表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
微生物を愛でたいのだよ!  作者: まいまいഊ
序『微かに顕れた世界』
1/59

1・電子顕微鏡の白黒世界

 宵闇の研究室から白緑色の光が漏れている。

 小さな画面には点のような文字がつづられ、洪水のように流れている。待つこと数十秒。画面の中央に立体映像が現れた。美しい楕円の球体がいくつも鎖のように連なっていた。

 この映像を見た白衣姿の者は、思わず笑みを浮かべた。数時間ぶりに見るその生物の姿に惚れ惚れとしていたのだ。


 電子顕微鏡、その巨大な機械はその精密さゆえにメンテナンスが欠かせない。今回のメンテナンスでは、古くなった電子銃を交換したのである。電子顕微鏡は小学校にあるような光学顕微鏡とは異なり、可視光線ではなくさらに短い波長を持つ電子線を使用する。対象物をより美しく見るために必要なその電子線を発生させる電子銃と言う装置を今回交換したのだ。

 数時間かけて行われた電子顕微鏡の点検後、動作確認のために机の上にあった適当な物を台に載せ覗き込んだのだ。


 電子顕微鏡の色の無い白黒の世界は、時間が止まったようにその対象のすべてを映し出す。

 その生物が持つ美しい生命の形は、神が作り上げた芸術品であろう。


 ――ふと何か変なものが写りこんだ。

 それはナノの世界には不釣合いな形をしていた。顕微鏡を覗き込む黒い瞳には、もはやその不思議な形をした物質しか移っていなかった。

「……人型……?」

 そして、そうつぶやいた次の瞬間、その部屋から……いやその宇宙の世界から一人の院生が消えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