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お姫様は面倒くさがり  作者: 夢月なつか
8/9

番外編・アルフレッドの結婚式

タイトルと違って、新キャラであるアルフレッドの婚約者視点になります。

こちらも短め。


 わたくしは、リーデン国の公爵家の娘ローディアです。


 この度、やっっっと結婚することになりましたの。


 えぇ、なぜ結婚できなかったか、理由は相手にあるのです。


 その相手は、この国の王子であり次期国王になられるアルフレッド様です。


 わたくし達の婚約は、幼い時から決まっていて、今では言葉を交わさずとも言いたいことや思っている事が分かるようになるほどの仲です。


 関係は良好、もちろん家族同士付き合いも良好。


 もっとも、わたくしはレイア様には会ったことは無いのですが・・・・。


 さて、アルフレッド様はシスコンです。


 自他ともに認めるシスコンです。


 なぜ、結婚できなかったのか? それはわたくしが成人した時のことでした。


「すまない、レイアに婚約者が出来るまで待ってくれ!」


 そう、言ったときのアルフレッド様は土下座というものをしてらっしゃいました。


 遠く異国の最上級の謝罪方法だそうです。


 王族とあろう方が、床に座り込み、手と額をつけて懇願してきたのです。


「アホですか、このシスコン! 五年です。それ以上待てません!」


「ありがとう! 愛してるよローディア!」


 本当はすぐに結婚して一緒にいたいのですが、レイア様に関してアルフレッド様に何を言っても無駄なので、五年で妥協しました。

 

 惚れた弱みというのでしょう。


「わたくしも愛してます。だから約束は守って下さいね! じゃないとわたくし逃げますわよ!」


「守りますから辞めて下さい・・・・本当は式を上げてさっさとローディアを迎えたいのだが、どうしても妹が気になってな。ほんとすまない」


「ほんと仕方の無い人」


 でも、そういうところも含めて愛してますけどね。


 その後は、お互い家族の説得に苦労しました。


 当たり前ですね。


 お父様が「よし。ちょっと殴ってくる」と、ちょっと散歩行ってくる的なノリで行こうとしたりしましたが、まぁなんとか穏便?に出来ました。


 そして、それから三年後にレイア様が隣国スカーレットの宰相の子息であるライナー様と婚約したと、聞きました。


 会ったこともない、義理妹のレイア様ですが、とても嬉しかったです。


 病弱というのはそれだけで不利なので、婚約者が決まってよかったです。


 そして、わたくしも結婚できます。


 レイア様の婚約が、決まってすぐにアルフレッド様がいらっしゃいました。


「ローディア、待たせたね」


「レイア様の婚約が決まってよかったです。これで心置きなく結婚できますね」


「あぁ、ライナーならレイアを任せても問題ない。式は一週間後だ」


「分かりましたわ。その日は、レイア様も?」


「ライナーも一緒に参加するが、レイアは目立ちすぎるからこっそりとだな。もちろん、ローディアにはちゃんと紹介するよ」


 確かに、病弱なレイア様にとっては、表を避けたほうがいいのかもしれません。


 人も多くなりますし、お身体に障るかもしれませんしね。


 紹介はしてくれるというので、楽しみにしてましょう。


 義理妹となる、天使のような姫君といわれるレイア様に会うのがとても、楽しみです。


「うん、その時真実を教えるよ」


「何か言いましたか?」

 

「いや、大したことじゃないとも言えないが、今は気にしなくていいよ。ローディアの花嫁姿楽しみにしている」


「えぇ、気合いれておめかししますわ」


 その日、公爵家はお祭り騒ぎとなりました。


 お父様は「よし、二発殴ったら三年も待たせたり罪は許そう」と言ってました。


 実行にうつされたのかは・・・・二日後、頬を腫らしたアルフレッド様を見て分かりました。


 きっと、陛下も王妃様も許可したのですね。






 そして、結婚式当日、城の一室で

 

