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第十五話:戦力増大!

 いよいよ、魔王たちが集まる【夜会】の前日になった。

 エルダー・ドワーフが来てから一月ほど経っている。その間は、ゴーレムの量産、武器の開発、鉱山での金属の備蓄、レベル上げ、多忙を極めた。

 俺、天狐、エルダー・ドワーフが【紅蓮掘】にもぐり、その間にゴーレムとスケルトンがひたすら採掘すると言った分担だ。


 手元には新たな【創造】メダルがある。一か月経ったことにより、作れるようになったのだ。


 ただ、【創造】メダルの制約上、他の魔王のオリジナルメダルがないとどうしようもない。


「壮観だな」

「マスターの注文通り、毎日作れるだけ作った」


 銀髪ツルペタ美少女のエルダー・ドワーフが無感情に呟く。

 俺たちのために用意された家の裏側に、ゴーレムたちが鎮座していた。

 その数、ざっと三〇体。

 Eランク相当のストーンゴーレムが五体

 Dランク相当のアイアンゴーレムが一〇体

 Cランク相当のシルバーゴーレムが一〇体

 Bランク相当のミスリルゴーレムが五体


 といったバランスだ。ミスリルは強力な武器を作るためにいくらあっても足りないのでゴーレムにはあまり使わない、ほとんどが銀と鉄でできるアイアンゴーレムとシルバーゴーレムたちだ。


「助かる。こいつらは、重火器を装備してるしいい戦力になる」


 ゴーレムたちは三メートルを超える巨体かつ、力がある。

 なので、重火器をゴーレム仕様にエルダー・ドワーフが改造したものを装備していた。


 ブローリング D2 カリバー.50(改)

 全長1560mm。重量38.0kg。口径12.7mm×99。ベルト給弾式 一帯110発 発射速度650発/分。有効射程2,000メートル


 重機関銃の歴史的傑作銃。カリバー。設計されて八〇年の年月が流れ、なお最優。圧倒的な火力と信頼性。


 重量は40キロ近くあり、レベルをあげてMPがあがりようやく【創造】できるようなったばかりのものだ。

 最近創造できるようになったばかりで、まだ五丁しかない。


 口径12.7mmというのはアサルトライフルの二倍以上の口径だ。

 その威力は筆舌に尽くし難い。これで撃たれた人間は、風穴があくどころではなく、ミンチになる。

 そんなふざけた威力の弾丸が雨あられと降り注ぐ。

 本来車両に設置するようなものだ。間違っても歩兵が携帯するものではない。だが、そんな化け物を軽々とゴーレムたちは運用できる。

 

「マスター。防衛戦には向いているけど、攻撃には向かない」


 ただ、弱点がないわけではない。

 俺の生み出した魔物ではないので【収納】することができない。つまり、ゴーレムたちは自分で目的地まで移動する必要がある。

 ゴーレムたちの足はけして早くないので、攻め辛い。移動速度はスケルトンにも劣るのだ。

 だが、拠点防御の際にこれ以上便利な存在はいないだろう。


「わかってる。こいつらは最強の盾だよ」


 基本的に俺のダンジョンでは、攻めのアンデッド軍団。守りのゴーレム軍団と考えている。


「それより……、天狐の武器はできたのか」

「完璧、最高のものができた。ショットガンの構造分析、マスターが私にくれたM&K MK417の知識、ドワーフの勘、天狐の要望。全部を使って仕上げた。最高の逸品」


 エルダー・ドワーフにはアサルトライフルを用意した。


 M&K MK417 MR762A1

 全長905mm。重量4.25kg。装弾数20発 口径7.62mm×51。発射速度600発/分。有効射程400メートル


 スケルトンのMK416の7.62mm弾を採用したバージョンだ。

 スケルトンであれば、反動が少ない5.56mm弾ではないと扱いが難しく、スケルトンの射撃の腕では、装弾数が多いことが重要視される。5.56mmは小さい分、装弾数が多いのだ。

