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  東方な日々。 作者:春風夜風
※※今回のお話には残酷な描写が含まれます※※
紅魔郷組
フランドール編②

「何をやっていたんだっ、もう夜になってるじゃないか。心配したんだぞ!」
 帰った私達に待っていたのは、おかえりではなく、父の怒声だった。
父は憤怒の形相で私たちを睨んでいた。おかえりを期待していた私は、その展開についていけず、困惑して縮みこむ。隣のお姉ちゃんなんかは、もう泣き出しそうな顔だ。泣けばいいんだ。そして母の方はというと、……うん。私からはよく見えない。
「夜がどれだけ危険かは分かっているだろうっ、もし人間に見つかったらどうするんだ!」
 父の怒りはなおも続く。私をさらに体を縮ませる。このままいくと、私は虫より小さくなってしまうのではないか。だけど、父が何に対して怒っているのかは、私にも分かっていた。私達の帰りが遅かったことに腹を立てているんだ。きっと、それだけ心配していたのだろう。原因を作った私としては、とても心が痛む。本当に申し訳ない気分だった。
でも、私は、私たちをこんなに心配してくれた父に対して、少し嬉しく思った。だからこそ、それ以上に悪いことをしたと思う。こんなに思ってくれている人を、私は待たせてしまったのだ。その時、確かに私は、虫より小さくなっていたと思う。
 そうして、私がミジンコより小さくなった時、父の前に立った母が満面の笑みで言った。
「ごめん。ごめん。悪かったって。もうそんなに怒んないでよ」
「あのなぁ。大体、お前がしっかり見てやらなきゃいけないんだぞ」
「わかってるって。ほら。このとーり。ごめんなさい。もうしません。ね?」
 母はご立腹な父に頭を下げる。だけど、謝る格好をしていただけで、口調はちっとも悪びれていない。目元は少しにやけている。どうやら申し訳ないと嬉しいとで、嬉しいの方が勝ったらしい。
「ったく。もう二度とよしてくれよ」
 父の方も母の気持ちは伝わったらしく、一先ずそれで引き下がった。これで通じ合えるんだから、何とも不思議な二人だ。娘の私から見ても、二人の関係はよく分からない。父と母の関係であることは間違いないんだけど。
……と、そんなことを考えていると、私のお腹から救難信号が出てきた。
「ぐぅぅ〜〜〜」
 情けないその音に、皆一瞬止まってしまった。かなり恥ずかしい。何故、こういう時に限って、私のお腹は鳴るのだろう。
「ふふ。ほらフランはもうお腹すいたって。ちょっと待っててね。すぐ作るから」
「あ・私も手伝う!」
 私と父を残し、母と姉は、揃って台所の方に向かっていった。母の方はいいとして、姉は料理なんて出来ないはずだ。足手まといにしかならないと思う。だが姉の中では、母と一緒にいることが重要らしく、料理がどうのは問題でないらしい。毎回ああして母のもとに向かう。見慣れている風景だけど、それを見ると、私は何故か腹が立った。別に、私も一緒に行ってあげてもいいんだけど、姉と一緒なのは何か嫌なのだ。どうしてなのかは自分でもよく分からないけど、とにかく気に入らなかった。お姉ちゃんのくせにと思ってしまうのだ。
 私がそんな風に口元を尖らせながら二人を見ていると、後ろから父が近づいてきた。
「フラン。手を洗ってこい。いいものがある」
 いいもの? それを聞いた私はすぐに食い付く。
「え! なになに? いいものって何!?」
「後でだ。さっさと洗ってこい」
「うん! すぐ行く!」
 私は急いで、台所の洗い場に向かう。洗面台は他にあるのだが、私は、居間から一番近い台所を利用していた。猛スピードで駆けて行った私は、途中、姉にぶつかりそうになる。急いでいるので気にしない事にする。
「ちょっと、フラン! 危ないじゃないのよ!」
 後ろから姉の怒声が聞こえた。しかし、その言葉を無視して、さっさと手を洗う。その間わずか二秒。ほとんど水に触れただけだ。洗い終わった私は、急いで父の元に駆ける。再び姉にぶつかりそうになるが、やはり無視だ。さらに母にもぶつかりそうになるが、母の方はさらっと自分から避けてくれた。
「あーあ。効果抜群だね、こりゃ。毎回こうしてみるか」
 何か不穏な言葉を聞いた気がする。聞かなかったことにして、父の元に向かった。
すると。
「おー。御苦労さん。もういいぞ」
「……? どういうこと? いいものは?」
 さっぱり意味が分からない。何がもういいのだろう。いいものをくれるんじゃないのだろうか。
「お前、手を洗うの嫌がるだろう? そこで今日はちょっと工夫を凝らしてみた訳だ」
 ふむ。つまり嘘だったわけだ。いいものなんか無かったわけだ。私は騙されたわけだ。
父の方を睨みながら私はむくれて講義する。
「どーゆうこと! 嘘なの!? 騙したの!?」
「せーかい。まんまと引っ掛かってくれたな。騙し甲斐があるってもんだ。父さんは嬉しいぞ」
 それを聞いた私は、さらに頬を膨らませる。確かに私は、ちょっと水が苦手だから、手を洗うのを嫌がるけど。でも、こんな風に騙すのはないと思う。父の悪い癖だ。嘘で私をからかって遊ぶのだ。嘘をつく程度の能力と言ってもいいだろう。けしからん父だ。
 何を思いついたのか、にやけ顔の父は、頬を膨らませる私を抱き上げた。
「しょーがないな。ほ〜ら抱っこしてあげたぞ。な? ちゃんといいものがあっただろう、フラン」
 ……かちーん。私は抱っこされて喜ぶ年は、とうに卒業している。そんないいものなら願い下げだ。そんな私の態度を見て、父はさらに悪ノリする。
「ほ〜ら。ついでに高い高いもしてあげまちょうか〜?」
「このっ、は〜な〜せ〜っ!」
 そうして私は、しばらくの間、愉快に笑う父の腕の中で、精一杯もがくのだった。