「準備はできたかい?」


 ドレスを着て、お化粧をして、髪を整えて、準備が終わったときアルフレッド様が来ました。


 アルフレッド様の正装はとても素敵です。


「ローディア、とても似合っている。今すぐ押し倒して」


「崩れるからだめです」


「だよな」


 わたくし達のいつもと変わらぬ掛け合いの中、扉のところに人がいることに気づきました。


 わたくしとしたことが、とんだ失態です。


「あ、悪いライナー、あまりに俺のローディアが綺麗だったからつい」


 ライナー様の姿は以前見かけた事がありますが、なんだか雰囲気が柔らかくなったような気がします。


 きっとレイア様と出会って変わられたのでしょう。


「気にするな。しかし、俺はいいがレイアが待ちくたびれてしまうぞ?」


「おぅ。そうだった、ローディア、レイアに会いに行くぞ。足元に気をつけて、こっちだ」


 このタイミングで会うことになっていたようです。


 それなら、教えて下さってもよさそうですが、レイア様は病弱ですから体調の問題もあるのでしょう。


 アルフレッド様の完璧なエスコートに惚れ惚れしつつ、案内に従います。


 さほど離れていない部屋に着きました。


 ここに、噂の姫君がいるのでしょうか。


「レイア、君の義理姉になる人を連れてきたよ」


 アルフレッド様が、声を掛けた先には・・・・


 天使がいました。


 わたくしは声も失い、ただ見つめていました。


 本当に、この方は人間なのでしょうか?


 そう、思ってしまうほどの・・・・


「ローディア、大丈夫かい?」


「あ、えぇ、すみません。あまりに可愛らしかったもので驚いてしまいました」


「さすがローディア、よく分かってる!」


 自分のことのように喜ぶアルフレッド様は、相変わらずのシスコンです。


「アルフレッド、レイアがローディア嬢と話がしたいようだ」


「ほう? 珍しいな。面倒くさがりのレイアが自分からそう言うとは」


 ん?


 今『面倒くさがりの』と聞こえたような


「不思議そうな顔をしているな。ローディアには真実を言おう。レイアは病弱じゃなくて、面倒くさがりなだけなんだ。まぁ、ただの面倒くさがりでは無いが」


 アルフレッド様の言葉にわたくしは驚きました。


 とりあえず、話をしましょう。


 わたくしは、座っている彼女の前に行き、挨拶をしようとしました。


「おめでとう、お兄様が待たせて、ごめんなさい。義理姉様」


 声まで美しい!


 こんな天使から義理姉様・・・・悪くありませんわ!


 一年後には、彼女はスカーレットへ嫁ぐのでしょうが、それまで堪能しましょう。


「いいえ、アルフレッド様がシスコンなせいです。あなたが謝る必要はないです。これからよろしくお願いしますわ」


「・・・・」


 無言で頷く天使な義理妹は微笑んでくれました。


 面倒くさがりとか、どうでもよく思えてしまいますね。


「シスコンなのは否定しないが、あまり言われると、ちょっと傷つくぞ・・・・」


「あら、そんなあなたを愛してますので問題ないです」


「俺は幸せ者だよ」


「いい雰囲気のところ、申し訳ないが、そろそろ時間じゃないか?」


 あら、ライナー様の言うとおりです。


 そろそろ行かないといけませんね。


「お二人はどうなさいますか?」


「レイアと別室で様子を見てるよ」


 優しく、天使な義理妹を抱き寄せるライナー様は、とても幸せそうですね。


 わたくしも、ライナー様に負けぬよう幸せにならないと!


「お兄様、待たせた分ちゃんとやってきて」


「もちろんだレイア」


 でれでれして、だらしないですわアルフレッド様。


 でも、その様子も素敵です。


「さあ、行こうかローディア」


「はい、アルフレッド様」







 そしてわたくし達は、盛大な結婚式を挙げました。


 大変なのはこれからですが、アルフレッド様となら上手くやっていけるという、確信があります。


 わたくし達はお互いに愛し合ってますから。





 

その後、アルフレッドはローディアに尻に敷かれ続けます。


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