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Gカップ★グラドル
作:坂田火魯志



第六章


「さてと」
 楽屋を出る。そして恵理香を迎えに言った。
 すると恵理香はあのヒーローのタレントと楽しそうに話をしていた。色々舞台裏を聞いているようであった。
「へえ、あの時ってそうだったんですか」
「そうだよ、大変だったんだよ」
 ヒーローをやっていた役者の方もかなりノリノリで話をしていた。彼は子供の頃熱狂的なヒーローファンでありヒーローをやるとなって狂喜乱舞したという話がある。だから上機嫌になっていたのだ。
 恵理香は恵理香ではしゃいでいた。聞いている彼女もかなり乗っていた。
「やっぱりヒーローって危ない撮影多いんですね」
「そうなんだよ」
「そういえばそうだったわね」
 それを聞いた山本はそのことに思いを巡らせた。
「ヒーローっていえば確か」
 最初のシリーズの話を思い出した。その俳優は撮影中大事故を起こして半年間も入院していたのだ。これがヒーローにとって大きな転換期ともなったのは事実である。もう一人のヒーローと後のシリーズ化につながったのだから。それを考えると非常に大きい。
 しかし。タレントを預かるマネージャーとしてはそんな怪我は負わせられない。ましてや顔に怪我でもされたら。整形があるにしろ絶対に避けなければならないものであった。
「まずいかも」
 ヒーローの主役は生身でもアクションをすることが多い。それはかなり危険なことである。
「爆発起こったじゃない、後ろで」
「はい」
 山本のそんな心配をよそに話は続いていた。
「かなり吹き飛んでね。スタントマンなしだったし」
「凄かったですからね、あの場面は」
「うん、本当にね」
 彼は言う。
「死ぬかと思ったから」
「死ぬかと」
 山本はその言葉に敏感に反応していた。だがそれには誰も気付いてはいない。
「やっぱりヒーローはアクションだからね」
「そうですよね。だからいいんですよね」
「うん。ところでさ」
「はい」
 恵理香はそれに応えた。
「エリちゃんもヒーロー出てみたらどうかな」
「出たいですよ、やっぱり」
 その言葉に本気で応えた。
「こうしてへんしーーーん、なんてね」
「そうそう。あのポージングする時が最高なんだよ」
「カードも使って」
「細かいね、本当に」
「何か出たくなっちゃいましたよ」
「そうだね。出られたらこれ程嬉しい役ってないから」
「そうそう」
「一生の記録だよ。後で家族にも自慢できる」
「私もお父さんやお母さんに自慢したい」
「ううん」
 山本はそれを聞いてまた考える顔になった。
「やっぱり出たいですよ」
「そうだね。じゃあまたね」
「はあい」
 こうして恵理香はそのヒーロー俳優と別れた。別れてすぐに山本に気付いた。
「あっ、山本ちゃん」
 すぐに彼女に声をかける。
「迎えに来てくれたの?」
「まあね」
 山本はそれに応えた。そして言おうとする。
「あのね」
「何!?」
 ライダー役は考え直した方がいいのではと言おうと思った。だがここでふと思い直した。
「いえ、何でもないわ」
「そうなの」
「じゃあ帰りましょう」
「今日はこれで終わりだったっけ」
「そうね。夜はフリーよ」
「じゃあこれからカラオケでも」
「お昼にあれだけ歌ったのに?」
「レッスンとカラオケは別喉なのよ」
「そうかしら」
「そうそう。だから行こうよ」
 山本の背を押して言う。
「二人でさ。ぱーーーーっと」
「ぱーーーーっとって」
 山本はまだヒーローのことで考えているので返事が今一つ歯切れがよくない。







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