#44~Miyako~
奥のお風呂へ向かうと、曖斗さんと夢斗さんと蓮くん、蘭ちゃんが浸かっていた。小さな二人組は遠くの方にいて、私に気付いてないみたいだけど…
このタオル…脱ぐのかな。上の方にゴムがついてて、ワンピースみたいな感じになってるけど…
「都さん、そのタオルは脱ぐ必要はないよ。すぐに乾くようにできているのでね。」
「は、はい、わかりました!」
ちゃぽん、とお湯に浸かると、体の芯まで暖かさがしみていった。
「あ、夢斗さんと曖斗さん!悠也さんと誠也さんはもう少しかかるみたいです!」
翼も来た。翼は腰に巻いていたタオルを脱がなくていいことを知っていたようだ。なんか、緊張する…
「お前ら…緊張しすぎだろう。もうすこしくっつけよ…おい、曖斗。」
「まぁまぁ…この子たちは混浴が初めてなんだ…大目に見てあげようじゃないか。」
本当に本当に助かった…曖斗さんありがとう…!
「時に二人とも…私も二人を"翼"、"宮古"と呼んでも構わないだろうか?」
「はい!ぜひ!」
「俺も翼って呼んでほしいです!」
学校生活はどうか、部活は楽しいか、そんな他愛もないことを離していたら、蓮くんと蘭ちゃんがこっちに来た。
「あー!都お姉ちゃんっ!」
「おっおおおお…」
蘭ちゃんはこっちに向かってきたと思いきや、急に抱き着いてきた。可愛すぎる…
「蘭はすっかり都になついてしまったね…私も淋しくなってしまうなあ…」
あからさまに眉を下げた曖斗さんをみて、蘭ちゃんは、
「蘭ね、たいちょーさんもだいすきだよ!!都お姉ちゃんも、凜桜お姉ちゃんも、皆みーんな、大好き!!」
「ははっ…凜桜にもこんな頃があったかと思うと…やはり淋しくなったものだなぁ…なあ夢斗。」
「そうだな…"将来むーちゃんのおよめさんになるー!"なんて可愛く頬に口づけしてくれたのになあ…。」
蘭ちゃんを胡坐の上に載せて頭を撫でている曖斗さんと、ひたすら思い出にふける夢斗さん。
桜舞班の女の子はみんな可愛いもんな…私なんか…
「そういえば都、お前…男装するんだって?今度の桜舞祭で。」
「なっ、なんでそれ言っちゃうの?!」
言われてしまった。桜舞学園の文化祭、"桜舞祭"。私のクラス、1年D組はおとぎ話上のお姫様のストーリーをまとめた劇、"The story of princess"をやる。それにあたって裏方が男子、キャストが女子になったのだが、私は容姿が中性的なため、王子役に抜擢されてしまった。それも、何種類ものお姫様の相手すべて。姫役の女子はくじ引きで決まった。残りの女子は衣装担当になった。その話を聞いて
曖斗さんは苦笑しながら、
「ぜひお目にかかりたいものだ…凜桜のクラスは"ケモ耳和風使用人喫茶"というものをやるらしい…皆で行こう。」
「だな。」
曖斗さんと夢斗さんの凜桜さんへの執着心から生まれる団結力は計り知れないものだと感じた瞬間だった。