チルノ&大妖精編です。
関係ないけど、ゼルダの伝説に出てきた大妖精は今でも少しトラウマです。
東方な日々 チルノ編
きょうは大ちゃんとあそんだ。
かえるをこうらしたりした。
大ちゃんに止められた。
うれしかった。
おわり
東方な日々 大妖精編
こんにちは。私は大妖精といいます。一応、妖精という種族の長という立場になっています。……私自身、あまり意識はしていないんですけど。
そもそも妖精は自由な種族なので、誰が偉いとかっていうのはあまり気にしません。多分、それが妖精というものなのだと、私は思っています。
私たち妖精は、この幻想郷に非常に多く住んでいます。しかし、数は多いですが、力も弱く、あまり賢い種族ではありません。なので、他の妖怪や人間に侮られることも多いです。中には妖精だからという理由だけで酷い事をする人たちもいます。汚い言葉で罵られたり、暴力を振るう人だっています。それが妖精という種族の現状です。
それでも妖精同士はみんな仲良しなので、協力したり、一緒に遊んだりしながら暮らしています。一人一人は弱い妖精ですが、皆で力を合わせれば誰にも負けないと私は思っています。きっとそれが、妖精の生き方なんだと。
それに、最近は妖精に理解を持ってくれる人たちも増えました。中には大きなお館でメイドさんとして妖精を雇っている人もいます。彼女たちが理不尽な扱いをされていないか見に行った事がありますが、皆と協力しながらとても楽しそうに働いていました。少し、羨ましくなりました。
そんな風に仲間意識が強いのが妖精です。そして、そんな妖精仲間の中でも特に仲良しなのが、氷精チルノちゃんです。少し頭は悪いけど、とっても優しい子です。私はチルノちゃんと、ほとんど毎日のように遊んでいます。チルノちゃんは少し頭は悪いけど、いろんな面白い遊びを思いつきます。チルノちゃんと遊ぶのはとても楽しいです。少し頭は悪いけど。
そして、今日も私はいつものようにチルノちゃんと遊んでいました。
「大ちゃんおそい〜!!」
「違うよ〜! チルノちゃんが速いんだよ〜」
私たちは、紅魔湖の上空でかけっこをしていました。氷を操る氷精チルノちゃんは妖精の中ではチカラのある方です。かけっこでは敵いません。でも、空飛んでるから、かけっこと言えるかは分かりませんが、チルノちゃんがそう言うからかけっこなんです。チルノちゃんは少し頭は悪いけど、嘘は吐きません。
「チルノちゃんはすごいね」
「ふん! とーぜんよ! なんたってアタイはサイキョーなんだから」
「そーだよねー」
サイキョー。チルノちゃんの口癖です。何かと言うと、すぐサイキョーと言います。私はチルノちゃんは本当にサイキョーなのかは知りませんが、チルノちゃんは嘘は吐きません。少し頭が悪いだけです。
「えへへ……ん? あれっって」
ふと下を見たチルノちゃんは、湖の上を飛んでいる魔理沙を見つけてしまいました。……見つけなくていいのに。
箒に乗って空を飛ぶ魔理沙。あれはお股が痛くならないのか、気になった事がありますが、聞いたことはありません。聞いちゃ駄目だと、私の中の私が警鐘を鳴らしています
「みててね、大ちゃん! アタイのサイキョーなところをみせてあげるわ!」
意気揚々と魔理沙に向かうチルノちゃん。ああ待って。その展開はすごく、よろしくないです。もう数えるのは止めましたが、それはピチュンコースです。
「まて、魔理沙! ここをとおりたかったらアタイをたおして……」
「邪魔だ。どけ。急いでるんだ。……マスタースパーク!!!」
どっかーん。
一切の躊躇いも一欠けらの慈悲も見せずに炸裂したスパークは、見事チルノちゃんを撃墜。ついでに私も巻き込まれて撃墜。やったね、魔理沙! 本日の戦果、撃墜2を記録! もうエースは君しかいない!
