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第九話:スケルトン部隊

 マルコに【紅蓮窟】の話を聞いてから一週間ほど経っていた。

 この一週間の間【創造】による、武器のストック。レベル上げを中心に行っている。

 そして今も、天狐が戦っているところだ。

 危なげなく、ランクCの魔物オルトロスの攻撃を躱して懐に入り、ショットガン、レミントンM870Pの一撃で屠る。

 オルトロスが青い粒子になって消えていくと同時に、天狐の体が淡く光った。


「おとーさん、レベル一〇になったの!」

「よし、いい子だ」

「これで、【紅蓮窟】にいけるの!」


 ついに天狐がレベル一〇になり、よほどうれしいのか目を輝かせてもふもふのキツネ尻尾を振っている。

 俺のほうは一足先にレベル一〇になっていたので、マルコに出された、俺と天狐がレベル一〇になるという【紅蓮窟】を紹介してもらう条件はクリアだ。


「おとーさん、今からいこ。はやく、マルコニアス様のところに行くの!」


 天狐は待ちきれないとばかりに俺の手を引く。

 一日に三回しか戦えないことにかなりストレスをためているご様子だ。


「いや、駄目だ。明日からにしよう」

「むうう、どうして?」

「スケルトンたちの最終調整をやっておきたいんだ」


 俺は毎日、アサルトライフル M&K MK416をせっせと作ると同時にDPでスケルトンを9体購入していた。

 ここ連日の魔物狩りでDPが六六〇ptほど手に入っており購入する余裕が出来ていたのだ。


 魔王のスキルである魔物収納で十体までの魔物を運べる。

 つまり、【紅蓮掘】での探索にスケルトンが使えるのだ。

 

 なら、その枠を無駄にすることもないと思い、スケルトンを購入した。

 一体、20DPの激安モンスター。適正レベルが一~一〇なので、固定レベルで買っても変動レベルで買っても大差がない。

 それならばと変動レベルで買った。変動にした場合レベル二〇までレベルが上がるので多少はマシになるだろう。

 ちなみに天狐の場合、適性レベルが七〇~八〇。変動なら九〇まであがる。


「スケルトンなんて、弱い魔物いらないの」


 天狐はどこかスケルトンを苦手にしているところがある。

 まあ、女の子だから無理もない。


「まあ、確かに弱いな。そのことは否定しない」


 スケルトンのステータスは散々だ。


種族:スケルトン Gランク

名前:未設定

レベル:1

筋力E+ 耐久E 敏捷F 魔力F 幸運G 特殊G

スキル:亡者


 天狐と比べること自体がおこがましい。

 もともと、スケルトンにはコストパフォーマンス以外気にしていない。


「天狐だけで十分戦えるの」

「そうかもしれないけど、後ろを守ってくれるだけでもありがたいし、火力は欲しいからね。天狐、一緒に戦うことになるんだ。スケルトンも捨てたものじゃないところを見せるよ」


 攻撃力が足し算であるこの世界では、持ち主がいくら攻撃力が低くても銃の火力だけで戦力になる。

 アサルトライフル M&K MK416を装備したスケルトンたちはランクB相当の火力がある。

 天狐はスケルトンが苦手で彼らの訓練には立ち会わないようにしてたが、ちょうどいい機会だ。彼らの力を見てもらおう。


「【解放】スケルトン」


 異次元に収納していたスケルトンたちを九体呼び出す。

 それぞれ手には、アサルトライフルを構えていた。


「スケルトンたちよ、おまえたちは俺の訓練でだいぶ戦えるようになった。今日はその最終訓練だ」

「……」


 スケルトンたちは光のない眼窩で俺を見る。

 ただの骨だけあって感情というものがまったくわからない。

 一応、俺の命令を聞くだけの知性はあるが、受け答えはできない。

 知性が低く戦い方を教えるのは難しく途中で心が折れかけたものだ。

 それでも、なんとか苦労して三つの命令を教えこむことができた。


「総員、構え」


 スケルトンたちが、俺の指差した目標に銃を構える。

 まずは射撃前に目標に狙いをつけること。

 今回は、木の棒に鎧を着せたものを的にしている。


「総員、撃て」


 俺の発言と共にスケルトンが射撃を開始する。

 タタタタン、タタタタンと小気味のいい音が響く。

 スケルトンの持っているMK416はあらかじめ、フルオートではなくセミオートモードにしている。

 フルオートは、弾丸の給弾と発射を自動でするシステム。つまりはトリガーを引きっぱなしにすれば連射ができる。

 逆にセミオートは給弾のみを自動でするシステム。トリガーをひいた数だけ弾がでる。

 フルオートをオンにすればスケルトンは弾を考えなしに一瞬で撃ち尽くす。

 理想を言えば、フルオートをオンにして指で切ることでバースト射撃をさせたかったが、スケルトンにはそんな高等なことは覚えさせることはできずに諦めた。


「総員、やめ」


 スケルトンがトリガーから手を話して射撃を止めた。

 俺が覚えさせたのは、構え、撃て、やめの三つだけ。

 なんとか戦えるだろう。


 ここまで長かった。最初は銃を鈍器としかみなしておらず、トリガーを引かせるのにも苦労した。


 四日かけてようやくここまでものにしたのだ。

 まあ、今でも弾倉の交換等の作業はできないので、一戦するごとに俺が面倒をみないといけない。


 だが、その価値はあった。

 スケルトン九体による一斉射撃は壮観だ。将来的に自分のダンジョンを持てば、もっと数を増やしてさらに凶悪な部隊を作り上げよう。


「どうだ、天狐すごいだろ?」

「おとーさん、そんなに教えるの苦労するならもっと賢い魔物作ればいいのに。天狐と同系統の妖狐、賢いし強いよ?」

「それはわかっている。だが、高いんだ」


 Bランクの魔物、妖狐。基本性能が高く、知性も高い。銃なんて簡単に使いこなせるだろう。

 しかし、一体一二〇〇pt。スケルトンが六〇体買えてしまう。


「わかったの……でも、天狐にはかなり効率が悪くみえる。スケルトンなんて、一瞬で死ぬ。そしたら教えた時間が全部無駄になるの。だったら、はじめから死ににくい強い魔物を買うべき」


 それは俺も考えていた。

 スケルトンのコストは安い、武器も数がある。

 だが、いかんせん教育するための時間というのは、取り返せない。

 いや、待てよ。


「一体、スケルトンたちを教育するための魔物を作って、そいつに銃の使い方を教えて、あとはスケルトンの世話を丸投げをすればいい」


 考えて見れば簡単だ。

 リッチー等と言ったアンデッドを使役するモンスターは多数居る。

 そしてそいつらは極めて知性が高く、人語も理解できる。スケルトンに対する教育だって俺よりよっぽどうまくやるだろう。

 今度オリジナルメダルを手に入れたら、アンデッドが作れないか考えてみよう。


「ありがとう、天狐。決めたよ。アンデッドたちの王を作ろうと思う。アンデッド関係が作れるようなメダルが手に入りしだいだ」


 それに、確かアンデッドの中には死体を使ってアンデッドを作れるような奴も居る。

 強い人間や、強い魔物の死体でアンデッドを作れば強力な魔物をノーコストで作れる。

 夢が膨らむばかりだ。


「うううう、天狐、アンデッド苦手。でも、おとーさんが作りたいなら我慢する」

「天狐はえらいね」

「やー♪」


 そうしてスケルトンたちの教育を終えた。

 そのあと、マルコにレベル一〇に至ったことを伝え、明日天狐、そして銃装備のアンデッドたちと【紅蓮窟】に向かうことが決定した。

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