 しばらくすると、食事の準備が出来た様だった。テーブルの上には、美味しそうな匂いが広がっている。釣られて私のお腹の虫も暴れだす。待ちに待った夕食の時間だった。
 こんな時代なので、食べ物は少なく、中々満足するまでは食べられない。それでも、うちはまだマシな方で、食卓には三品ほどの料理が並んでいる。お母さんの特製カボチャスープに、お姉ちゃんが千切った野菜の詰め合わせ、あとは国が支給するパンだ。このパン、味もないし硬くて食べにくく全然美味しくないのだが、それすら食べられない人も、この国には大勢いる。この国の連中は嫌いだが、有り難く食べることにする。因みにお姉ちゃんはというと、自分が切ったのだとサラダを指して自慢していた。成る程。道理で不格好なわけだ。
「さあ、食べましょう。いただきます」
「いただきます」
 いつものように、母の掛声で食事は始まった。この家では、全てが母を中心に回っており、父は、私をからかうくらいの役しかない。典型的なカカア天下だ。もっとも、父はそれを何とも思っていない、というか楽しそうなので、それはそれでいいんだろうと思う。そうして私も食事をとりはじめる。まだ父がちょっかい出してくるが、それは無視する。姉はスープを零して母に拭いてもらっていた。わざとに違いない。いつもの風景を眺めながら、私は母の作ったスープを口に運んだ。――うん。おいしい。私は素直にそう思う。やはり母の作った料理は美味しい。香ばしい香りに、口の中で蕩けるような温かいスープ。母はこのスープに思い入れがあるのか、よく作ってくれた。食事は質素だけど笑いの絶えない楽しい夕食だった。
 しばらく食事を楽しんだあと、母が姉に向かって話はじめた。
「レミィ。実は貴方にいいものがあるのよ」
「え? なになに?」
 そう言って、母は何やら紙袋を取り出した。そしてその中には――、
「はい、レミィ。お誕生日おめでとう」
「うわああ。お人形さんだ」
 それは綺麗なお人形さんだった。母の手からそれは手渡される。姉は天にも昇りそうな顔だった。納得できない私は、すかさず抗議する。
「なんでなんでっ、お姉ちゃんばっかり、ずるい!」
「フランはまだ後でしょう? だから少し我慢してね」
 母はそう言って私を宥める。だが、やっぱり納得いかない。ずるい。贔屓だ。
「むぅ〜。ずるいよ。お姉ちゃんばっかり」
「何だフラン。プレゼントが欲しいなら父さんがやろう。抱っことチューとどっちがいい?」
「それはもういいってば」
 ふざける父を受け流しながら、浮かれに浮かれるる姉を見る。目がキラキラしている。星でも入ってるんじゃなかろうか。むう、やっぱり納得いかない。
 そんな事もありながらも、夕食の余韻は続いていく。
「……で、お向かいのおじさんに貰っちゃってさぁ」
「そりゃあ良かったな。今度お礼を言っておくか」
 いろんな会話が飛び交う中、父と母は人間の話をしていた。二人は楽しそうに話を続ける。それを聞きながら、私は腑に落ちない気分になる。今まで聞いたことはなかったけど、いつも疑問に思っていたことがある。それは人間の事だ。今日はあんな事があったばかりなのに、まだ人間の話をする。そんな二人が理解出来なかった。
 だから、どうしても聞きたくなったのだ。
「ねぇ、お母さんもお父さんも。どうして人間を嫌いにならないの?」
「フラン……?」
「私、知ってるよ。まだ人間に話し合いを持ちかけていること。ねえ、どうしてなの? あんな奴らとなんか、分かり合えっこないのに」
 そうなのだ。分かり合える筈ない。あいつらは一杯仲間を殺したのだ。今も、私たちの仲間が殺されているかもしれない。それなのに、なぜ母たちは、人間との交渉を止めないのか。無駄なのに。人間はそういう奴らなのだ。自分勝手で我儘で。暴力でしか問題を解決できない。そんな連中に話し合いをしたって無駄なのに。
「私は人間が嫌いだよ。人間が許せないよ」
 嫌いだった。どうしようもなく。憎悪の対象でしかなかった。彼らは、何の罪もない吸血鬼を殺す。へらへらと笑いながら残酷な事をする。全部の責任を吸血鬼のせいにして、それで平和だ何だと声高らかに叫ぶ。
 意味が分からない。全く理解できない。そもそも理解するつもりも無かった。彼らはそういう種族なのだ。そういう低能なことしか出来ないのだ。だから、あんな奴らは全員死ねばいい。あんな奴らこそ死ねばいいんだ。奴らの方が、よっぽど“悪魔”じゃないか。
「……フラン。人間を恨んでは駄目よ」
 私の中を、暗い感情が支配しはじめた時、母は確かにそう言った。母の目を見る。今まで見たことないくらい、悲しそうな目をしていた。
「闇に囚われては駄目。憎しみに支配されては駄目よ」
「なんで? どうしてなの? 何でそこまで人間を庇うの?」
 私には分からなかった。なぜ母がそんなことを言うのか。なぜ母は人間に憎悪を抱かないのか。すると、母はすっと姿勢を正した。凛とした佇まい。まっすぐ視線を向けてくる。
「フランにはまだ話してなかったわね。これはずっと昔の話。フランやレミィが産まれるずっと昔の話」
 そう言って少し間をおいた。悲しそうだった眼は、今はとても穏やかになっている。その母の姿は、とても誇り高く見えた
「――私たち吸血鬼は、人間に救われたのよ」
 そして、母は吸血鬼の過去について語ってくれた。

