第11章 後遺症
「皆さんのお部屋は此処と向かいのお部屋です。何かありましたら、私も3つ向こうのお部屋に泊まって居ますので、声を掛けて下さいね?それでは失礼します」
玲奈がいなくなると、新一達は部屋割りをする事にした。結局、新一、平次、快斗、探の男子部屋と蘭、和葉、青子、志保の女部屋に別れた。
「それじゃあ、荷物置いて着替えたらロビーに集合な……?スキー、行くんだろ?」
「勿論や!!」
「じゃあ皆後でね!」
「あなたたち、事件の話しに花咲かせて、来るの忘れないでよ」
新一達はドアを開けると中へ入った
「おぉ〜!すっげえ!!」
「ほぅ。これはなかなかですね」
「流石やん!!」
平次と快斗は早速部屋中を見て回った。
「寝室は2つかぁ〜」
「こっちの寝室はシャンデリアが付いてんで!!」
「マジすげ〜!!」
またまたはしゃぎまくっている2人に半ば呆れたように新一は声を掛けた。
「……おい、部屋割りすっぞ?」
「おう!!工藤、俺と一緒の部屋にしよ〜や!?」
「構わね〜けど」
「じゃあ僕は黒羽君と同じ部屋ですね!?」
「ええ〜。俺新一との方がいいのに!!」
「まぁまぁ、我が儘言うものじゃ無いですよ、黒羽君」
「ちぇっ!」
「……じゃあおめぇ等そっちのシャンデリアの方使えよ。俺等はこっちに部屋にすっからさ。良いよな、服部?」
「おう、かまへんで」
新一は部屋へ入ると、荷物の整理と着替えを始めた。
−はぁ……。結局来ちまったな。このまま何も起こんなきゃ良いが、無理だろうな……。
そう、新一がこのメンバーで旅行に来たくなかった訳は、絶対に事件か何かに遭遇、もしくは巻き込まれ、旅行どころでは無くなると思ったからである。黒の組織を壊滅させた時にいた平次、快斗、探、志保、そして何より、コナン、哀、怪盗キッドの正体を全て知っているのは、この8人と園子、園子の彼氏の京極真とごく少数の関係者だけなのだ。志保が言った不吉と言うのもこの事だった。
「なぁ工藤?」
「ああ?」
「さっきあの姉ちゃんが言っとったの、どう言う意味や?」
「言ってたって何をだ?」
「『お体の方はもう大丈夫ですか?』っちゅ〜てたとこや」
「ああ、あれか……あれは別にたいしたことじゃねぇよ」
「信用できへんなぁ〜。工藤がたいしたこと無い言う時は、何かあるときや」
「………。」
「何や、何があったんや?言うてみぃ?」
「………はぁ、しゃあねぇな。蘭と宮野には言うんじゃねぇぞ!?」
「は?」
「良いな!?」
「おっ、おう」
「実はあの後、……犯人を気絶させて玲奈さんを助けだした後…、ちょっとあってな……」
新一はあの日、誘拐事件の後に起こった事を平次に話した。
「そりゃ工藤!!快斗の言う通りやんか!おまえ無茶しすぎやで。ちったあ自分の事考えな!!……せやけど何でそないな事になったんや!?」
「APTXの後遺症だ」
「!!……成る程な……」
−結局、服部にはばれちまったな……。まっしょうがねぇか。
新一が隠していた事、それは事件の後、新一が其の場に崩れ落ち、1週間も意識が戻らなかったと言う事だった………!!志保の開発したAPTX4869の解毒剤のお陰で新一と志保は無事に元の身体に戻った。しかし、何度も高校生の姿に戻り、その度に身体に負担を掛けていた新一の身体は、完全な健康体へは戻らなかった……。普段は普通に生活出来るし、サッカーのような激しい運動もプレイできるが、過度の睡眠不足や急激な気温の変化、雨に濡れすぎたりした時など、ちょっと油断すると対応でき無い身体になってしまっていた。あの事件の時はその条件にぴたりと当て嵌まってしまったのだ。しかも気も張っていたし、常に忙しく動き回っていた。それが1週間も続いたら倒れるのも可笑しくないだろう。
トントン
考えに浸っていたところに、突然ドアをノックする音が響いた。
「新一〜、平次〜まだか〜?」
「ああ!!今行く!先に行っててくれ」
「わかった〜」
新一と平次は、急いで準備を始めた。
|