第28章 捜査(証拠)
警部の所から現場に戻ろうと歩いていると、後ろから離夜を呼び止める声が聞こえた。振り向くと、聖治が駆けてくるところだった。聖治は離夜の前まで来ると、
「何か解ったか」と聞いた。離夜はあえて解ったとも解らないとも言えない、曖昧な返答をした。すると聖治はがっかりとした声で「そうですか」と呟いた。
「聖治さん、聞きたい事があります。妃呂香さん達が滞在している此の3日間、現場の14階にある、洋室のツイン部屋って、全て満室ですか?」
「いえ。此の3日間は4部屋程空きがあります」
「そうですか・・・」
離夜は暫く黙って何かを考えていたが、聖治の言葉に顔を上げた。
「そう言えば、さっきボーイの1人が、ダストシュートの中に電気カーペットが混ざっていたと言っていました。一箇所だけ茶色い染みがあったそうですが・・・・」
「・・・!!その電気カーペット、今何処に在りますか!?」
「え?・・・地下のゴミ捨て場に纏めて置いて在りますが……」
予想外の離夜の大きな反応に、少したじろぎながらも聖治はキョトンとした顔で答えた。
「今すぐ、其カーペットを回収して来て下さい!!何が遭っても捨てたりしないように!お願いします!!!」
離夜の剣幕に圧倒されながらも、何とかはいと返事をした聖治は、踵を返して走って行った。「聖治さん、聞きたい事があります。その頃、現場検証を続けていた探は、入り口の扉にある物を発見した。
「此れは・・・・!?」
探の声に、入り口で離夜を待っていた霸潤が反応した。
「柚木君、此の鍵の部分を見て下さい。何か貼ってあった跡が付いています」
「・・・セロテープか?」
「其ようですね。此れで外からの侵入が可能になりました」
「益々あの3人が怪しくなったって事だな」「ええ・・・」
そうやって、探と霸潤のやり取りは暫く続いた。
探偵とそうでない霸潤が対等に推理できるるのは、霸潤の頭が良く切れるのもあるが、其だけ離夜と一緒に事件を見て来ていると言う事だろう。
「白馬君、解剖結果が出ました」
「其で結果は?」
「其が、睡眠薬が検出されました」
「睡眠薬!?」
刑事の言葉に霸潤が呟いた。しかし探は何か考える事があるらしく、黙っていた。
一方、離夜は聖治が電気カーペットを持って来るのを待ちながら推理を続けていた。
―あの人の言っている事が嘘だとすると・・・・、何故あんな事を言う必要があったんだ?其にあの人の持ち物に・・・・・
離夜の推理はもう少しで完成しそうだったが、何かしっくりこない物があった。
「離夜さん!!此れです」
暫くして、聖治が大きな布のような物を持って来た。と言うより、抱えて来た。
其れ程大きな者だった。人1人、軽く覆う事が出来るような・・・・。
聖治はカーペットを離夜に手渡した。思ったより重さがあった。
離夜はカーペットの染みを確認すると、コピーした容疑者の持ち物の写真と見比べた。
「やっぱり・・・!!」
「え?何がですか?」
「ありがとうございます聖治さん!!」
離夜は聖治の質問には答えず、お礼を言うと探達の居る現場に向かって駆け出した。―此れで大体の事は解った!!
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