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10年ごしの引きニートを辞めて外出したら自宅ごと異世界に転移してた  作者: 坂東太郎
『第二章 ユージはぼっちニートからニートに進化した』
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第二話 ユージ、レベルアップをしたっぽい

「ぐあああああっ! なんだこれ! 痛い! 痛いッ!」


 森を探索中に3匹のゴブリンに襲われるも、コタローの活躍で撃退した雄二。

 だが、飛び散る血と肉片、臭いと音、生で感じた光景のグロさにショックを受け、帰宅後は何をすることもなくベッドにダイブ。

 すやすやと寝入り、夜半のことである。


「あああああ! 腕が痛い! 足が痛い! 全身が痛いッ! 戦ったからか! でもこれ筋肉痛ってレベルじゃねーぞ!」


 意外に冷静である。ベッドの横、室内犬となってから雄二の部屋で寝るようになったコタローもクゥーンと切なく苦しげな声を上げている。


「ぐおおおお! 薬、俺に薬を、バ○ァリンを、パ○ロンを、いや筋肉痛ならバ○テリンか? というか薬で治るのかこれ!」


 意外と冷静で……いや、パブ○ンは風邪薬である。冷静ではなかったのか、ただのバカだったのか。怪しいところである。


 ベッドの上で悶えること4時間。ようやく痛みがおさまり、寝入ったのは明け方のことであった……。




「ふう……昨日はひどい目にあった。なんだったんだろうなアレ。なんかわかるか? お前はどうだったコタロー?」


 そんなこといわれてもわかんないよ、と雄二を見つめ、クゥーンと一鳴きするコタロー。

 いかに賢くとも、ここはファンタジー生物が闊歩する異世界。コタローとて全知全能ではないのである。今のところは。


「ああー、今日はどうするかな。昨日の夜は痛みと激闘だったし、あんまり出かけたくないんだけど……。でもゴブリンの死体は処理しておいたほうがいいよなあ」


 今日も雄二の独り言は快調である。


 身支度を整え、コタローとともに外に向かう雄二。

 いつものリュックのほかに、スコップを手にしている。スコップは足をかける部分があり、先が尖った関東で言うところの「剣スコ」である。

 そもそも、スコップは武器にもなる。採用している軍も多く、近接最強の武器であるとの説もあるのだ。が、雄二はまったく気づいていないうえ、掲示板にもその存在をあげていない。せめてあげていれば掲示板の優しいお兄さんたちが教えてくれたのに。残念な男である。


 昨日の激闘の場所へ向けて歩いていく雄二とコタロー。


「なんか今日は空気がおいしいなー」


 左手にトレッキングポールを持ち、気分良さげに鼻歌など歌いながら右に手にしたスコップを振り回しながら歩む雄二。


 雄二が血臭を感じてから(・・・・・・・・)5分ほど(・・・・)でゴブリンの死体が転がる場所へたどりつく。


「おう……一日経ってもグロいものはグロいな。あんまり見ないようにしてさっさと片付けるか。とりあえず穴掘りだな。コタローは近くで遊んでおいで。終わったら呼ぶからなー」


 ザッ! ガッ! ブチブチブチッ! 


 勢いよく(・・・・)木の根を断ち切り(・・・・・・・・)ながら地面を掘り出す雄二。あっと言う間に大穴が掘られていく。


「順調順調。やっぱり穴掘りはこう、力技で木の根をスコップで断ち切ってね……っておい! さすがに俺でも気づくわ! おかしいだろ俺の体!」


 ノリツッコミかつセルフツッコミである。頼りのコタローも今は近くにいない。悲しきぼっちの宿命よ。


 フー、フーッと息を荒げる雄二。ともあれ、まずは処理を優先させたようである。大穴にゴブリンの体を放り込み、ついでに断ち切った木の根や枝を放り込み、埋めていく。


「よし。これからが本題だな。おーい、コタロー!」


 処理を終えた雄二がコタローを呼び戻し、まずは急いで帰宅する。

 コタローとともに、庭で体の状態を確かめるようである。

 結果……。


「垂直跳びで1メートル、立ち幅とびで3メートル。短距離も長距離もわからんしボール投げも計りようがないけど、体感じゃ力も強くなってるしなあ。高校時代の記録から20%アップぐらいか。んで身長体重は変化なしっと。やっぱモンスターを倒してレベルアップってことなのかなあ。どう思うコタロー?」


 答えるかのようにワンワンッと鳴くコタロー。わたしにきかれてもわからないわよ、と言っているかのようだ。


「そう言えばコタロー、ちょっと大きくなってない? 気のせい? んー、もう考えてもわかんないし、とりあえず良いことなんだし気にしないでおこう。うん、そうだ、そうしよう」


 大きな声の独り言で、丸投げの決意を宣言する。

 身体能力が上がっても、雄二は雄二のままであった。

 ウォンッ! コタローも。

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― 新着の感想 ―
投げるのに手ごろな意思も庭に集めていたら良いのに。バリアの中から、安全に打撃与えられる。
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