この世には「妄想」というものがある。
この「妄想」をする事が趣味になっている娘がいる。
杏今年16歳になる。
高校生だ。
杏には好きな人がいた。
鮎川彰四つ上の先輩だ。
彰と杏は昔から幼なじみで杏は初めて会ったときから惚れていた。
高校生の頃までは家に遊びに行ったりご飯を食べたり楽しかったが
彰が一人暮らしをするようになると会えなくなり淋しい思いをしてた。
今年彰は成人になる。
それと………杏のお姉さんと結婚する。
このことは杏は知らなかった。
・・・知らされなかった。
杏のお姉さんは杏が彰のことが好きだと知っていたから。
杏は「妄想」をしながら毎日欠かさず彰に電話した。
ある日の事。
杏はいつもの様に彰に電話をかけた。
「もしもし〜彰ちゃん!?」
「あの……どなた様ですか?」
……………え?
彰の家に違う人がいると気づいた杏は声にも気づいた。
「・・・・・・・・・杏だけど・・・おねえちゃん?」
「あっ・・・・・・・・・・ちょっと話さなきゃいけないことがあるの。」
杏はすぐに分かった。
…・・・・・・・・おねえちゃんと彰ちゃんは付き合っているんだ・・・・・・…
「あっ・・・・・・・・・分かった。」
そのまま電話を切って妄想も止めた。
無意味だと気づいたから・・・・・・・・・・・・・・・・・
その日・・・お姉ちゃんは帰ってこなかった。
次の日・・・・・・・・・・・・
杏が起きるとお姉ちゃんが帰ってきていた。
杏が起きたのに気づいたお姉ちゃんは目を合わせて話し始めた。
「杏・・・・・・・・・・。聞いて。
私が彰の家に行ったのは・・・・・・・・・私達婚約しているからなの!
言おうと思ってたのよ・・・・・・だけど、杏も好きなのは知っているから・・・」
お姉ちゃんは半分なきそうな目で杏に話していた。
「・・・・・・・・・楽しかった?
騙しながら・・・・・付き合っているの・・・・・楽しかった?」
「違うの!!言いたくてもいえなかったのよ!!」
「………ふーん。演技上手なんだね♪」
「なんで分かってくれないのよ!!」
「分からせようとしないのはそっちじゃない!
何?いきなり・・・婚約とか言われたって分かるはず無いじゃん!
いっつも応援してるよとか言われたのに・・・・・誰がどう思ったって裏切られたんじゃないの?って
思うわよ!」
「ゴメンネ・・・・・・・・・本当にごめんね・・・」
「もういいよ・・・・・私が先に産まれていたら私と彰ちゃんが結ばれていたのかな・・・」
杏は涙を拭ってこう言った。
「いつまでもお幸せに・・・・ね。お姉ちゃん。」
お姉ちゃんは涙を流してた。
杏は失恋したと分かって・・・妄想する事。笑う事をこの日からやめた。
一ヵ月後。
杏は相変わらず笑う事を忘れていた。
結婚式は一週間後と迫っているのに・・・・・
彰ちゃんには弟がいた。
暁羅君・・・・・
暁羅は杏に惚れていた。
こんな状況でどうかと思うけど思い切って告白する事を決めた。
「杏・・・・・?ちょっと良い?」
「うん。どうしたの?暁羅君・・・」
「杏が笑うのを忘れちゃったのは兄貴のせいだよな?
俺が思い出させてやるよ。杏。好きだ。付き合ってくれ。」
「彰ちゃんのせいじゃない・・・私が勝手に落ち込んでいるだけなの・・・」
「それを俺が思い出させる。付き合ってみないか?」
「・・・・・悲しませないでね・・・はい。」
「約束するよ。」
杏は暁羅と付き合う事となった。
それからはぎこちなかったけど、その日のうちにデートしたり……話をしたり…
杏も笑う事を思い出すようになってきた。
それを一番喜んだのは暁羅だった。
一週間後。
結婚式。
彰ちゃんとおねえちゃんの。
二人は笑ってた。
幸せそうに笑ってた。
あと・・・・・杏と暁羅も手を繋ぎながら会場に姿を出した。
二人も笑ってる。
杏は笑えるようになった。最高の笑顔で。
暁羅は杏のお父さんの元へ行った。
「お父様…杏さんと将来結婚させてください!!」
お父さんはきょとんとした顔をして…三秒ぐらい経った頃、笑った。
「よろしく頼むぞ。暁羅君。」
「はい!一生守り続けます。約束します。ありがとうございます!」
杏は驚いている。
暁羅は杏をお姫様だっこをして最高に喜んでいた。
それからの二人は一週間に一回ぐらいデートして、
毎日一緒に帰って、どっちかの家に遊びにいって……
幸せな日々を送っていた。
初めの一年はなんとなくぎこちなかった二人だけど、年明けに買ったお揃いの携帯で心を繋げる事ができた。
毎日同じ事をして、誕生日などクリスマスなど行事があると一緒にいる相手がいる。
杏の好きな人が暁羅じゃなくて、杏の愛している人が暁羅になっていった。
大学の講義も一緒。住んでいるところも一緒。
帰るときも一緒。全部一緒。
そして次は杏達の結婚式。
二人は続いていて皆が笑っている。
彰ちゃんもお姉ちゃんもお父さんもお母さんも・・・
そうして幸せをつかんで行く。
幸せは待っていると逃げられる…
自分でとりに走らなきゃ……
それが本当に待っている幸せなんだよ。 |