 だが、エルダー・ドワーフの筋力であれば7.62mm弾を使うMK417でも十分に使いこなせるし、MK416に比べて装弾数が減るのも許容できる。


 だからこそ、威力の高いこちらを渡していた。

 エルダー・ドワーフは天狐のレミルトンM870Pを強化する際、この銃から得た技術をも利用している。


「おとーさん、すごくいいの、新しいショットガン! すごく強いし、連射できるし、最高なの! エルちゃん、ありがとう!」


 離れた場所で試射をしていた天狐が戻ってきた。

 かなり上機嫌でエルダードワーフに抱きつく。

 自らの武器が圧倒的にパワーアップしたので、喜ぶのも当然だろう。


「エルダー・ドワーフ。レミルトンM870Pの改良点を教えてもらっていいか?」

「了解したマスター。まず、材質をミスリル合金にしたことによる、強度の上昇・軽量化。物質的な強度の他に、ドワーフのエンチャントをフルに活かした」


 そう、ドワーフは物質を魔術的に強化する。

 ミスリルもただのミスリルではなく、様々な金属と合わせたミスリル合金で、強度と粘りが増している。


「次に、弾丸を一二ゲージから四ゲージに変えたことによる火力の上昇。また、弾丸のパウダーにミスリル・パウダーを混ぜている。ミスリル・パウダーは魔力を蓄積する性質がある、天狐が魔力を込めることで威力が上昇する。一二ゲージ通常弾と、四ゲージミスリル弾では威力が五倍違う……反動を抑える機能もつけたけど、こんな化け物を扱えるのは天狐ぐらい」


 弾丸の威力が跳ね上がったのは喜ばしい。

 だが、いい点ばかりではない。

 魔力を使用することにより、俺の【創造】で弾丸が作れなくなっている。


 もっとも、通常火薬を使った四ゲージ弾も、エルダー・ドワーフが完成させており、そちらは魔力が流れず、しっかりと記憶したので【創造】で作れる。


「ほかには、MK417を参考にして、セミオート機構を採用した。反動を利用して次弾を装填する。弾倉交換も可能にしてある」


 レミルトンM870はポンプアクションで、毎回弾の装填にポンプを動かす必要があったが、セミオート機構によって自動で次弾が装填される。

 つまり、連射が可能だ。


 さらに、レミルトンは弾丸を一発一発込装填する必要があったが、弾倉を取り付けるように変更したおかげで、弾倉を交換することで、まとめて弾丸が補充できる。


「すごいな。だが、一回り大きくなったか」

「それは仕方ない。弾丸の大型化、弾倉の採用。セミオート機構。どれも大型化につながっている」

「まあな。若干取り回しは悪くなるが、いい改造だ。よくやったなエルダー・ドワーフ」


 俺はエルダー・ドワーフの頭を撫でる。

 エルダー・ドワーフはすまし顔だが、ほんの少し口の端が上がっている。

 実を言うと、この子も天狐と同じ甘えたがりだ。撫でると喜んでくる。


 俺は褒めて伸ばすタイプの魔王なので、機会があれば積極的に頭を撫でている。

 この子の面白いところが、普段マスターと呼んでるくせに、たまに父さんと呼んで、顔を赤くして取り乱すことがあること。


 この前、天狐やエルダー・ドワーフを甘やかす俺を見て、マルコは【ロリ】の魔王と言ったが、はなはだ心外だ。俺はただ、彼女たちを喜ばせたいだけだ。


「いよいよ明日、魔王たちが集まる【夜会】がある。天狐の武器が完成してよかったよ」


 俺は小さくつぶやく。

 マルコはそれまでにできるだけ、戦力を整えろとアドバイスをしてくれた。

 実際に何があるかを教えるのはルール違反らしく、それ以上の情報は持っていない。


「何があっても。おとーさんは天狐が守るの」

「私もマスターを守る。マスターが居ないと研究がすすまない」


 二人の娘たちはやる気十分だ。

 天狐はレベル33、エルダー・ドワーフはレベル28。

 適正レベルだけでいれば、Dランクの魔物相当だが、もとがSランクの魔物なのでBランクの魔物に匹敵する力がある。

 優秀な特殊能力と武器の性能まで考慮すればAランクの魔物とも渡り合えるだろう。


「頼りにしてる。それと、そろそろ本格的に俺たち自身のダンジョンを考えないとな。お前たちの希望も取り入れるつもりだから、どんなダンジョンがいいか考えておいてくれ」

「おとーさんのダンジョンができるの?」

「まだ、もう少しさきだけどね」

「楽しみなの!」


 天狐は不安ではなく、未来への希望で目を輝かせる。


「マスター、鉱山は必須。ぜったいに最初に買って」


 ドワーフはドワーフで、真っ先に自分の欲望を伝える。

 そんな彼女たちを見て少し気が楽になった。

 俺だけ、不安がっているのが馬鹿みたいだ。


「天狐、エルダー・ドワーフ、明日は一発かまそうか。俺たちの力を見せつけよう」

「やー♪」

「私の武器の力、思い知らせる」


 今日は、明日に向けて武器の整備等を行い、いずれ作るダンジョンについて話し合い、たいそう盛り上がった。

 

 


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