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カカの天下
作:ルシカ



カカの天下57「不機嫌の理由は?」


 こんにちは、トメです。

 突然ですが、困っています。

 なにやら小生意気なことでご近所で有名な僕の妹カカが、小学校から帰ってきてからずっと不機嫌なのです。

 今もこたつに入ってごろごろしながらムスーっとした顔でテレビを見ています。いや、無愛想なのは元からだけどさ。

「あのさ、カカ?」

「なにー?」

「何かあったのか?」

「べつにー」

 でた、最強の万能の言葉、「別に」

 何も話す気ありませんとこの上なくシンプルに伝えることができる攻撃魔法(?)だ。

「え、えーと、カカ? 晩御飯なにがいい」

「なんでもー」

 むぅ……重症だ……

「カカ、お菓子食べるか?」

「いらないー」

「カカの好きなエクレアだぞ?」

「いらなーい」

「みかんは?」

「いらないよ」

「バナナは?」

「いらない」

「僕は?」

「いらないってば」

「…………」

 ショックだ。

 端から見れば自爆以外のなにものでもないけどショックだ。

「…………ん? あ、やっぱいる」

「我が妹よ! おまえはやっぱり可愛いな!!」

「バナナ食べたい気分だった」

「そっちかよ!!」

 ツッコミつつもカカがちゃんと反応してくれて嬉しかったりする僕だった。

「バナナ栄養たっぷりだもんね。食べて元気だそ」

 そういいながらもしゃもしゃとバナナを頬張るカカは、本当に元気が無いようだった。

「なぁ、カカ。マジな話、なんかあったんなら相談しろよ」

「んー……」

「僕はおまえの家族なんだからな」

「くさい」

「わかってるわ! わかってるけどたまにはこんなことを言ってみようと思った僕の出来心をちゃんと見てくれ!」

「見たよ、恥ずかしい」

「恥ずかしいとか言うな!」

「……や、だって。私の悩みのほうが恥ずかしいから」

 そう言って恥ずかしそうに俯くカカ。

「恥ずかしいってなぁ。生まれたときからずっと一緒に暮らしてきて今更恥ずかしいもなにもないだろうに。言え言え」

「実はね……」

「おうおう」

「今日、トイレの大きい方がうまく出なかったの」

「…………んあ?」

「こういう日って……憂鬱だよね」

「……そ、そうか?」

「うん……なんかその憂鬱から始まっていろんな昔のこと思い出しちゃって……」

 そう言って遠い目をする小学三年生。

 大人ぶっててうざいような、大便から始まる憂鬱というところが微妙に子供らしいような……よくわからん。

 なので。

 相変わらず難儀な妹だなぁ、とトメは一言でまとめるだけにしておいた。







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