○  ○  ○

「……昔、私たち吸血鬼は、森に住む妖怪の一種に過ぎなかったの。妖怪としても、それほど強い力は持っていなかったし、争いにも興味がなかった。だから、森の動物たちと共に、ひっそりと生きていた。森で生きることこそ、自らが生きる道であると信じて疑わなかった」
 私たちが、森の妖怪であったことは知っていた。いつか聞いたことがある。母は話を続ける。
「でもね。そんな状態も少しずつ変わりはじめた。森に住む妖怪が増えすぎたのよ。当然、森の恵みにだって限りがある。増えすぎればその分減らされる。そうして力を持つ者だけが生き残り、力のない者達は淘汰されていく。――弱肉強食。森の中だけでなく、この世に生きとし生けるもの全てに課せられたこの鉄の掟に、淘汰される弱者の方だった吸血鬼は、追い詰められていったの」
 遠くを見つめる母の目は、深い悲しみを帯びていた。きっと、沢山の命が失われたのだろう。
「そして、追い詰められていった私たちの目に、人間達の生活はとても輝いて見えたわ。何の不自由もなく、安定した生活を送る人間達の生活が、とても羨ましく思えた。……もう自分達は森では生きられない。このまま森に残れば、遅かれ早かれ、吸血鬼という種族は消滅する。ならば、森の外で生きられないだろうか。あの人間たちのように、街で暮らすことは出来ないだろうか。そう思ったの」
「……人間が、怖くなかったの?」
 疑問に思った私は母に問う。
「怖かったわよ。でもね、それ以上に森の妖怪たちの方が怖かった。彼らにとっても自分の生死が関わることだから、そこには、一切の躊躇いだって無いんだから」
 自然の中では、常に強いものが生き残る。だがその強い者も、大いなる自然そのものには敵わない。自然からの享受を守るため。自分の席を守るため。その為になら他者に対して躊躇いなど必要ないだろう。むしろ躊躇った者から消えてゆく。他者に情けをかけることが出来るのは、余裕のある者だけが持つ特権だ。私はさらに深く耳を傾ける。
「でも、吸血鬼たちは随分悩んだわ。このままでは、吸血鬼はこの世から消滅する。でも、森を出たからと言って、それが生き残れる道かは分からない。人間たちに受け入れられなかったら? それこそ行き場を無くすんじゃないか? 悩みに悩んだ。そうして出した結論は、人間のふりをして、人間として生きるというものだった。幸い吸血鬼の姿形は、人間とさほど変わらなかったし。羽は服を着れば分からない。私たちは森を捨てる決断を下した」
 ……それは、きっと辛い決断だっただろう。故郷を捨てるのだから。私は自分たちの家を焼き払われた時のことを、よく覚えている。自分たちが、今まで当然のように使っていた場所がなくなる。それは辛いことだ。自分から捨てるとなれば、その決断は辛いに決まっている。
「でも、それは失敗した。他の妖怪たちから、猛烈な反発を受けたの。もともと妖怪は、人間を嫌っている者が多かったし、それは当然だったのかもしれない。或いは、人間の力を吸収して、また戻ってくることを恐れたのかも。とにかく、森から出る前に、私たちはほとんど壊滅させられた」
「どうして? 森からいなくなるて言ってるのに。どうして駄目だったの?」
「それも森の掟よ。森に生き森に死ぬ。死すらも、森の一部として組み込まれているの。その死体は、森の新たな養分になる。彼らは掟に歯向かう者を処しただけ。例外を作るわけにはいかなかったのよ」
 ……私には、よく分からなかった。でも聞いたことがある。自然の循環。命のサイクルの話。誰かの死は、誰かの生に繋がっている。繋がりを切ればその自然は枯れる、と。
 母は辛そうな顔をしている。そして、これからがこの話の一番大事なところなのだと言う。私はより一層母の話に耳を傾けた。見れば、姉も食い入るようにその話を聞いていた。
「私たちは戦ったわ。死が認められないから、逃げようとしたんだもの。でも、力に差がありすぎた。仲間達はどんどん死んでいったわ。側にいた仲間が、一人減り、二人減り。もう数えるほどしか生き残っていなかった。誰もが傷付き、もう諦めてしまおうかと思った時、でも、そこに手を差し伸べてくれた者がいた」
