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LV999の村人  作者: 星月子猫
第三部
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何一つ、諦めたくないから-3

 電撃の竜巻が収まると、小型メシアたちを破壊するまでにはいたらなかったが、明らかに動きを鈍くさせていた。だが、それでも小型メシアたちはすぐさま反撃しようと魔力銃器の照準を鏡とクルルに向けた。


「それなら……クルル、タイミングを合わせて俺に魔法を頼む!」


 その意図を瞬時に理解したのか、クルルはすかさず同じだけの魔力を帯びた電撃の塊を鏡に向けて撃ち放つ。直後、鏡は手元に青白い仄かな光を灯らせ、その電撃の塊を空中で殴りつけると、そのまま一直線に上空から小型メシアのいる場所へと殴りつけた魔力と共に落下する。


 すると、落下の勢いと、クルルの放った魔力の籠った一閃により、まるでバターを切り落とすかのように小型メシアの片腕は両断された。小型メシアの片腕と握っていた魔力銃器が地面へと転がるが、鏡はすかさず取り戻されないようにそれを拾いあげてはるか遠くへと投げ捨てる。


「よっし……いける! これなら……!」


「なるほど……そういうことならあたしたちだって! レックス! 同じように攻撃を仕掛けるわよ! あたしの力であんたの斬撃に合わせて魔法を放つから!」


 そして、鏡のその一連の行動を見ていたパルナも、自分を運ぶレックスに鏡と同じことをしようと声をかける。だが、レックスは何故か乗り気ではなかった。


「いやしかしな…………色々と難しい」


「色々って何よ」


 無論、レックスの身体能力であればパルナを片腕に掴んで運ぶくらいわけはなかった。だが、運ぶ過程で密着する必要性があり、レックスは色々と集中できずにいた。むっつりだったから。


「クーちゃんから身体能力を強化してもらってるんだから簡単に運べるでしょ? ほら! ちゃっちゃと動きなさい!」


 まるで激を飛ばすかのようにパルナがレックスの首回りに手を伸ばしてしがみつくと、レックスは煩悩に悩まされながらもその場の勢いで走り出し、小型のメシアが放つ魔力弾をかいくぐって接近する。


 懐に入る間際、レックスは自身の魔力を斬撃に込めて放ち、それと共に、パルナが放てる最大級の炎熱魔法をその斬撃に纏わせる。すると、鏡のように一刀両断とまではいかなかったが、大きなえぐれたような傷を小型メシアの一機に喰らわせた。


 すぐさま反撃しようと、攻撃を受けた小型メシアは魔力銃器の照準をレックスたちに合わせようとするが、その途中で突如現れた氷の塊に遮られ、身動きがとれなくなる。


「支援ならボクとメノウに任せて!」


 声の聞こえた方に視線を向けると、そこには魔力の籠った両手をこちらへと向けて廃ビルの屋上に立つアリスとメノウの姿があった。


「いける! 想像以上に戦えてる……!」


 ようやくダメージを負わせる手段を見つけることができ、一同は連携をとって一気に攻撃を仕掛け始める。小型メシアの攻撃をかいくぐり、深追いをしすぎずにヒット&アウェイを繰り返し、数体いた小型メシアを徐々に、だが確実に追い詰めていった。


「ぬぁぁあああああああああああああああああ!」


 だがそんな時、安全を確保するためにヒット&アウェイをする一同の前に、雨のように降り注ぐ弾丸の雨を避けようともせずに全て受け止め、全力疾走する一体の怪物が一同の目の前に現れる。ドンドンドンっと近付くのも困難な魔力銃器による爆炎が巻き上がっているにも関わらず、その存在は風のように何の躊躇いもなく一同の目の前を通り過ぎると、小型メシアに拳を突き立て、粉微塵にするかのような勢いで殴打のラッシュを叩き込んだ。


 すると小型メシアは、まるで発砲スチロールでも砕いてるのかと思えるくらいにいともたやすく完全に粉砕される。


 その怪物の背中には、今にも死にそうな表情で必死にたくましくも大きな肩にしがみつくティナの姿があった。


「もうタカコちゃん一人でいいんじゃないかな?」


 相性的にも、最も活躍するのはタカコと踏んでいた鏡だが、ティナのスキルとあわさることでここまで強力かつ、恐ろしい存在になるとは思っておらず、思わず口を開けて絶句した。





 それから、存在した小型メシアの全てを片付けるのに十数分の時間を要した。というのも、序盤まで無双していたタカコの背中にくっついていたティナの体力が尽きたからである。ティナという無敵のバリアを失ったタカコだったが、それでも装甲の厚い小型メシアに最も有力な防御力無視という攻撃手段を持っていたため、難なく全ての破壊を完了させる。


「私はもう駄目です……ここで多分……死にま……ふ」


「ティナさぁぁあぁあん! しっかりして!」


 本日二度目のぐったりと横たわって死にかけのティナを前に、アリスが慌てた様子で回復魔法を注ぐ。

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