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  カカの天下 作者:ルシカ
カカの天下759「だぶるで、え!?」
 こんにちは、カカです。

 お休みの正午。商店街でサエちゃんサユカンと待ち合わせです。でも宿題を終わらせてから行こうとしたら遅れちゃって、サエちゃんたちに『先に遊んでなよバーロー』とイカしたメールを送りました。私ってば格好いい。

 そんないい気分で宿題を終えて、悠々と待ち合わせ場所へ向かっている途中……私は、とんでもないものを発見しました。

「うわぁ……さ、サエちゃんに連絡を!」

 慌てる心を抑えながら携帯電話を操作、間もなくサエちゃんへと繋がります。

「もしもしサエちゃん!?」

『あ、カカちゃん! 今電話しようと思ってたのー』

「うん、遅れてごめんね。それでね、今ね、そっちに向かう途中の喫茶店を覗いたんだけど」

『私とサユカちゃんも喫茶店にいるんだけどー』

「なんとね、なんとね、トメ兄とユカさんが一緒にお茶してるの!!」

 どーん!!(なんか驚きの音)

『本当にー? こっちはね、キリヤとサラさんがお茶してるのー!!』

 どどーん!!(なんか二重の意味で驚きの音)

「え、ほ、本当に!?」

『うん、買い物してたら見かけたんだけどね、私もサユカちゃんもビックリしたよー』

「これがダブルデートってやつか」

 さすが大人は違うね。

「よぅし……サエちゃん? これから何をするべきか、わかってるね?」

『あたぼーよー相棒』 

「バレないようにね」

『そっちこそ』

 何をするかはもうおわかりでしょう。私たちはひっそりとそれぞれの喫茶店に侵入し、床を這って進み、「お客様? お客様!?」と慌てる店員たちを「ええい、よいではないか、よいではないか!」と跳ね除けてターゲットへ接近。付近の席へ陣取り、二人の様子を伺うのだ! 

 わかりやすく言えば野次馬だぜムフフ。

「こちらカカ……じゃ面白くないな。えーと、こちらコードK、ターゲットへの接近に成功した」

『こちらコードS』

「サエちゃんドSだもんね」

『こちらコードドS』

 あっさり言い直してくれるノリのいいサエちゃん。だから好き。

『私のほうも接近に成功したよー。サユカちゃんもなんとか』

「そういえば話してないけど、サユカちゃん元気?」

『なんか仏のような笑顔してる』

「……なんで?」

『キリヤとサラさんがくっつけばライバル減るからでしょー』

 あ、ああ、なるほど。恋愛が絡むと黒いなサユカンも。

「まぁいいや。えっと、トメ兄とユカさんの様子は……?」

 覗きこむ。二人の声が聞こえてくる。

「あーあー本当に煮え切らない男だこと!」

「……遅刻してきたくせに、何を偉そうに」

「身体は遅れて来たけど心は先に来てたのよ。あなたはワタシの身体しか見てくれないの? 心は見てくれないのね!? そんなことだから今になってもそんなに恋愛がヘタなのよ!」

「そう言うおまえこそ、そんな無茶苦茶だから今になっても友達少ないんだろ」

「へぇ? ワタシに言えるんだそんなこと。他人のこと言えるんだ? 友達以上恋人未満の女性と小学生くらいしか仲のいい知り合いがいないようなあなたが、ワタシにそんなこと言うんだ。へーへーへー」

「き、キリヤっていう友達がいるぞ!」

「そのキリヤ君だって最近は相手にしてくれないんでしょ? 高校時代の友達にでもすがって仲良くしてもらえばぁ? でもそれも無理かぁ、あなたのことだから誰の名前も覚えてないでしょうし」

「お、覚えてるやつだっているさ!」

「誰?」

「……友人A」

 それ名前じゃないし。

「あーあー可哀想可哀想。その友人A君も可哀想だけど、なによりあなたが可哀想。あ、でもそうでもないのかな? 友達以上恋人未満の子がいっぱい居てハーレム気分? わぁうざい」

「こ、こんにゃろ……いい加減ムカついてきた」

「あら、やっと?」

「こんの……!」

 あー……サエちゃんに報告を、っと。

「もしもしサエちゃん、そっちはどう?」

『んっとねー、キリヤとサラさんはすごく熱心に喋ってて、時々笑ってて、なんというか和やかムードだよー。会話の内容はあまり聞こえないんだけど、恋愛の話をしてるみたい』

「サユカンの顔は?」

『菩薩みたいな笑顔になってる』

「そか……ちなみにこっちは大喧嘩。ユカさんが絶好調で、トメ兄が少しキレ気味だね」

『だってさーサユカちゃん。トメお兄さんとユカさん、うまくいってないみたいだよー』

 お、サユカンにも聞こえてたか。

「どんな顔になった?」

『わぁ、まるで天使みたい』

 笑ってる理由を考えたら悪魔に近いけどね、なんて思ってたら唐突に耳へ響く声が。

「――もう帰る!!」

 お? 我慢強いトメ兄もさすがに限界かぁ。これでめでたく二人は仲違い――

「待って!!」

 に、なるかと思いきや?

「わ、悪かったわよ。意地悪なことばっか言って」

「何を今更」

「は、恥ずかしかったのよ。その、これから話す、内容が、その」

「……なんだよ」

「あーあーとにかく! やっぱりここじゃ話せないわ! 場所を変えるわ!」

「おい、ちょ」

「いいから来なさい!」

 乱暴にトメ兄の腕をひっつかんで去っていくユカさん。

 なんだかんだで仲良く腕を組んでいるように見えなくも、ない。

「あの、サエちゃんサユカン? えっとね」

 とりあえずその様子を二人に報告してみた。

『おおー、やっぱりユカさんてば、なんだかんだでトメお兄さんのこと……』

「サユカンの顔は?」

『般若』

 はんにゃ!?

『あ、ジェイソンになるー』

「武器を持ち出したの!? ま、待って。いま追いかけるから!」

「お客様、お会計は」

「水すら飲んでません! さいなら!」

 慌てて外へ出たものの、トメ兄の姿を見つけることはできなかった。

「どうなったんだろ……サエちゃん、そっちのキリヤンとサラさんは?」

『わ、いつの間にか帰ってた。サユカちゃんの面白い顔を撮るのに忙しくて気づかなかったー』

 ほんと、どうなってんだろ? うちの大人たちは。


 どうなってるんでしょうねぇ、はてさて。
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