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  カカの天下 作者:ルシカ
カカの天下79「お花見でさわさわさらさら」
 こんちわ、トメです。

 今日は春うららでなんと花見にきています。

 といっても前々から計画していたとか、シートしいて弁当食べるとか……そういう素敵シチュエーションではなく、暇だった姉が「見に行くぞ」と押しかけてきて近所の川際を散歩させられているだけだ。もちろん妹カカもいる。

「おー、花だ」

「なんかもっと感想ないのか、カカ」

「んー、いい感じにピンクいね。桃色だね」

「面白みがないな。その桃色を見てどう思った? 綺麗だとか、心が洗われる、とか」

「桃色ってやらしいよね」

「姉は黙ってろ」

 一瞬カカが言ったのかと思った……姉妹だけあって声が似てるから危ない危ない……

「おっ、弟と妹。見てみな」

 姉が指差しているのは川。言われたとおり覗いてみると……

「おー、花びらだらけ」

「綺麗に流れてるねー。お姉さん感動」

 気がつけば、自分達が歩いている地面も桜の花びらでいっぱいだった。

「……地面も川も、春色に染まってる」

「トメ兄が恥ずかしいこと言ってる」

「カカちゃん、他人のふり他人のふり」

「……ぅおい」

 本当に遠ざかっていく姉妹を睨むが、二人は目も合わさずにすたこらさっさと前を行く。

「春ってああいう人増えるから、気をつけないといけないよん」

「ああいう人って?」

「なんか遠くを見つめながらポエムっぽいこと呟いたりする人」

「うわ、それは近づきたくないね。本人は気分いいかもだけど、こっちは暗くなりそうだし。誰もいないところでやってほしいね」

 ……あの、本気でちょっと悲しいんですけど。

「まぁ、春だしね。あの人の言ったとおり、頭の中も春色に染まってるんだよ」

 あの人とか他人行儀で指差されると泣きそうになるんですけど。

「春色って?」

「つまり桜色=桃色」

「桃色に染まってるんだ。やーらし」

「近づいたらさらわれるよ」

「さわられるの!?」

「ちがう。さらわれてからさわられるんだよ」

「さらわれてからさらわれるからさるわけだね!」

「そうそう、さるものは追わずって言うし。でも敵もさる者だからね」

「えーっと……さるものにさらわれてからさわれるからさるものになってさるんだね」

「そうそうそう、でもそもそもさるものにさわられたらアウトだからまずさわられないようにしないと。あと、さるならこのさわをぬけるんだよ。呑気にさわしてたらだめなんだよ」

「つーまーりー……さるものにさわられるとさらわれてからさわられるからさわなんかしてないでさわをぬけるさるものになってさるんだね」

「あ、あそこにさらいが」

「えっとえっとえっと……さるものにさわられるとさらわれてからさわられるからさわなんかしてないでさらいをすぎてさわをぬけるさるものになってさる! んだね」

 ……えーと。誰が人さらいか、というツッコミする暇もなくヒートアップしていくこの姉妹は何を言っているのだろう?

「さらいとかしてる場合でもないよ。身体にさわるし。あ、あのさらいってもしかしてさわら製?」

「つまりつまりつまりつまり……さるものにさわられるとさらわれてからさわられるからさわとかさらいなんかしてるとさわるしさわらのさらいをすぎてさわをぬけるさるものになってさる!!」

 はい、たぶん漢字にしないとわけわからないね。

 皆はどれがどれの意味なのか、ちゃんとわかったかな?

 強引に文章をつなげすぎだって? 仕方ないじゃん。言ってるのは小学生だし。

 完璧に僕を忘れているカカ達はもう放っておいて、僕はゆったりと桜を鑑賞することにした。

 ……恥ずかしい台詞はもう言わないぞ。





 さて、漢字にすると、

 さる者に触られると攫われてから触られるから茶話とか作礼なんかしてると障るし椹のさらい(熊手っぽい農具のこと)を過ぎて沢を抜ける去る者になって去る、でした。

 ……わかんないよねぇ。
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