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自分自身
作:青山 悠月



第4話:決意


架蓮の長い語りが終わった。
準は信じられないと低く呻いて、首を左右に振る。
「俺は嫌だぜ。そんな死ぬような仕事引き受けねえよ」
ひどく困惑しているようだ。目を伏せがちにして考え込んでいる。
「あのねえ、いろんな人を調べた結果、準が一番の適合者だと思ったんだよ」
準の顔を覗き込むようにして絢乃が言う。
「はあ?俺のどこが。頭も悪いしいいとこねえじゃん」
「あら、そんなことないわ」
架蓮は組んでいた足を解いた。
「前向きな性格、周りの状況を正しく、冷静に見極められる洞察力・・・。どれも
素敵なものよ」
「そんなこと言われてもな・・・。もし俺が協力を拒否したら?」
「あら、別に口封じに殺そうなんて思わないわよ」
くすっと短く架蓮は笑った。
「でもさあ、準の彼女も宮城のお母さんも弟も危ないよねえ?」
綾乃の言葉に準はぎくりとした。
畜生、全部お見通しってことか。
「わあったよ。やるよ。それ。死ぬって決まった仕事じゃねえんだろ?」
舌打ちして準が言う。架蓮は頷いて、もちろんと言った。
「むしろ、低いほうだわ。防弾チョッキも最新のものだし」

渋々頷いた準に服を着替えてもらうため、一時準はサークル部屋を後にした。
扉が閉まり、絢乃が架蓮を見上げる。
「あれ、本当?“死ぬ確率が低い”って」
くすっと絢乃が笑う。
「いいえ。死ぬ確率は正直なところ、きわめて高いのよ。・・・星井くんには
悪いことしてしまったけれど・・・。仕方ないのよ」
やっぱりね、と首を縦に振る。
でも・・・と絢乃は続けた。
「でも、もしかしたら準、悪運強さで生き残るかもしれない」
そしてとても楽しそうに鼻歌を歌いはじめた。

準は今、見知らぬ男に渡された服を不機嫌そうに着ている最中だった。
服の説明は一通り受けていた。
下はもちろんながらズボン。見た目は結構普通の服に見えなくもない。
迷彩柄なだけにオシャレ仕様が組み込まれているのかと期待したが、それは呆気なく
否定された。
上には防弾チョッキとタンクトップ、それだけでは寒いのでジャンバー風の上着も
着るように言われた。
靴も革靴ではなく、ブーツのような靴に履き替えてある。
最後にブーツの中に不恰好にはみ出したズボンの裾を入れる。
と、それぞれ身につけ、鏡に全身を映してみるとなかなか様になっているような気がした。
「星井くん、着替えた?急いで、行くわよ」
カツカツと靴音をたてて架蓮、そしてさっき、俺に服を渡してくれた男達と綾乃が俺と
同じような格好をして立っている。
「紹介するわ。星井くんと同じ部隊の・・・」
「綾瀬です。よろしく」
中年風の男だ。あごひげを生やし、陽気そうな顔立ちをしている。
「同じく、西田。どうも」
こちらは俺と同じくらいの歳で若々しい。
「星井 準です。よろしく」
一応、フルネームで名前を言ってから二人と握手を交わす。
「さあ、自己紹介は終わったわね?星井くん、あなたには主にこの3人とともに
行動してもらうことになるわ。あと、これを」
渡されたのはレーダー銃と小さめの黒いポーチだった。
「そのポーチの中にはレーダーの補充液が入ってるわ。もし、無くなったのなら
使って?」
おう、と頷くと架蓮はじゃあ、頑張ってと手を振りながらその場を去った。












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