「私、何もしてないのにーーっ!!」
……妖精の二人は、仲良く湖に落ちていきましたとさ。
そして、奇跡的に一命を取り留めた私たちは紆余曲折をえて、現在、妖怪の山の大ガマの池に遊びに来ていました。
蛙が鳴いているけど、まだ家には帰りません。……少し、ふざけました。
「じゃーん! かえる氷―! すごいでしょー!!」
チルノちゃんはカエルを凍らせて遊んでいます。無邪気に笑うチルノちゃんは、すごく楽しそう。釣られて私も楽しい気分になります。……でもね、チルノちゃん。カエルだってオケラだってアメンボだってみんなみんな生きているのに。だから、……それはやっちゃ駄目だよ。
でも私はチルノちゃんに止めようよ、と言うことができませんでした。ただ苦笑いをしながらチルノちゃんを見ています。止めなきゃいけないって分かっているのに。だって、チルノちゃんに悪気は無いんです。それを止めるのは私の責任なのに。
「よーし! ちょーし出てきたわ! どんどんいくわよ〜!!」
ああ、チルノちゃん。そんなことに調子を出さないで。でも、私は何も言えませんでした。その理由を知っているから。そして、私がどうすることも出来ずにいると、あれ? 池から何か出てきて……。
「カエルを凍らす悪い子はいねぇが〜!!」
池の主、妖怪蛙の大ガマさんです。大きい蛙さんです。なんかいつもとキャラが違うけど、それは怒りで我を忘れているのかもしれません。――とにかく、悪いのは明らかに私達なので全身全霊で謝ります。
「ごめんなさい、大ガマさん! 今すぐ止めますから……」
「……問答無用! 喰らえ必殺、カエルパーンチ!!」
どこかで聞いたことある必殺技が炸裂して、……私たち二人はお空の果てまで吹っ飛ばされてしまいました。
……世界チャンピオンのパンチを受け、ようやく私が目を覚ました時には、辺りはもう暗くなっていました。私は、隣で伸びているチルノちゃんを揺すってみます。
「チルノちゃん大丈夫?」
「ふぇ?もう朝?」
いえ、夜です。どうやら怪我はないようです。いつも通り、少し頭が悪いチルノちゃんでした。一安心です。
湖を照らす月の下。私たちは住処に向かっていました。ずいぶん遅くなっています。お腹もぺこぺこです。木の実のストックがあるから、それを食べて今日はもう寝よう。
……でも私は、その前にチルノちゃんに伝えなければならないことがありました。今日こそは、ってずっと思っていたのに言えなかった言葉を、私はチルノちゃんに伝えます。
「……。ねえ、チルノちゃん。……もう、止めない?」
「何を?」
「……魔理沙のこと。カエルのこと」
今日、私たちは、魔理沙にちょっかいを出してスパークで撃墜されました。
カエルを凍らせて大ガマさんにぶっ飛ばされました。
いつもそんな事を繰り返しています。皆に馬鹿だ馬鹿だと言われても、それでもずっと続けています。――分かっている。チルノちゃんは馬鹿じゃない。だって、私は知っています。どうしてチルノちゃんが魔理沙に挑むのかも。どうしてカエルを凍らせるのかも。いつも自分をサイキョーだと言い張っているのかも。
……悔しいんだよね、チルノちゃん。弱い存在である私たち妖精が、周りからバカにされるのが。
私たちが、……私がそれで傷付いているのが。……チルノちゃんは優しいから。だからそうやって虚勢を張って、力を見せて、自分たちは力のない弱い存在なんかじゃないって、私に伝えようとしてくれているんだよね。私はすごく嬉しかった
――でも、だから
「……私、チルノちゃんが傷付くのを見るのはもう嫌だよ……」
もっと。もっと早くに言わなければいけなかった。私はチルノちゃんの優しさに甘えていたんです。でも、もう甘えは止めます。だって、私はチルノちゃんが大好きなんです。だから、チルノちゃんが傷付くのを見るのは嫌なんです。チルノちゃんがひとりで頑張っているのを見るのは辛いんです。チルノちゃんは自分で止めることは出来ないから。私が、いつも一緒にいた私が言わなければいけなかったんです。だって、チルノちゃんは、
「チルノちゃんがサイキョーなのは知ってるよ。私、チルノちゃんがサイキョーなところいっぱい見てきたから。誰がなんて言おうがチルノちゃんはサイキョーだよ。だから、もう、止めよ……?」
もう大丈夫だよ。もう私は平気だから。チルノちゃんが伝えたかったことは、もう十分伝わったよ。だから……。
「うーん、わかった。大ちゃんがそういうなら……」
「……うん。……よかった」
チルノちゃんは頷いてくれました。
今度は私の番です。少し遅くなったけど、私は、私が一番伝えたかったことをチルノちゃんに伝えることにしました。
「ねぇ、チルノちゃん」
「ん?」
「…………。今までありがとう」
……うまく笑えたか分かりません。
それでも私の気持ち、ちゃんと届いてくれるといいなぁ……。
おまけ

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