第33章 第2の推理
新一達による第1の事件の推理が終わったが、浩平は俯いたまま顔を上げようとはしなかった。
新一は離夜に目配し、推理を始めるように合図した。
「次は第2の事件ですが、被害者が部屋の中で亡くなっている事からも犯人は彼女の知り合いの可能性が強くなります。此れは、此のホテルの部屋が全てオートロック式になっているからです。中に入るには最低でも一回は香夏子さん自信に開けて貰う必要があります」「一回、ですか?」
離夜がまず密室の事を説明し、一旦言葉を区切ると、一緒に推理を聞いていた玲奈が不思議そうり呟いた。
「その通りです。彼女の部屋の扉の鍵の部分には、微量ですがセロファンテープの後が着いていましたからね。此れを使えば、一度彼女に扉を開けて貰い、隙を見てテープを貼りさいすれば、もうオートロックは使い物になりません。此れでいつでも侵入する事が出来るんですよ」玲奈の疑問には、離夜ではなく探が答えた。平次と快斗は
「気障な野郎」と言いたそうな顔をしているが本人は気付いてない。新一は関わらない事に決めているようだ。
「だけどアリバイは?」
今度は妃呂香が疑問を口にした。
「アリバイもちゃんと崩れます。第一、皆さんに聞いた18時〜20時頃のアリバイは必要なかったんです。19時からの夕食に香夏子さんが行かなかったのは、只単に眠らされていただけで亡くなっていた訳ではありません。香奈子さんの身体からは睡眠薬が検出されたそうですから、犯人によって眠らされ、夕食に出なかったと言う事で、もう亡くなっていたと皆さんや僕達を勘違いさせたんです」
霸潤はまるで探偵さながらの口調と態度で推理を話した。流石にいつも離夜の傍で事件に関わってきただけの事はある・・・・。
「待ってくれ柚木君。君の推理はどう言う意味なのかね!?」
話しを聞いた警部は、慌てて霸潤に質問した。かなり困惑しているようだ。尤も其は、此の部屋に居る新一達6人以外全員同じようだったが・・・・。
「其れは私が説明します。警察や医療関係の方は知っていると思いますが、死亡推定時刻とは遺体の死後硬直の具合から判断します。しかし、死後硬直とは遺体の外気温によって変わる事があります。犯人は其れを利用したんです・・・・。此れを見て下さい。」
離夜は聖治から預かった電気カーペットを広げると皆に見えるようにした。
「香夏子さんを殺害した浩平さんは、遺体の上に此の電気カーペットを被せたんです。スイッチを入れて暖かくなった此の布をね・・・」
「でも・・・何の為に?」
「死亡推定時刻をずらすためです・・・。外気温が高ければ死亡推定時刻は早まり、低ければ遅くなるのを利用し、自分自身のアリバイを作ろうとしたんです。」つまり、香夏子さんが亡くなったのは18時〜20時頃よりもっと後、おそらく24時ぐらいなんです。
浩平さんは颯太さんが眠ったのを確認すると、香夏子さんの部屋に忍び込み殺害したんです。其後、此のカーペットを上から被せて遺体の外気温を上げ、死後硬直が早まるように細工した。遺体発見当時部屋の中が妙に暑かったのは、朝カーペットを回収した際、香夏子さんの洋服にチョコレートの染みが付いているのを見つけ、ごまかそうと暖房を入れたからてでしょう。カーペットを処分しようとしたのも、染みが付いてしまったからではないですか?」
離夜は推理を一度中断して聞いた。
「・・・証拠は?証拠はあんのかよ!?」
浩平はずっと俯いて聞いていたが、勢い良く顔を上げた。
「此れです・・・」
離夜は透明な袋に入っているペンダントトップとチェーンの欠片を見せた。
其を見ると浩平は又絶句した。
「さっき刑事さんに見せて頂きました。此れは貴方が昨日着けていた物ですよね?写真に写っている貴方はどれも此のネックレスをしています。今日はどうしたのですか?」
「きょ、今日はたまたましてないだけで・・・」
「では持って来て頂けますか?」
「・・・・」
「私達の推理は、間違っていませんよね?」
|