「――それが人間だったの」
「彼らは私たちを人外であると認め、それでも、迫りくる追っ手を、一緒になって退けてくれた。私たちは彼らを騙して生きようと思ったのに、彼らはありのままの私たちを受け入れてくれた」
「……」
「もう駄目だと思った。このまま死ぬんだと思った。でも、人間たちが私たちに居場所を与えてくれた。まだ生きてもいいんだよって、そう言ってくれた。それはどれほど嬉しかったか。その手はどれほど温かかったことか。感謝してもしきれない。嬉しかった。涙が止まらなかった」
 そう言う母の声は震えていた。そしてその眼には確かに涙があった。
「私はその温かさに触れて、人間の素晴らしさを知った。自分と異なる種に対して、こんなにも暖かに接してくれる。この地球上に、そんな存在が他にいるだろうか。こんなに気高く、誇り高い存在が他にいるだろうか。私もこうありたいと思った。誇り高く生きようと思った」
「でも、今の人間たちは……」
「フラン。今、人間たちは病気にかかっているの。とても悪い病気に。心を、恐怖という悪魔に侵されている。でも、私は信じている。いつかきっと元通りになれる。分かり会える日がやって来る。手を取り合い、共に生きることが出来る。一度は出来たんですもの。出来ないはずはないわ」
「……」
「だからフラン。あなたまで闇に囚われては駄目よ。人間を憎んでは駄目。今は辛抱強く耐えましょう。きっと分かり会える日が来るから」
 ……そう語る母は、とても優しい顔をしていた。その目は希望に満ちていた。必ずそんな日が来ると確信していた。
 人間が誇り高いかどうか、今の私には分からない。手を取り合える日が来るのかも分からない。でも私は、こんな母の姿を見ていると、或いは、そんな日も来るのかもしれないと、そう思ったのだ。


「――お姉ちゃんはどう思う? さっきの話」
 すでに食事を終え、手持無沙汰になっていた私は、横で暇そうにしていた姉に問うてみた。父と母は、別室で話し込んでいる。姉は、何のことか分からないといった風だったが、しばらくして、自信満々にこう答えた。
「お母さんがそう言うなら、私もそう思う」
 ……またこれだ。少しは頭を働かせないのか。私は呆れ気味に非難する。
「もう、自分でも考えてよ」
「だって分からないんだもん。確かに今、人間のやってることは許せないよ。でもさ、今の私たちの生活があるのが、人間のお陰っていうのも確かなんだし」
「そりゃあ、そうだけど……」
「だから、やっぱりわからないよ。でも、人間の全部が、悪い奴ばかりじゃないのは分かる。分かり合える日が来るんだとしたら、私はそれを信じたい」
 ……なんと、意外にちゃんと考えていたらしい。確かに、人間の全部が全部、悪い奴らばかりじゃないのは、私も知っている。今の風潮に対して、それは違うんじゃないかと、声を上げる人たちもいる。母の声を聞いて、話し合いの場が設けられたこともあった。
 私だって分かっている。人間は弱いんだ。ずっと憎悪の気持ちを抱いていられるほど強くはない。いつまでも憎しみ合っていられるほど強くはない。……でも、
「でも、私はやっぱり納得できないよ」
 これが私の正直な気持ちだった。納得なんか出来ない。むしろ、そんな事したくなかった。だって、今までどれほどの血が流れた? どれほどの悲しみを生んだ? そしてそれを、どれほどの人間が理解している? 私たちが受けた分の痛みは、人間にも与えるべきなんだ。彼らが私たちを殺すなら、私たちも彼らを殺すべきだ。でなければ、今まで死んでいった人の魂はどうなるんだ。これじゃあ、全く報われないじゃないか。
「私は、やっぱり許せないよ」
「フランがそう思うんなら、それでもいいと思う。でも、いつまでも憎しみを抱えていられないのは、私たちだってきっと同じ。あんまり悪い方にばかり考えない方がいいよ」
 姉は、静かにそう言った。それはあの姉には似合わない、どこか憂いを含んだ口調だった。
 人間は許せない。でも、母と姉の話を聞いているうちにそれが段々と分からなくなってきた。……許せない、でも本当に私は人間を憎んでいるんだろうか。
 分からない。私にはもう、何が何だか分からなかった。


