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鬼侍 ONI-ZAMURAI 作者:佐藤写楽
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風唸る

「よお、やっと来たかい」

間の抜けた調子で声をかけてきた男は、城には到底似つかわしくない古びた着物、無精ひげにぼさぼさ頭で、用心棒として雇われた浪人という風体。

「お前さんも飲むかい?」

片手に持った徳利を投げて寄越した。鬼がそれをすっと避けると、がしゃんと鳴る間に浪人が剣を抜く。

「旨い酒なのに勿体ねえなあ。まあいい。やろうか」

ただならぬ空気が辺りを包み、風が唸る。鬼は両の刀を八の字に構え、浪人はふらふらと片手で持った刀を揺らす。

静と動。浪人の刀が突然鋭く鬼の首を狙う。紙一重でそれをかわした鬼が、両の刀で斬りかかる。それをゆらりゆらりと避ける浪人。

間合いが遠い。達人同士の死合において、間合いに入るは命取り。

そこへ先に踏み込んだのは鬼だった。鬼に失うものはない。浪人は咄嗟に一太刀防いだものの、もう一太刀が左腕を捉えた。

絡まった刀を弾いて距離を取る。刀を咥え、懐から取り出したぼろ切れで傷を押さえる。

「やるねえ」

浪人は刀を持ち直すと、切っ先を鬼へと向けて居掛けるそぶりを見せる。鬼が身構えたと見るや否や、さっと身を返して走り去る。

「犬死には御免だ。またな!」

そう捨て台詞を残して去っていった。鬼はそれを追うことなく、黙々とまた坂を登る。

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