ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
  カカの天下 作者:ルシカ
カカの天下659「名探偵カカの事件簿3」
 おはようございます、カカです。

「うおー」

 今日は朝から、うおー、な展開となりました。

 なにがどう、うおー、かと申しますとですね。んー……最初から説明しましょうか。

 うちには一応、自転車なるものがあります。私もトメ兄も徒歩派なので滅多に使いませんが、中庭に予備が一台、すぐ使えるように玄関にもう一台置いてあります。

 どちらも特に高価なわけでもない、普通のママチャリ。

 そのうちの一つ、玄関に置いてあるほうの自転車の――

「カゴが盗まれた」

 何を言ってるのかわからない? そのままの意味なんだけど。自転車の前についてるカゴあるじゃん、荷物とか置くとこ。あそこの部分だけがそっくりそのまま千切られてたんだ。

「トメ兄、どう思う?」

「うおー」

 いつの間にか隣に立っていたトメ兄も私と同じリアクション。そりゃそうだよねぇ、朝起きて玄関に来てみたら自転車のカゴだけが無くなってたんだ、誰だって「うおー」と言いたくなるはず。

「なんて微妙な盗み方をするやつなんだ……自転車盗難が流行ってるとは聞いてたけど、まさか一部分だけ盗むやつがいるとは」

「鍵を壊そうとした感じもないし、間違いなくカゴだけを狙った犯行だね。どしよっか?」

「そうだなぁ。カゴがなくなって不便になったものの、走れなくなったわけじゃないんだし……放っておくか」

「そだね」

 次の日、今度は座席が盗まれていた。

 ほら、自転車の椅子の高さって調節できるじゃん? 高くしすぎるとすっぽ抜けるじゃん。そのまますっぽ抜いて持ってかれたのだ。

「この犯人は何をしたいんだろう? 地味ないやがらせか」

「私にはわかる」

「カカ?」

「この人はズバリ、思いつきで行動している!!」

「……ああ、おまえと似たようなやつか」

 否定はしない。

「ならばどうする、カカ」

「ふ、私が犯人ならもう一度ここに来る。そして今度はベル辺りを解体するはず。そして上部分だけをはずして持っていくはずだ」

「なんという名推理」

「だから私は先を読む」

 私は破ったノートに『これは持って行かないでください』と書いて、ベルに貼っておいた。

 次の日。

 ベルは無事だった、しかし後部座席というか荷台というか、そんな感じの部分だけが取り外されて盗まれていた。

「くぅ、やるな犯人」

「どうするね、名探偵カカ君」

「ならばこうしよう」

 私は破ったノートに『返してください。お願いします』と書いて、すっきりしたカゴあたりに貼っておいた。もちろんベルの『これは持って行かないでください』という紙はそのままだ。

 次の日。

 今度は何も盗まれなかった。しかし何が返ってきたわけでもない。

「カカ君、どう見るね」

「きっと犯人は『うは、アホだコイツ』と思い、去っていったに違いない」

「ならば犯人はもう、ここには来ないのではないか?」

「いいや、それは早計だよトメソン君」

「僕が損しそうな名前だねカカムズ」

「なんかムズがゆそうな名前だね。それはともかく、勝負はこれからだ」

「というと?」

「犯人は現場に戻ってくる。そう、次の日に来なくとも、また次の日に来るかもしれないのだよ」

 私は二枚の紙が貼られた自転車に、さらに『返してよう』と『お願い♪』の紙を追加して貼った。

 次の日。私は『返して!! お願いだから返して!!』と『アレがないと、こまっちんぐ』の紙を追加した。

 次の日。私はインパクトを持たせるため、全ての貼り紙に口紅でキスマークをつけてみた。もちろんトメ兄のキスマークだ。

 次の日。サユカンは釣れたけど犯人は釣れない。私は『返せ』という紙を十枚追加した。

 次の日。私は『本日特売』と『三万円でどっすか?』という紙を追加した。

 次の日。私は隠し持っていた書かれた運動会のときのふんどしも貼ってみた。書かれている文字は『特盛り』だ。

 次の日。私はでっかい紙にでかでかと『まいったか』と書いて自転車に貼り付けた。

 そして次の日。自転車は元通りになっていた。座席、後部の荷台はきちんとはめられ、千切られたカゴは留め金でしっかりと固定してあった。

 さらに『まいったか』の紙の隅に、ご丁寧にも『まいりました』の文字が。

「ふ、私の勝利だ」

「見事だ名探偵。ところで、犯人探しはしなくていいのか?」

 紙に書かれた『まいりました』という文字の下を見る。

 そこには小さく『楽しかった』と書かれていた。

「このユニークさに免じて許してやろうではないか」

「立派だ、さすが名探偵」

「えっへん」

「しかし、この貼り紙だらけの自転車を玄関に放置したせいで広がった近所のユニークな噂はどうするべきだと思う?」

「知らにゃい」

「オイ」


 突然ですが、私の自転車は一度壊されかけたせいで、カゴが取れた状態なんですよ、本来は。

 それを100円ショップで買った留め金を四箇所使い、ごまかして使ってたんですけど……

 昨日、その留め金の二つが盗まれてました。

 でもま、いつも後輪留めるのに使ってるロープの鍵を前に回せば使えるやー、と思ってたんですけど……

 本日、残る二つも盗まれてました。

 そこでスーパーしんきんぐタイム。

 カゴは使い物にならない。

 かといって100円ショップでまた買うのももったいない。それでまた盗まれても地味にヤだし。ていうか地味なもん盗むなオイ。

 というわけで。二度と(そいつに)盗まれないかつカゴも元通りになる天才的な方法を思いついた。

 なんのことはない、そいつに返してもらうのだ。

 そういうわけで『返してください。お願いします』という張り紙を自転車に貼って放置してみることにした。
 こやつは二日連続で私の自転車に手を出しているのだ。こんなすっとぼけた姿になった自転車をまだ使っているのか様子を見にきてもおかしくない。 
 そして張り紙を見て思うはずだ。
「うはwwwwなんだコイツwwwアホだwwww」
 もし犯人に少しでもユニークさがあれば返してくれるはずだ。

 本当に返ってきたらウケる。

 
 そんな私の今朝の実話を元に書きました。
 気に入りましたら、こちらお願いします♪

NEWVELランキングへ投票(月一回)

 長編小説ランキング

 HONなびランキング



+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。