 ――夫婦の寝室と書かれた部屋の中。そこにオヴェリアとヴラムの姿があった。二人は娘達に聞こえぬ様に声を潜めながら会話をしている。
「今日、人間の兵隊達に出くわしたわ」
「……! 本当か?」
「上手く隠れたけどね……。でも、この街はダメかもしれない」
「そうかもしれないな」
「日に日に警戒は強まってきている。このままこの地に残れば、そのうち捕まるわ」
「しかし、どこへ逃げるというんだ……。今はどの国もこんな状態だ。下手に動けば却って目立つぞ」
「そう。そして、森にも帰れない」
「くそっ! どうすりゃいいんだ!」
「……私の実家があるわ。あそこなら人目に付きにくい。あの広さなら他の吸血鬼達も集まれるはずよ」
「でもっ、あそこはお前にとって……」
「大丈夫よ。私はもう克服したわ。現状、他に助かる道はない」
「……わかった。確かにそれしかないな。こりゃあ、大引っ越しになるぜ。慎重に動かなけりゃ……、見つかればアウトだ」
「そうね。でもやるしか無いわ」
「……お前は、本当にもう大丈夫なのか?」
「大丈夫。私はもう大丈夫。もう一人じゃないって知ってるから。だから――」

「行きましょう。ヴアルへ――」



 翌日、私は、いつものようにマリアと遊んでいた。こんな状況なので、外に出ることはリスクがある。だが、人間たちは吸血鬼が昼には出ないと信じ込んでいる。家に引きこもるより、昼間に活動していることを見せた方が安全なのだ。逆に外に出ず家に籠もっている方が怪しまれる。何とも面倒な話だった。
でも、私も昼間に外で遊べないのは嫌だ。それこそ気が狂ってしまう。なので私は、本日も、いつものようにマリアと遊んでいた。
 因みに姉は、母と一緒に出かけている。相変わらず面倒なくらい母にべったりだ。少しはお姉ちゃんらしくしてほしいけど、治る気配は全くない。
 仕方がないので私たちは二人で遊ぶことにする。とは言っても、二人だと鬼ごっこも隠れんぼも楽しくない。私たちは、おしゃべりをして楽しんでいた。
「ねぇ、フランちゃん。海って知ってる?」
「知らない。食べ物?」
「違うよぉ。海って言うのはね……」
 マリアは物知りだった。私の知らない外国の話や昔のお伽噺など、話題が豊富で、話をするだけでもすごく楽しかった。やっぱり、私はマリアみたいなお姉ちゃんがいい。マリアだって、自分には兄弟がいないから、弟か妹が欲しいと言っていた。丁度いいと思う。
 マリアは、自分のお母さんと二人暮らしをしていた。お父さんは、吸血鬼狩りが始まる前に、統一戦争で死んだ。それからマリアたちは、吸血鬼狩りから逃げ延びながらも、親子二人だけの生活を続けている。きっと、口に出さないが、マリアだって寂しいはずなのだ。私は思い切って聞いてみる。
「ねぇマリア。私のお姉ちゃんになって」
「……フランちゃんって、たまに突拍子もないこと言うよね」
「だめ?」
「駄目じゃないけど、もうちょっと考えよ?」
 遠まわしに断られた。残念。私、いい子にするんだけどなぁ。
 それからも二人は、馬鹿な話をしては盛り上がる。すごく楽しい時間。私にとって、この時間はとても大事な時間だった。そして二人の話題は、私の姉の話になる。
「お姉ちゃん。昨日誕生日だったんだ」
「えっ? そうなの? 言ってくれたら私も何かあげたのに」
「いいよ。つけあがるから」
「手厳しいね。フランちゃん」
「当然」
 そう。あんな姉には、これくらいで丁度いいのだ。大体あれはプレゼントなんか貰ったら、すぐに舞い上がって、天狗になって、下界に降りてくることも忘れて、そのままどこかに飛んでいってしまうような奴だ。実際、昨日は母から貰ったお人形を、これでもかと見せつけてきた。マリアから貰ってしまったら、私は家出していたかもしれない。それくらい面倒くさい奴だ。断じてプレゼントなどあげるべきではない。家庭崩壊を招く。
「じゃあ。フランちゃんからは何をあげたの?」
「あげるわけないじゃん。お姉ちゃんなんか嫌いだもん」
 私からあげるものは、冷たい視線だけで十分だ。これ以上あげたら姉は凍りつくだろう。
「でもお姉ちゃんなんでしょ?」
「……でも嫌いだもん」
 お姉ちゃんは嫌いだ。何故か分からないけど嫌いだった。どうしようもなく嫌いだった。
「大体、お姉ちゃんばっかりずるいんだ。お母さんもお姉ちゃんにばっかり優しくして。……私だってお母さんと」
「……寂しいんだね。フランちゃんは」
「……! 違うよ。そんなんじゃない。ただ」
「“私もお母さんに甘えたいのに” でしょ?」
「違うもん……」
