第22章 離夜 Side
何処か似たような雰囲気を持つ5人の少年達は、早くも意気投合したようだ。
「処で、アリバイの確認をして来たって言うのは?」
新一が思い出したように離夜に聞いた。
「ええ、今説明するわ」
離夜と幼馴染の霸潤は、「ICICLE TOWERホテル」のオーナーの息子であり、二ノ宮財閥の御曹子、『二ノ宮聖治』の招待で1週間のスキー旅行に来ていた。
17日前、霧藤邸に届いた聖治からの手紙には、玲奈が新一へ宛てた手紙とよく似た内容の事が書かれていた。
―ふぅ〜ん、北海道かぁ。明日霸潤に聞いてみよう・・・・。
次の日、登校時間に北海道行きの事を話すと、霸潤は快く同意した。
「マジで?行く!!」
2週間後の、事件発生3日前の事。離夜と霸潤は、新一達と全く同じ日に「ICICLE TOWERホテル」に到着していた。
聖治と再開した離夜は、霸潤に紹介すると、聖治の案内で30階のスウィートルームに向かった。
「離夜さん、お身体の方はもう?」
「ええ、お蔭様で」
「それは良かった」
移動の最中、聖治がこっそりと離夜に話し掛けた。離夜が小さな声で返事をすると、聖治の顔に安堵の表情が浮かんだ。霸潤はそんな2人の様子には全く気付いていなかった。
事件当日、ホテルに来てから4日目、午前中にスノボーをした離夜と霸潤は、昼食を取ると午後はスキーをする事にした。
「キャァァァァァァーーーーー!!!!!」
−!!!!
2人がリフトに乗ろうと歩いていると、女性の叫び声が聞こえて来た。賑やかなスキー場には似合わない、大きな悲鳴だった。
「離夜!!今の悲鳴は!?」
「何か遭ったんだ!!あっちの林の方からした」
離夜は中級者コースの向こうにある林を指差した。
「行くよ霸潤!!」
そう言うと、霸潤の返事も聞かずに凄いスピードで滑って行った。
「おい!!待てよ!!!」
霸潤は慌てて離夜の後を追った。こちらも凄いスピードで。
林に着いた離夜は、直ぐに悲鳴を上げたであろう人物を発見した。
その人物は20歳前後の女性で、雪の中に座り込んで怯えて泣いているようだった。
「どうしました?」
離夜は女性に近付いて行った。
離夜の声に振り向いた女性は、3メートル程離れた場所に立つ木の方を指差した。
「っ!!!!」
離夜が見ると、其処には、拳銃を握り、頭から大量の血を流している男性がいた。おそらくもう亡くなっているだろう。
離夜は直ぐにスキー板を外すと、男性に近付いて脈を測った。既に亡くなっている事を思わず呟くと、離夜の声が聞こえたのか、女性は更に泣き出した。
「失礼ですが、第1発見者は貴女ですか?」
「・・・は・・はい・・・」
「貴女のお名前と、年齢は?」
「水杉・・・妃呂香・・21歳です・・・」
「彼とは知り合いですか?」
離夜は更に質問を重ねた。すっかり探偵の顔になっている。其まま幾つかの質問を続け、遺体の名前と年齢、第1発見者との関係、此のスキー場へ来た理由などを聞き出した。そして、彼等と共に滞在している大学のサークル仲間3人の存在をしった。
「その3人は今何所に?」
「解りません・・・・今日は・・自由行動ですので・・・・」
「その3人のお名前と、年齢を教えて頂けますか?」
「相良香夏子、毛塚颯太、小野浩平・・・・全員21歳です」
「解りました・・・」
離夜は一度妃呂香の傍を離れると、現場検証を始めた。
妃呂香は其のまま座り込んで泣き続けていた。
|