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  カカの天下 作者:ルシカ
カカの天下139「命令しましょ、そうしましょ」
「ざ、命令ゲーム!」

 こんにちは、サエです。お元気ですかー?

 私は相も変わらずカカちゃんちで、サユカちゃんも一緒に三人で遊んでます。

「さてさて、みんな書けたかな」

「うん、書けたよー」

「おっけーよっ」

 私達が好き勝手に書いた紙を三つの箱に入れて、かき混ぜます。

 それぞれの箱には『誰が』『誰に』『何をする』と書いてあり、私たち三人がその箱に入っている紙を引いて文を繋げて命令文を作ろうという遊びです。

 よほどのことがない限りその命令には絶対服従。自分が書いた紙以外には何が書かれたのかまったくわからない、なんとも危険なゲームなのです。

「さぁ始めよう。誰がどれ引く?」

「私は『誰が』ひくねー」

「じゃわたしは『何をする』ねっ。一番おもしろそうだし」

「おっけー。んじゃ私は『誰に』か。サエちゃんからどうぞ」

 さぁ、最初のお題は……

「えーと、『カカが』だってー」

「む、いきなりかぁ。じゃ私ね……『トメに』だ」

「あれ、トメお兄さんも入ってるんだね。ゲームに参加してないのに」

「そのほうが面白いでしょ」

 サユカちゃんが、とカカちゃんが心の中で付け加えたのを私は見抜いた。

「むぅ、トメさんに何をする気だカカすけ……うりゃ! えと、『一番傷つきそうなことを言う』って、誰よこんなえげつないこと書いた人」

「それは聞かない約束だよー、それじゃカカちゃん、ゴー!」

「ん、楽勝だね」

 そう言ってカカちゃんは立ち上がり、居間でごろごろしているトメお兄さんのほうへ向かっていった。私たちもその後を追う。

「トメ兄」

「ん、なんだよ」

「兄妹の縁を切らせていただきます!」

「…………ぅえ」

 あ、あのツッコミのトメお兄さんが何も言えずに灰になった!!

「任務完了、もどろ」

 真っ白になったまま微動だにしないトメお兄さんを置いていっていいものかサユカちゃんと目を合わせるが、いい案が浮かばず仕方なくカカちゃんを追う。

「カカちゃん、トメお兄さん大丈夫かな。なんかつついたら粉々に崩れちゃいそうなくらいショック受けてたよ?」

「影なんかなくなってたし身体も透明化してたわよっ」

「トメ兄は私が大好きだからね。まぁ、あとでちゃんと本当のこと言うから大丈夫だよ」

 本当のこと……どんなことを言うのかちょっと気になる。

「じゃ、次いこー」

 そして引かれた命令は……

『カカが』『トメ兄に』『コップに入れた水をぶっかける』

「だから誰よこんな攻撃的な命令書いたの!?」

「あの状態のトメお兄さんさんに水をかけたら……」

「灰になってたけど水で固まって崩れにくくなるかもね。やってくる」

 カカちゃんはそう言うと居間に向かった。

 すぐに戻ってきた。

「トメ兄、世界の終わりみたいな顔してた」

 大事な妹に縁を切られたうえに水かけられれば、そんな顔もするだろうなー……

「じゃ、次をば」

『カカが』『トメに』『飛びひざげりをくらわす』

「なんでトメさんにばかりこんなひどいことを! しかもまたこんな野蛮な!」

 ごめん、それ書いたの私です……

「あちょー!!」

「カカすけ行動はやっ!!」

「ただいま。トメ兄、崩れちゃった」

「ええ!? く、崩れたって……」

「見にいっていいかなー」

「いや、その前に次の命令をしようサエちゃん」

「カカちゃん……とどめをさす気だね」

「え、いや。別に。昨日トメ兄がわたしのようかん食べたからって復讐してるとか、そういうんじゃないよ?」

 なるほど、そういうことかぁ。それにしてもカカちゃんって和風だなぁ。

「さて、とどめ……コホン。次の命令を……」

『サエが』『トメに』『必殺技をくらわす』

「……あれ」

「とどめ、私?」

「サエすけ……」

 さて、困ったことになった。

「サエちゃん、ゴー!」

「サエすけ、ほどほどに……」

 とりあえず居間に来て見ると、そこには死んだカエルみたいなトメお兄さんが。

 必殺技、かぁ。私の必殺技ってなんだろう。

「あ」

 ふと思いついた。早速試してみよう。

 私は溶けかけてるトメお兄さんに近づいて……

「トメお兄さん、私が妹になってあげるから元気だして」

 その頬にキスをした。

 その瞬間、いろいろなことが起こった。

 トメお兄さんは一気に元気になって、カカちゃんはそのトメお兄さんに飛び掛って、サユカちゃんは私に飛び掛ってきた。

 これぞ私の必殺技。

 大、混、乱♪ 

 サユカちゃんの攻撃を避けながら、横目でカカちゃんを見て疑問に思う。

 なんでカカちゃんって私とトメお兄さんが仲良くすると怒るんだろう。しかもトメお兄さんに。

 ま、おもしろいからどうでもいいやー。




 ――そして、今日も今日とてカカの愛は気づかれないのであった。
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