 違うもん。そんなんじゃないもん。私はただ。そう。私は、ただ……。
「お姉ちゃんが、羨ましかったんだもん」
 そういうことだった。私は姉が嫌いだったんじゃない。羨ましかったんだ。いつもお母さんの側にいる姉が。私には出来ない事を平然とやっている姉が。私だって同じ事がしたかった。私だってお母さんと手を繋ぎたかった。お母さんと一緒にお料理したかった。だから、私が嫌いだったのは、お母さんの側にいるお姉ちゃん。ううん。違う。そうじゃない。お母さんの側に行く勇気がなかった私自身だ。たった一言、『私も混ぜて』って言えなかった私自身だ。それを姉のせいにしていただけ。私が嫌いなのは、弱虫な自分自身だったんだ。
「ねぇ、フランちゃん。お母さんにプレゼント贈ってみたら?」
「え?」
「フランちゃんからお母さんに。きっと喜ぶよ」
 ……私がお母さんにプレゼント。そんな事、してあげたことは一度も無かった。
「でも私。あげられるものなんか何も無いし……」
「大丈夫。無ければ作ればいいんだよ。そうだ! お人形を作ろう!」
「お人形?」
「そう。フランちゃん、自分もお人形が欲しかったんでしょ? だったらこっちから逆にプレゼントして、私も欲しいんだぞーってこと伝えちゃおう」
 ……作るの? 私がお人形を作る? その言葉に何故か私の胸が高鳴る。ドキドキする。私が。私がお人形を作るの?
「そんなこと、出来るかな?」
「出来るよ! 私も、一度作ったことあるんだ。だからやってみよ? フランちゃんが作ったお人形さんなら、お母さんすっごく喜ぶよ」
「喜んでくれるかな?」
「うん! 絶対に大丈夫。だからやってみよ? フランちゃんの思い、お母さんに伝えよう。……あとレミィちゃんの誕生日祝いもね!」
「それはいいよぅ」
 なんだ。結局そういうことか。でも、私は完全に乗り気になっていた。だって信じられる? 私、お人形作るんだよ? 今までそんなこと考えたこともない。ドキドキは止まらない。
「一つ作るのも二つ作るのも変わらないよ。それに、せっかくのお姉ちゃんなんだから。大事にしなきゃ」
「うーん……。分かった。やってみる」
「よし」
 すごく嬉しそうなマリア。人の事なのにこんなに親身になってくれる。私はマリアのそうゆう所が大好きだった。……しょーがない。このマリアが言うのだからお姉ちゃんの分も作ってやるか。
「ねえ。マリアも手伝ってくれる?」
「もちろん。約束するよ」
「よーし。約束だからね!」
 そう言って指切りをする。その手はすごく温かかった。ほら、見ろ。こんなに温かいものが悪魔な訳ない。私は笑いながらマリアを見る。
「えへへへ」
「えへへへ」
 そうして互いに顔を見合わせて笑う。その時の見たマリアの笑みは、私が一度も見たことも無いような満面の笑みだった。私もきっと同じ顔をしていたんだろう。笑みが自然とこみ上げてくる。
 そうだ。私がお人形を作るんだ。そう考えると笑みは止まらなかった。楽しくて楽しくて仕方がなかった。
 ――でも、それがいけなかったんだ。
「……おい見たか? 今のって」
「ああ、牙だ! 吸血鬼だ!」
 辺りがざわめき始める。人間達がこちらを見ていた。私を、吸血鬼を見ていた。一瞬、体中に電撃が走る。訳が分からなくなり、思考も停止した。体は石のように固まっている。そこから一歩も動くことが出来なかった。
「フランちゃんっ! 走ろう!」
 マリアの声で正気に戻る。同時に理解した。私たちに向けられている目に。恐怖と狂気に満ちた敵意の目に。このままここにいればどうなるか。それを理解した時、すでに背を向けて走り出していた。
「吸血鬼だ! 吸血鬼が出たぞ!」
 叫ぶ。聞きたくない言葉だった。少なくとも、今この瞬間には、絶対に言って欲しくない言葉だった。でも、それは嫌というほどよく聞こえた。何度も。何度も叫ぶ。それを聞いた他の人間たちも、私たちの存在に気付いた。さらに多くの敵意が、私たちに集中する。一瞬にして周りは敵だらけになっていた。
「嫌だ! 捕まりたくない!!」
 走った。とにかく走った。
 走って走って走って走って走った。
 どこをどう走っているのかなんて分からない。どこに向かって走っているのかも分からない。分からないけど走った。走るしか、走ることだけしか考えられなっかった。何も考えられず、考えられないけど、でも走った。
「待て! 待ちやがれ!」
 誰かが追いかけてきているのが分かる。何人か。一人二人ではない。多い。沢山の人間が私を追いかけている。沢山の人間が、私たちの死を望んでいる。
