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  カカの天下 作者:ルシカ
カカの天下24「風邪っぴき夢物語」
 さて、最近は寒くなってきましたね、トメです。

 風邪が流行っている今日この頃。うちの妹カカも見事に風邪をひいてしまいましたとさ。

 今日は日曜ということもあって、僕はかいがいしく看病なんぞをしてやるのであった。とは言っても居間でテレビ見ながら、隣の布団で眠るカカの額のタオルを取り替えたりするだけなんだけどな。

 それにしても……不謹慎かもしれないが、あんな元気に小生意気な妹でも静かに伏せっていると可愛いもんだね。

「……うぅん……地獄に、落ちろ、もっと」

 うあ、すげぇ可愛くねぇ寝言。

 なにやら夢でも見ているらしく、カカはうなされながらもぶつぶつと呟いている。

「……魔法は……石鹸に……食べて……大爆発。ぷぎゃー」

 何の夢見てんだこいつ。

 まぁ得てして夢というのは妙なものが多い。しかも熱に浮かされた状態ともなれば更に変な夢の一つや二つは見てもおかしくないだろう。

 ちなみに僕は風邪を引いているとき、ヤクザに売られてそこから大脱出して自分を捨てた父親に復讐しようとして返り討ちにあったという夢を見たことがある。

「トメにー死んだ」

 なんつう夢を見とるのだこいつは。

「むかし、むかし、あるところに……トメという若造がおったそうな」

 なんか昔話調に語りだした。本当に寝てるのかこいつは。あと僕さっき死んだんじゃないのか。

「ある日……山はトメを芝刈りに、川を洗濯がトメにいきました……」

 や、そんな「お部屋をお連れします」みたいなノリで喋られてもわけわからんから。というか両方僕かい。

「トメが山川さんちで洗濯をしていると……」

 うお、なんか合体した。

「川の上からどんぶらこっこと……手にびっしり五寸釘が打たれた死体が流れてきました」

 こえぇよ!!

「トメは叫びます。ジュテーム」

 まてやコラ、死体にフランス語で愛の告白する僕は一体何者だ。

「死体は答えます。トレビヤン・プレタポルテ」

 なんで死体が答えるんだ?

 なんでフランス語なんだ?

 意味は『とっても既製品』

 わけわからんがな。

「そして……二人は末永くポワソンとプロムナード……」

 末永く魚と散歩してどうすんだ。

 というか、こいつはどこでフランス語なんぞ習ってきたのだ?

 というかというか、なんで僕は意味がわかるんだろう。習ったことないのに。はて? 

 神の意思か――まぁその通り――何か聞こえたか? 気のせいか。

 とりあえずカカの夢物語は完結したらしく、寝言は止まって静かな寝息をたてている。

 面白かったから細かいことはどうでもいいか、と僕は一人納得して、タオルを取り替えようと手を伸ばす。

「触るな」

 ピタ、とその手を止める。

「私に触れたとき……おまえはもう死んでいる」

「やっぱ起きてるだろおまえ」


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