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格闘家の卵  作者: 霜三矢 夜新
格闘スクール教官編
34/88

メリアとコルト達の関係 1

「私、コルトとメリアはお友達ですのよ。ちょっとした意見の相違で少し険悪になっただけですわ」

「そうよそうよ」

 いくら怪しもうとその現場を押さえないといけないみたいだ。どう見てもいじめっこグループと標的の図にしか思えないけど証拠にとぼしい。

「悪かったよ、疑って。だけどな、そうした関係には目を光らせている事を忘れんなよ!」


 マギーの形だけの謝罪に、コルトが挑戦的な目つきをしながらも神妙そうにしている殊勝なフリの仕草をした。

「まあ。肝に銘じておきますわ」

 リオと同じようにスラム街出身のメリア、コルト達のグループについていって心を許せそうな相手だと

 直感したコルトに『友達』という言葉についておそるおそる聞いた。

「ねえ、コルトさん。私とあなた、友達なんだよね」

「調子に乗んなよ。んなわけないでしょーが!? せいぜい使い走らせてちょうだい」

 スラムでは騙される側が悪いという考えが蔓延しているのでメリアはあまり傷つかなかった。悲しさを覚えなかったといえばウソになってしまうが。


 私の直感はわりと当たるんだけどなとメリアが嘆息している。先程の問いかけでコルトはへそを曲げてしまったみたいである。取り巻き女2人がなだめている様子からそうわかった。本日の格闘スクールの授業は準備運動の大切さ・ケガを極力しないようにする方法・ケガをした際の応急処置などであった。知識が足りないと自覚のあるメリアが次から次へと吸収していく。


 午後になり、まじめに授業を受けている内に(濃厚な授業の時間だったというのもある)放課後になった。マギーに目をつけられているため姑息なコルト達は仲睦まじいフリをしながら校門の外に出て行く。まだ良くない兆候程度ではマギーも強く言えなかった。


                      ◇


 教官職のため、最初に教室で見た瞬間何らかを訴えかけるかのような変わった雰囲気をまとっていたクラスの1女生徒だけを見てあげられない。その子が気になったのだが雑務に追われてしまい、観察するには限度はある。だから約10日間後の4月中旬に教室のまとめ役候補に教室に残ってもらうように頼んでいた。

「しかし、BMSバトルマスタースクールのマギーと同名か。ちゃんと姿を見たわけじゃないけど多分別人じゃないかと思うけど」


 リオの中では、親友のマギーがわざわざ転校してくるだなんて考えは理由も思いつかないし少しもないのだ。だから教室の中に入り、目前で1VS1になった時言葉を失った。

「どうした、リオ。再会して最初にやる事が金魚のマネかよ!?」

 いつまでも黙っている訳にはいかない。まさかの再会――


 親友だからこそ尋ねたい事もある――


 戸惑いと喜び、そんな感情に振り回されたが。


「うっかり間抜けな顔もしちゃったりするよ。マギーはBMSでも優良生徒だったと手紙で」

 どこかバツの悪そうにマギーが告白する。

「けどよっ、どうもBMSバトルマスタースクールがつまんなくなっちまって。新しい挑戦をするならここだろ! ってな」

 有名格闘スクールをけって、無名の格闘スクールへ。マギーの胆力の強さを改めて感じた気がした。器のでかさにも感心せざるを得ない。


「驚きを通り越しちゃうくらいの勢い《インパクト》!」

「まっ、何はともあれ頼むよリオ先生」

 先生と生徒という身分の違いが出来てしまったのは事実だ。だけども担任しているクラスの気になる女の子についてちょっと面倒な相談がしやすくなった。

「もしかしてマギーなら気づいていたりするかもだけどメリアについて相談があって」


 これからどうすべきかをリオ先生に話すつもりだったからとタイミングの良さを内心喜びながらマギーがその話題に乗る。

「ちょうど良かったよ。俺もその事について話したかったから」

「う~~ん、危惧した通りの関係っぽいのか。まぁ、こっちはこっちで対策するからしばらくは頼んだ」

 マギーに教室での一件を報告されたので、早速リオは対策を練るつもりだ。少しでも早く問題を片付けるつもりだが、それまでは信頼に足るマギーに任せることになるだろう。


                      ◇


 放課後、校門の外に出た後メッレン設立の格闘スクールからの帰り道――

メリアはコルト達に連れられて、雑草の生い茂った空き地の前まで来ていた。

「マギーとかウザい奴の目が届かない場所なんていくらでもあるっつーの。さて、何する?」

 意地の悪い笑みを浮かべてコルトが取り巻き女達2人を見るも「お任せします」というのである意味気分が良くなる。

「グレプ、パラーグ! 今度はちゃんと提案してよ? 私ばかり決めてんだからさ。あんたらの意見も反映させるし」


 蛇のような舌なめずりをするコルトの様子にされるがまま連れて来られてきたメリアはろくでもないことで痛めつけられるんだろうなと想定して目がうつろになり、体を硬直させてしまっていた。

「ふん、貧民のワリには生意気な茶髪よねあんた。あっ、良い事思いついちゃった」

 通学用のカバンからコルトが取り出したのはピンク色のヘアカラーだった。これからやろうとしている事を想像しているのか、間違った背徳感と優越感がない混ぜになった笑みを彼女は浮かべている。


「せっかく買ったけど気に入らないと思ったからほんのわずかしか使ってなかったのよね、これ。ちゃんと使うとか私って庶民的」

 コルトに何をされるんだろうという怯えがメリアの体を支配する。だが、コルトの取り巻きグレプにパラーグが押さえつけてきたので抵抗できなくなった。

「あんた達、わかってるわねー。大人しくさせておけばすぐ終わらせられるし」


 雑草の多い空き地に組み伏されてされるがままになるしかないメリア。女の命ともいえる髪を勝手に染め上げられていく。涙を流した所でコルト達が喜ぶだけだと思ってぐっとこらえる。

「このスプレー、使えねえ……。デザインだけの品物じゃダメねえ~、ある程度値段も張らないと」


 メリアの髪が茶色とヘアカラーのピンクというまだら模様になった所でコルトは飽きてきたようだった。

「な~んかつまんなくなってきちゃった。今日はもう帰っていいわよ、それからそのスプレーあげる」

「コルト様に感謝しなよ! じゃあね~」

 空き地なので、子どもが遊ぶ事もあるのだろう。メリアが伏せられていた地面の土は顔にまみれやすくなっていた。メリアは顔についた土を気持ち悪そうに手で拭い取る。


今の所、誰も通らないが(というか、そんなに人通りのある場所じゃない)知らない他人に心配や同情をされたくない。コルトが投げ渡してきたヘアカラースプレーを拾いあげて、メリアは人をさけながら帰路についた。




 何か描写が足りない場所がある気がする(汗)


今は時間が足りない状態なので読者さんのこの場面にこういう描写を入れれば良くなるという意見に期待してみる(すいません……)

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