 捕まれば死ぬ。焼かれて刺されて切られて砕かれて、そうやって死ぬ。例外はない。たった一度の例外もなく死ぬ。捕まった瞬間、確実に死が決定される。
 追いかけてきている人間は確実に増えていた。怒鳴り散らす人間の声が増えている。私には全部聞こえていた。聞きたくないその声が、はっきりと聞こえていた。それだけじゃない。その中には、鎧がこすれる音が混じっていた。鎧を着るのは兵士たち。その兵士たちが、武器を持った兵士たちが、私を追いかけている。“悪魔を殺す権利を持った人間”が私を追いかけている。
 怖い。怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
 振り返ることなど出来なかった。とにかく怖かった。恐怖が、私の全てを覆い尽くす。怖いという以外の感情は、全て消えていた。ただ恐怖だけが。恐怖という、一番原始的な感情だけが、私の中で広がっていく。
「はぁっ……はぁっ……」
 いつの間にか、前を走っていたはずのマリアが、私の後ろを走っていた。その顔には、確実に疲労の色が見える。
 ……まずい。マリアは体が弱い。こんなに走り続けていたら倒れてしまう。いつまでも走り続けることは出来ない。どこかに身を隠さなきゃ、いずれ捕まる。私はマリアの存在を認識して、ようやく恐怖以外の感情が蘇ってくる。どこか、どこかに隠れる場所は……!
「あ……っ」
 小さな悲鳴。私はその声に後ろを振り返る。マリアが何かに躓いて倒れていた。力が入らないのか、中々立ち上がれない。私はそれを見て立ち止まる。その間にも兵隊たちが迫ってくる。
「マリア! 早く!」
 叫ぶ。マリアは私の声に弱々しく頷き、必死で立ち上がろうとする。だが、駄目だ。また転んでしまう。
 いけない。早くしないと追いつかれる。慌てて私はマリアに手を伸ばした。……だが、
「へへへ。観念しろ吸血鬼め」
 その間に、人間たちに追いつかれてしまった。数は五、六人。数こそ大分減ったが、それでも多い。しかも、全員武器を持った兵士だ。戦ってどうにかなる相手じゃない。
「あ、……ああ」
 近い。一人ひとりの顔が、はっきり見える。その口が。鼻が。耳が、目が! すぐ近くにあった。
 ――嫌だ。怖い。怖い。怖い。
恐怖で顔が歪んでいくのが分かる。もう、何も考えられない。また恐怖が。恐怖だけが私を埋め尽くす。
「まずは一人目だな」
 兵士の一人が、倒れているマリアに近付いていく。ゆっくりと。でも確実に。両者の間隔は狭まっていく。そして、その手をマリアに向かって伸ばした。
「やめろ! 嫌だ! 離せ!」
 抵抗するマリアの声など、まったく聞こえていないかのように、マリアは羽交い絞めにされてしまった。淡々と、事務的に。ただ、マリアを封じる。それを見たもう一人の兵士も、暴れるマリアに近づいて取り押さえる。実に手慣れた動きで、確実にマリアを行動不能にしていく。
「よし。次はこっちだな」
 その声にはっとする。彼らの目は私に向けられていた。敵意は私に向けられていた。
 頭が混乱する。どういうこと? 私が、次は私の番――? 
 答えの分かりきっているその問に、それでも律儀に答えるかのように、一人の兵士が私に迫った。
「あっ……ああ」
 恐い。恐い恐い恐い恐い怖い怖い怖い怖い怖い恐い恐い恐い恐い。
「嫌だ……嫌だ」
 思わず後退りをする。私の体は、ゆっくり体は後ろに後退していく。少しずつ“それ”から距離をとる。
 ……待て。私は何をしようとしている?
 だが、体は全く言う事を聞かない。まるで自分の身体じゃないように、私の意思を無視して後退を続ける。だが、それすら些細な事の様に“それ”は近づいてくる。あっという間に、私の小さな体は“それ”の影に覆われた。そして、“それは”ゆっくりと私に手を伸ばす。“死”が私に向かって手を伸ばす。
「あ……ああ……」
 ―――捕まる。
「嫌、だっ!!」
 咄嗟に両手を放った。迫る兵士を思いっきり両手で突き飛ばした。急な反撃によろける兵士。そして瞬間、背を向けて逃げた。走った、走った!! 
「逃げたぞ! 追え!」
「待って! フランちゃん! 助けて! 置いてかないで!」
 マリアの声が聞こえる。私はそれに耳を塞ぐ。聞きたくない。聞きたくなかった。
 ただ、走る。何も考えず。走る。走る!!
「待って! フランちゃん! 待って!」
 嫌だ。嫌だ。
 聞きたくない。聞きたくない聞きたくない聞きたくない。
 恐い恐い怖い。
 死にたくない死にたくない死にたくない!!
「待って!! 助けて!! 置いてかないでぇぇっ!!!!」

