たけちゃんには悪い癖がある。機嫌が悪くなると街へ出て次々と通行人に切りかかるのだ。
まったく街の人は困っていた。死体を片づけるのがすごく面倒くさい。
たけちゃんのお父さんは、若い頃引きこもりだったので、外に出て発散することはよいことだと言う。元気があっていいのではと。
警察は黙認だ。当然だ。こんなクソ暑い日に外に出たくない。クーラーのよく効いた交番の中にずっといたい。
死体が腐って街はたまらん異臭に包まれる。暑い。
唯一しかっていたお母さんはついに自殺した。
たけちゃんはうっとーしーのがいなくなってついに自由になった。大喜びで、次々と通行人を切りつけていった。
「た、助けてくれえええ」
「ぎゃははははははは」
たけちゃんの目はもはやこの世にない。イッてる。逃げ惑うお爺さんを捕まえ、倒し馬乗りになり、背中に向かって何度も何度も包丁をぶっ刺した。
「うぎゃあああああああ」
お爺さんは口から泡をふいて死んだ。
「ぷっ」
それを見てたけちゃんは思わず吹き出してしまった。
「カニみたい。げらげらげら」
向こうから、お婆さんがものすごいスピードで走ってきた。お爺さんの伴侶だろうか?
たけちゃんの前に立つと、お婆さんはいきなりたけちゃんの手を両手で握って振った。
「ありがとう。ありがとう。あたしゃ、爺さんのDVにほんと困ってたんじゃ。苦しんでいたんじゃ。警察は何もしてくれないし。ほんとにありがとう。ありがとう」
たけちゃんは誉められてまんざらでもない。頭をかいた。
「そう? てへへへへ」
お婆さんの胸を包丁で刺した。
「うぎゃああああああ」
「あははははは」
婆さんは、倒れた。
「な、なぜじゃ。なぜじゃ」
たけちゃんは、「?」という顔をしている。
「な、なぜあたいを。あたい何も悪いことしてないのに」
婆さんが倒れたまま、泣き出した。
たけちゃんはそれを見てると、何かやかましくてうざくなってきた。
お婆さんに馬乗りになり、背中に向かって何度も何度も包丁をぶっ刺した。
「あぎゃ、あぎゃ、あぎゃあああああああああああああああ」
たけちゃんは疲れてきたので、近くの喫茶店に入ってひと休みすることにした。
「オレンジジュース一つください」
「はいよ」
マスターは、外は暑いですねえ、と言って、たけちゃんにタオルを渡した。
たけちゃんはタオルで汗をぬぐった。
一仕事終えた後のオレンジジュースは旨い。
「マスター」
「はい?」
「旨いよ」
たけちゃんはマスターの胸を刺した。
「うぎゃああああああああ」
周りの客は黙ってる。漫画喫茶なので漫画を読むのに夢中で気づかないのだ。
「ひっひ。これでタダになった。ひっひっひ」
たけちゃんは店を出た。他の客もしばらくしてから出ていった。みんな嬉しそうだ。タダになったので。
たけちゃんは休んだので元気になってきた。どこかへ出かけようと思ったが、カネがない。
近くのコンビニに寄った。
「いらっしゃいませえ」
たけちゃんは帽子を取った。
「おねいさん。この帽子にお金入れて」
「は?」
「早く入れて。ボク、忙しいんだから」
太った店員はめちゃめちゃ怒った。
「何を言ってるんだ、このガキは。そんなことできるわけないだろう」
たけちゃんは何か面倒くさくなってきたので拳銃で太ったおねえさんを撃った。
「うぎゃあああああああああ」
弾が脂肪にめりこんで痛そうだ。
たけちゃんは醜いものは見たくなかったのでもう一発撃った。
「どぎゃあああああああ」
死亡した。
すると、レジをぶっ壊し、何枚かもらった。
「ぐう」
腹が減ってきた。
「弁当でも食うか」
店内の弁当コーナーに移動し、豪華アメリカ産毒入り狂牛ステーキ弁当を選んで持っていった。夏はスタミナをつけなくてはいけない。
「おねいさん! おねいさん! 起きて! 会計!」
倒れた店員を揺するも動かない。
「しょうがないなぁ、もう」
たけちゃんは帽子から一枚出して台に置いた。お釣りを計算したら二十三円だったので、募金箱をぶち壊してもらっていった。
外は暑い。
「そうだ。プールにでも行こう」
そうだ。そうだ。今日から夏休み。こういう時はプールだ。こうしちゃおれない。
たけちゃんは持っていた弁当をアスファルトに叩きつけた。
「人に切りかかるのももう疲れた。疲れをとらなきゃいけない。発散しなくちゃいけない」
道路の上でたけちゃんは急いで服を脱いだ。
裸で走り始めた。小さいちんちんがぷらぷら揺れる。
そして、アスファルトがしゃれにならないほど熱いので、早く行かなきゃとスピードがよく出た。(了)
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