「なんで……?」(1/14)縦書き表示RDF


前作『監獄』の流れを汲んではいますが、今回は真面目なホラーを目標に頑張ります。

最後までお付き合い頂ければ幸いです。
「なんで……?」
作:ハシルケンシロウ



1 『さよなら』(プロローグ)


七海は家路を急いでいた。

通い馴れた道。
何もかも知り尽している筈の道。
だから、この道の危険度は充分理解しているつもりだった。
それが油断に直結したのかも知れない。

或いは、結婚を翌日に控え、浮かれていたからかも知れない。

七海は聞いてしまった。
自動車のブレーキが突然最大限に踏み込まれ、制動距離があやふやになってしまったタイヤの悲鳴を。

七海は気付いてしまった。それが自分に向かって急接近していることに。

そして、見てしまった。
その悲鳴の主がもう手遅れな程、目の前に迫っているのを……。

『何でわたしが……、
死にたくない……。

明日結婚なのに!

何で!

助けて!

助け……』

自動車は七海の臓物を押し潰し、頭蓋骨をへし折って、前方の石垣に激突して……、

燃えた。

石垣と自動車の間には……、

七海……。

『隆行……、
ごめんね……。

最期に……、

……、……、……会いたい……。

せめて……、わたしの口から……、さ……、よ……、……、……』

炎は、まだ意識のあった七海の体を、心を、命を、その存在全てを焼き尽してしまった……。




ホラーでは初連載になりますが、いつもの持病『落ち切ってない病』が出ないように気を付けます。












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