 ……マリアの悲痛な叫びが、何度も何度も響いた。それは助けを乞う声だった。求められたのはこの私だ。
 でも、その声はもう、私の耳に入ることは無かった。

○  ○  ○

「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ」
 息が苦しい。一体どれだけの距離を走ったのだろう?
 私は、町はずれのゴミ置き場まで来ていた。木材の影に蹲って隠れる。少しでも小さくなるように、両腕で自分の足を抱え込んだ。シンと、静まり返った世界の中では、私の心臓の音だけが嫌に大きく聞こえる。どれだけの時間が経っただろうか。ほんの少し前の出来事のはずなのに、私には何年も前のことのように感じていた。
 ……奴らは、もう追いかけてきていない。
「はぁ。はぁ……」
 少しずつ息が落ち着いてきた。ようやく冷静になって、辺りを見回してみる。人気は無い。周りには、恐らく無人だろう、壊れかけた民家が建ち並ぶ。空は今にも泣き出しそうで、厚い灰色の雲が覆っていた。まるで世界の終りを見るような光景。でもそれは、どこか落ち着く光景だった。
「ここ、どこ……?」
 私の心臓は、自分の現在置を考えられる程度には静まった。ここは。私はどこにいるのだろうか。早く家に帰らなくちゃ。お母さんもお父さんも心配している。少し早いけど、今日はもう帰ろう。
 私は自分の家のことを思い出し、急にほっとする。体中の力が抜けていく。そうだ。私は生きている。逃げ延びたんだ。そして……、
「――あ、……あ……ああっ」
 一瞬の安堵と共に、私の中に再び恐怖が蘇った。また、息が上がる。今度はさっきの比ではない。上手く呼吸が出来ない。苦しい。吐き気がする。体中が震えはじめた。強烈な寒さが襲う。……寒い。震えが、止まらない。
「ああ……、私。私は一体?」
 声が聞こえた。外からではない。私の内側から、声が聞こえる。
 嫌だ。考えたくない。だが、拒めば拒む程、あの光景が焼き付いて離れない。あの時の光景が、何度も繰り返し脳内で再生される。あの声が、マリアの声が。マリアが、何度も何度も私を呼んでいる。
 マリアの顔が浮かんだ。くせ毛の茶髪にそばかす顔。いかにも人の良さそうな柔和な顔立ち。あの時マリアは、私に向かって叫んでいた。喉を枯らしながら、今まで聞いたこともないような声で私を呼んでいた。私に、助けを求めていた。なのに私は。私は何をした? 私は一体何をしたんだ? 体の震えは止まらない。さらに加速する。寒い。寒い。寒い。
「そうだ……。私は、私は……っ」
 私は、ようやく全てを理解した。自分が何をしたのか。何をしてしまったのか。
 怖かった。捕まりたくなかった。死にたくなかった。だから私は、やってはいけないことをしたんだ。絶対にやってはいけないことをしたんだ。そうだ。私は、私は自分の友達を……、

 マリアを、見殺しにしたんだ。
お疲れ様でした。読んでい頂いてありがとうございます。

しかし、暗い話でしたね。書いている方も結構キツかったです。でも、このテーマは一度はやりたかったのです。

お母さんの名前でピンと来た人もいると思いますが、例のアレの影響はかなり受けていると思います。なのでこれから一層キツイ話になります。作者が限界を感じたら途中、橙を挟むかもしれません。というか既に書き始めている駄目な作者がいます。

では、今回は文句を言いたい人も多いでしょうから、その旨は感想欄にてお願いします。それでは、また次回、橙編(マテ)でお会いしましょう。


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