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  カカの天下 作者:ルシカ
カカの天下699「あの日の次の日」
 カカです、今日も元気にサエちゃんサユカンと登校中。

「ねぇねぇカカすけ。トメさん、元気?」

「なんで?」

「昨日、ちょっとあって……夜に電話してきてくれたんだけど」

「やーらーしーいー」

「何よサエすけ。やらしいことなんか一つもないわっ!」

「それはそれで女として、さーびーしーいー」

「うっさいっ! 話を戻すわよ、そのときトメさん、その、元気なかったなぁ、なんて思ってっ」

 昨日のトメ兄を思い出す。

『笠原トメ!! 35歳! 妻も子供もいるといいな!!』

 泥酔したトメ兄は、まだ見ぬ未来を叫びながら左手は腰に当て、右手は『僕が一番!』といわんばかりに人差し指を天井向かって突き出して『いぇーい』とポーズを決めていた。

「んと、昨日は変だったけど」

 今朝のトメ兄を思い出す。

『おはよ、トメ兄』

『……ぬぁぁ』

 朝の挨拶を『ぬぁぁ』で済ませたトメ兄は、ものすんごく顔をしかめて――わかりやすく言えば洒落にならないほど頭が痛そうな表情で朝食を作っていた。そしてこんなことを言っていた。

『なぁ、包丁……なんでおまえ、今日はこんなにうるさいんだ? なんか怒ってるのか? キレてるのか? 悩みがあるなら……あれ、包丁が切れるのって普通か?』

 こんなことも言っていた。

『フライパン……おまえはどこのパンだ……パンダ?』

 とりあえずこの人はもうダメだと思った。

「うん、今朝も変だった」

「変、とか……君は人のこと言えないでしょっ」

 や、アレは言えるレベルの変だったと思うんだけど。

「元気かどうかよっ」

 そうだねぇ、もう一回寝れば元気になりそうだけど。会社に行くまでずーっと死んだような顔してたからなぁ。今日一日は辛そうだ。

「でもま、元気――」

 ――だと思うよ、と言おうとしたそのとき、サエちゃんの熱い視線をキャッチした。

 サエちゃんの目はこう言っていた。

『愛してるよー』

 違う。コレ願望だ。

 どれどれ、正しくは……ふむふむ?

「元気っ!? 元気なのねカカすけ!? そう……元気ならよかったわっ」

「――じゃない。すごく元気じゃない。今にも口からジョーイ&マイケルを吐き出して死んでしまいそうなくらい元気ない」

「ええっ!!」

 これでいいかなサエちゃん? なんか目が『No! No! No!』って言ってるように見えたから、思いつく限り最も『No!!』な死因を加えてアレンジしてみたんだけど……あ、サエちゃんがにっこり笑った。

「それは大変だねーサユカちゃん」

「うう、どうしようっ! わたしのせいかなぁ、わたしが傷つけるようなこと言っちゃったから……っ」

「それでトメお兄さんはズダボロになっちゃったんだねー。サユカちゃんのせいで」

「あああっ! わたしっ、わたしなんてことを!」

「責任取らないとねー」

「どうすればいいの……死ねばいいのかしら……」

「ううん、サユカちゃんは、トメお兄さんが元気になるように頑張るべきだよー」

「そ、そうねっ、そのとおりだわっ!」

「恥も外聞も捨てて、ただトメお兄さんのためだけに、イヤーンなことにもビリビリなことにもネッチョリなことでもビッショリなことでもどんなことでも耐えて、頑張らないといけないんだよー。なぜならサユカちゃんのせいだから」

「わかったわ、わたしのせいだものねっ! トメさんを元気づけるためなら、どんなことでもっ!!」

 サエちゃんはこっそり私にグッ! と親指を立てた。洗脳成功……なるほどなるほど。

「サユカン、またデートするんだよね? じゃあ勝負はそんときかな」

「うん、わたし頑張るわっ!」

「私たちも協力するよー」

「ありがとうっ! やっぱり持つべきものは友達ねっ」

 うん、持つべきものは面白い友達だよね。さーて、今回はどんな姿のサユカンが見られるんだろ。ていうか何させよっかな、サエちゃんとよーく相談しないと。たーのしーみー♪



 そして、学校が終わって帰宅。

 居間でテレビを見ながらゴロゴロしていると、やがてトメ兄が帰ってきた。

「ただいま……」

「おかーり」

 むう、暗い表情。二日酔いはまだ治ってない様子。

「カカ……僕、いつの間に会社に行ってたんだろう」

「今朝の分までモノの見事に記憶なくしてるね」

「薬飲んだから頭痛は治まったけど……やばい、思い出せない。昨夜に何をしたのか、おぼろげにしか思い出せない!! カカ、昨日の僕、変なこと言ってなかったか?」

「んーん、特には」

 ここは、昨日の失態は見なかったことにして、教えないであげるのが大人だよね。

 そしていざというときのネタとして取っておくのが大人だよね。携帯で撮った動画、ちゃんと保存しておかないと……

「でも、なんだかスッキリした気がする」

 そりゃそーだろうさ、あんだけ弾けりゃ。

「……まぁ、何もなかったならいいや。とりあえず夕食を……カカ、今日は雑炊でもいいか? まだ腹の調子悪くて」

「たまご、たっぷり入れて」

「よしきた。カカはたまご好きだなぁ」

「トメ兄のほうが好きだよ」

「んなこと言っても何も出てこないぞ?」

「冷蔵庫の奥にあるゼリーは?」

「……あれは明日のおやつな」

「トメ兄、大好き」

「だからダメだって」

「トメ兄大好き」

「おのれ卑怯だぞおぬし」

「トメ兄大好き」

「ええい、小癪な」

「トメ兄大好き」

「食後にもってけドロボー!!」

「わーい」

 うん。普通のトメ兄に戻ってよかった。

「……もっかい言ってくんない?」

「ヤ」


 またもや一日休んじゃいまして、楽しみにされていた方いましたらまたもやすみません。
 理由……今回は単純に時間なかっただけです。
 明日のカカラジはちゃんと書くつもりですので、投稿ネタありましたらよろしくです!
 気に入りましたら、こちらお願いします♪

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