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マギクラフト・マイスター 作者:秋ぎつね

28 世界会議準備と遺跡調査篇(続)

1006/1565

28-17 メンバー紹介

「ここが崑崙島こんろんとうか、いいところだな」
 芝生の広がる庭から、館を見て感心するクズマ伯爵。
 ビーナは2度目であるが、やはり感激しているようだ。
「ああ、懐かしいわね。あの時はエルザ……と一緒だったけど」
 そんな2人に、仁は話しかける。
「さて、これで終わりじゃないんだ。世界会議のために、新しく建てたものがあるんだよ」
「え? 建てたの?」
「そうさ。詳しい話は後にして、是非見て欲しい」
 ということで、『バリアクッションカー』で海岸へと向かう。
「な、な、何これえ!」
「『バリアクッションカー』っていうんだ。『結界』を車の下に発生させて車体を浮かせているんだよ」
 仁が説明するが、ビーナはそれでも納得しない。
「それじゃあ、浮くことはできても、進めないじゃないの!」
 瞬時にそうしたことに思い至るあたり、やはりビーナには才能がある、と仁は思う。
「まあまあ。後でゆっくり、全部説明するから」
 と宥めておくに留めたのである。
 クズマ伯爵はバリアクッションカーにも驚いていたが、その速度とほとんど揺れない乗り心地にも感心していた。

 15分ほどで海岸だ。
「ほら、あれが『翡翠館』だ」
「……」
 ビーナは無言。クズマ伯爵は感想を口にしてくれた。
「……文字通り翡翠でできているのか。あまり人気のない石とはいえ、贅沢な使い方だな」
 ここアルスでは、翡翠の人気は現代地球ほど高くはない。理由として、こちらでは透明な石が好まれることと、翡翠の産出量が地球より多めであることが挙げられるだろう。

「それから、こちらが『五常閣』だ」
 林を抜け、日本庭園へと案内する。
「おお、これは!」
「すごいわ!」
 やはりこれには2人とも驚いてくれた。
「庭園は散歩できるようになっていて……」
「この休憩舎は四阿あずまやっていうんだ」
「これは囲炉裏いろり。まあ、夏は火を入れないけどな」
 仁の説明を、2人は目を輝かせながら聞いていたのである。

*   *   *

『翡翠館』と『五常閣』を案内し終わると、もう午後3時。
 途中、翡翠館で昼食を摂り、その感想も聞かせてもらう。
 2人からの意見は、非常に参考になり、本番である世界会議に反映させよう、と仁は思った。

「さて、もうじき夕方なわけだが」
 五常閣の庭園にある四阿でお茶を飲みながら、仁は口を開いた。
「驚かせてばかりで悪いけど、お2人には、まだ他にも驚かせることがあるんだ」
「ええー……何よ、ジン?」
「ジンがわざわざ言うからには、相当とんでもないことなのかい?」
 身構える2人。
「うーん、ある意味とんでもないかもな」
 と仁が言えば、
「それならもったいつけないでちゃっちゃと話しちゃってよ!」
「ビーナの言うとおりだな。さあ、聞かせてもらおう」
 と、2人は聞きたそうに身を乗り出してきた。
「それじゃあ、言おう。……俺の本当の拠点はここじゃあないんだ」
「え?」
「ここから更に東の海にある『蓬莱島』が俺の本当の拠点なんだ」
「ほうらいとう?」
 仁は頷いた。
「ああ。今からそこへ、2人を招待しようと思う。来てくれるかい?」
「もちろんよ!」
 間髪入れず、ビーナは返事をした。
「ああ、お邪魔させていただこう」
 クズマ伯爵も大きく頷いた。
「よし、それじゃあ、行こう」
 仁は2人を五常閣地下に設置した転移門(ワープゲート)へと案内した。
 そして蓬莱島へ移動。

「こ、ここは!?」
「こ、これ、全部が転移門(ワープゲート)なの!?」
 今度は直接ではなく『しんかい』経由。
 受け入れの転移門(ワープゲート)、送り出しの転移門(ワープゲート)がずらりと並ぶ壮観さにまず度肝を抜かれた2人。
「ここは万が一の侵入者対策のために設置した中継基地なんだ、蓬莱島へはもう一度転移するんだよ」
 そして仁、礼子、ビーナ、クズマ伯爵の4人は蓬莱島へと移動した。
「さあ、着いた」
 そして階段を上がり、研究所の外へ出て、
「ようこそ、蓬莱島へ」
 定番のセリフである。
 研究所を見た2人は驚いている。
「ジン、こ、ここがそうなの?」
「ああ。『魔法工学師マギクラフト・マイスター』の拠点だよ」
「来たか、ルイス」
 そこへラインハルトが声を掛けた。
「ラインハルト、君か!」
「ああ。悪いが、一足先に、ジンからここに招いてもらっていたんだ」
「いや、それはいいが……」
 クズマ伯爵は、ラインハルトの後ろに居並ぶ面々が気になっていた。
「紹介しよう。みんな、『仁ファミリー』のメンバーだよ。……エルザは知っているな」
 まずエルザが会釈した。
「エルザの実の母君のミーネ」
 ミーネも会釈をする。
「サキ・エッシェンバッハ。その隣がサキの父上のトア・エッシェンバッハ。父子共々、ショウロ皇国の錬金術師だ」
 サキとトアが揃って会釈をする。
「ステアリーナは知っているよな? 今はセルロア王国から亡命して、トアさんと結婚しているんだ」
「お久しぶりですわね、お二方」
 ステアリーナも会釈をした。
「そのお隣がステアリーナの友人で語り部のヴィヴィアン。やっぱりセルロア王国からショウロ皇国に亡命している」
「ヴィヴィアンです」
「さて、こちらが、エリアス王国の造船工(シップライト)、マルシアとその父上のロドリゴさんだ」
「よろしく」
 2人も会釈をした。
「そして、ラインハルトの奥方の……」
「ベルチェ・ランドル・フォン・スカーレットと申します」
 ベルチェが軽く頭を下げた。お腹が大きいので深いお辞儀やカーテシーはやめさせているのだ。
「で、こちらが……」
「エゲレア王国伯爵、ルイス・ウルツ・クズマです」
「つ、妻のビーナ・ラウフ・クズマです」
 2人も自己紹介をし、仁も、一番の秘密である、己の出自について説明を始めたのである。

「2人には話しておくことがあるんだ。俺は……」
 ビーナとクズマ伯爵は、ただ黙って耳を傾けるしかなかったのである。
 いつもお読みいただきありがとうございます。

 20151128 修正
(旧)ここが崑崙島か、いいところだな
(新)ここが崑崙島こんろんとうか、いいところだな

(旧)「俺は、元々この世界の生まれじゃないんだ。地球という星の、日本という国の出身で……」
(新)「2人には話しておくことがあるんだ。俺は……」

 20151129 修正
(旧)そうしたことを瞬時に思いつくあたり、やはりビーナには才能がある、と仁は思う。
(新)瞬時にそうしたことに思い至るあたり、やはりビーナには才能がある、と仁は思う。

(旧)多めであることが上げられるだろう
(新)多めであることが挙げられるだろう
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