *

 一方、地上では、50匹を超える『巨大蟻(メガアント)』と、20匹強の『超巨大蟻(ギガアント)』が這い出してきた。
 巨大蟻(メガアント)はさほど危険ではないが、超巨大蟻(ギガアント)の方は、口から強酸性の腐食液を吐くので危険だ。
 その女王蟻の体液で、かつての礼子は、海竜(シードラゴン)の翼膜から作られた皮膚を少し溶かされてしまい、その欠点克服のために『古代(エンシェント)(ドラゴン)』の抜け殻を探しに行ったほどである。
 従って、迎え撃つランド隊は油断をしなかった。
 物理障壁(ソリッドバリア)を展開して腐食液から身を守りつつ、『光束(レーザー)』で攻撃していく。
 安全確実な方法である。
『1匹たりとも逃がしてはなりません』
 老君からの指示が飛ぶ。
 そのために、上空には転送機で送り込まれたファルコン5、6が飛び、監視している。
 また、『コンロン3』も、危険を避けて一時上空へと避難している。と同時に、地上の監視も併せて行っていた。
 数分で決着が付いた。
巨大蟻(メガアント)52匹、超巨大蟻(ギガアント)23匹ですか。これで終わりかどうか、もうしばらく監視しておきましょう』
 念のため、老君は警戒態勢を続行するように指示を出したのである。

*   *   *

 障壁(バリア)を張った仁とエルザは、ミロウィーナを庇いつつ後退する。戦闘力のないカイも後退した。
 一方礼子はギガントーアヴルムを迎え撃つ。
 今の礼子の前には、ギガントーアヴルムなど、敵たり得ない。
 武器は持って来ていないので、徒手空拳での迎撃であるが、拳を振るえば1体、蹴りを繰り出せばまた1体。
 更に手刀で1体と、次々に屠られていく巨大ハサミムシ。
 そして最後の1体は、投げ飛ばされ、壁にめり込んで息絶えた。

《なぜだ……なぜこんな魔物が……私のゴーレムは……》
「おそらく、ゴーレム格納庫の中でこいつらが増殖したんだろうな」
 仁が推測を述べた。
自由魔力素(エーテル)が漏れていて、それに引き寄せられたのかもしれない」
「なるほど、そして自由魔力素(エーテル)を喰らって巨大化したんですね?」
「そうだろう……と言いたいが、ちょっと違うな」
 礼子の発言を訂正する仁。
「巨大化は世代を重ねた結果だろうな」
 いきなり巨大化したのではなく、世代を重ねるにつれ巨大化していったのだろうと思われた。
「もしかしたら、『始祖(オリジン)』の地下牧場のそばにゴーレム格納庫を作ったのかもしれないしな」
始祖(オリジン)』の一部が、『精神触媒』を手に入れるために、かつて『地下牧場』を作っていたことがあったのを仁は知っている。
 ここ旧レナード王国にもそんな場所があったのかもしれない。今となっては確かめようもないが。

《うあおおお……私の存在意義が……qうぇどうしてr*ゅい×あsd?fg・なぜhj》

 ますます魔導頭脳の言葉が意味不明になっていく。
「完全に暴走しているな」
 仁の推測では、魔導基盤が劣化して、正常動作出来なくなっていると思われた。
「……もう役目を終えさせてやらないとな」
 こんなになってまで、己の役目に固執する様は哀れである。
「『地下探索(グランドサーチ)』」
 仁は、地中のどこかに魔導頭脳があるはずと、探りを入れた。
「『地下探索(グランドサーチ)』……『地下探索(グランドサーチ)』……」
 そして4度目の探査でそれは見つかる。
「『地下探索(グランドサーチ)』……これか!」
 ギガントーアヴルムが出て来た穴の右側に、それらしい反応があった。
「礼子、行くぞ」
「はい、お父さま」
「エルザはミロウィーナさんを頼む」
「ん、了解」
 エルザは仁の代わりに障壁(バリア)を張り、ミロウィーナを保護した。
「ジン兄、レーコちゃん、気を付けて」
「……ジン君、魔導頭脳を、もう、休ませてあげて」
 ミロウィーナはあくまでも優しい言葉を掛けた。
「はい。行って来ます。……『掘削(ディグ)』」
 工学魔法に含まれる土属性魔法『掘削(ディグ)』を使い、仁は魔導頭脳まで穴を穿っていく。
「あと少しだな。……『掘削(ディグ)』」
「お父さま、開きました」
「よし」
《うあrty*hくせjk<?ああjこ@ああ……》
 仁と礼子の目の前には、外装が半ば朽ちた魔導機(マギマシン)があった。
「これか……」
「お父さま、思った以上にひどい状態ですね」
 外装は鋼鉄製だったため、地中の湿気ですっかり赤く錆び、ところどころ穴が開いていた。
 そしてそこからギガントーアヴルムが入り込んだのだろう、内部の魔導基盤も破損している。
 それが止めとなったのだろう。
「……もう直しようがないな」
「ですね」
《お あ あ あ”あ”:@*くぁswでfrgtml、;。》
「……もう、いいのです。安らかに、眠りなさい」
 礼子は人差し指で魔導基盤を突いた。
 それだけでバラバラに崩れる魔導基盤。
 こうして、暴走した魔導頭脳はその役目を終えたのである。
 いつもお読みいただきありがとうございます。

 20151207 修正
(誤)その女王ありの体液で、かつての礼子は
(正)その女王蟻の体液で、かつての礼子は
+注意+
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