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おいしいパンを作りましょう。 作者:パン大好き
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68.「You got some dough?」。ドーナツのdoughはパンのドウ。衝撃のパンチを食らった

 ガス抜き(パンチ)。

 パン作りで1次発酵が終わり、約2倍に膨らんだ生地。
 発酵中は酵母の作用によって二酸化炭素が発生します。
 その二酸化炭素は、生地の中に張り巡らされたしなやかなグルテンの膜に受け止められます。
 例えるなら、二酸化炭素入りの小さな風船が無数に生地の中に発生し、生地全体が膨らんでゆくイメージです。
 ところが、当初は生地が不均一なので、所によって大きな気泡を形成してしまいます。そのまま焼き上げると、そこだけ大きな空洞となってしまい、見た目も味もよくありません。

 1次発酵の終了と同時に、いったん歪な気泡を抜く工程なので「ガス抜き」と呼ばれています。
 別名、パンチというのはガス抜きの具体的な作業として、拳を握りしめ文字通り生地をパンチすることからきています。

 さて、毎度お世話になっているgoo辞書さまによりますと、

ガス‐ぬき【ガス抜き】
[名]スル
1 炭坑などで、ガス爆発やガス突出を防止するため、メタンガスを含む炭層・岩盤に多数の穴をあけ、ガスを除去すること。
2 不満や精神的なストレスなどがたまったとき、それが噴き出す前になんらかの方法で解消すること。

 とありました。
 第一義は、鉱山で、引火すれば大災害につながるであろう危険なガスを除去する、という意味なのですね。後者は、「カラオケでガス抜きする」みたいな、心に溜まった負のガスを発散することを指しています。

 ここで、ふと気になりました。
 英語でこの「ガス抜き」ってどう表現されるのだろう?
 そもそも、パン作りの工程って英語でどういうの?

 ネットの大通りをえくすきゅぅ~ずみい~!(関西弁なまり)
 パン大好き(英検3級)が通りますよ!

 bread salt sugar butter recipe
 思いつくままに検索窓に叩き込んでいざ、結果よウエルカム!

 むむむ。エイゴぜんぜん分かりません…
 恐る恐る、それらしいページをクリックすると、レシピらしきコーナーに出くわしました。

 2/3 cup milk, 2 eggs, 2 tbsp butter, 3 cups bread flour, 2 tbsp sugar, 1 tsp salt, 2 tsp yeast

 あ~はん(電話などで相槌を打つシーンをまねているつもり)、ミルク3分の2カップね。たまご2個。バター2tbsp? ほわっつ? 2タバスコ?

 tbsp。調べる前にちょっと予想してみましょう。
 spはスプーンやね、絶対。スープやないでしょ。
 spは日本語の「さじ」にあたるから、tbはその大きさと類推されます。
 テーブル(table)? いや ザ・ビック(the big)とか?

 むむっ、その後にある塩の次の項目に注目しますと、1 tsp saltとあるではないですか。
 塩は1tsp分。パンのレシピでは通常、砂糖より塩の分量は少ないはず。
 なので、きっと「tb>t」と結論づけられます。しかし「t」って何?
 首をひねりながら、別のHPのレシピを見ると、一気に疑問が解けました。

2 tablespoons (1/4 stick) butter, melted
2 teaspoons salt

 おお。tbspはテーブルスプーン、tspはティースプーンでした。
 米英では日本の大さじ=tbsp、小さじ=tspとのことだそうです。


 さて、肝心のガス抜き工程です。ざっくりと、表記を書き出します。

punch down dough
gently punch the dough to release air
punch air out
punch down the dough with your knuckles
it(dough)has to be punched down

 こちらは紛うことなく「パンチ」一択ですね。
 空手チョップのように、なんて表記もありましたが。

 それよりも、doughって? 何?
 こんなエッセーまで書いているくせに、初めて知りました。お恥ずかしい。

 doughドウ=パンの生地、とのことです。

 いや、気にはなっていたのです。
 パン作りの教則本を読んでいると、何度も「ドウが詰まった」のような表現が出てくるのです。
 パンのドウ。パンの「身」の部分? みたいな連想で、ドウ=胴、と勘違いしておりました。

 加えて、ドーナツのドーはこのdoughだったとは。どうだ! doughだ!

 英語のスラングでdoughといえば「お金」のことをさすのだそうです。
 これは、古代、賃金の代わりにパンが支給されたことに由来しているとのこと。
 古代ローマ兵に小麦が支給されていましたことは、以前にも少し書かせていただきましたね(57話バター編)。


「You got some dough?」 (おかね持ってる?)
「どうしてそんなこと聞くんですか?」
「今晩どうかなって?」
「いやどうも…」
「どうにかならないの?」
「だめです。どうしても」
 堂々(どうどう)めぐりの口論となりそうだったので、今夜は一人で飲むことにしよう。

 どっどど どどうど どどうど どどう

 風は都会にも容赦なく吹き付ける。
 男はひとり宮沢賢治の「風の又三郎」の一節を口にして、ネオンが慟哭どうこくする街へと向かった。


 ああ、どうでもいい話ばかり…いつものこととはいえ、お許しください。

 次回はガス抜きの効果などについて、を予定しています。
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