第4話:本
「ヘヤノスミス」の名前はある漫画本から取ってつけた名前。
その子が本当に私にそっくりで、恐ろしくなったこともあった。
自暴自棄に陥って、自分の部屋に閉じこもり、意識を失いそうになるまで切った。
血が、とまらない。
涙は、出ない。
ドックン、ドックン
心臓の鼓動がやけに大きく耳の響いては自分を苦しめ、その苦しみから逃げ切るためにさらに切る。
その悪循環が数ヶ月も続いた。
太ももの傷。
太い血管が多くあるため、切る場所にいつも困る。
血が出すぎるのはいやだった。
なんという矛盾だと思いながらも切る場所をよく考えては浅く切り、血を絞り出しては布に染み込ませ、血を眺めては心を落ち着かせ、そして少しずつ壊れていった。
そんな頃、ふらりと立ち寄った本屋で「卒業式まで死にません」というインパクトのあるタイトルに惹かれ、買った本があった。
南条あやさんが綴った日記を1ページ1ページ意味をかみ締めて読んだ。
私に、似ている・・・?
妙な親近感を覚えた。
その後、「南条あやの保護室」というサイトへ行き、情報を集めた。
リストカットとは文字通り主に手首( など )を傷つける行為ですが、イコール自殺ではありません。神経症〜精神病の中の症状のひとつです。自分自身を傷つける「自傷行為」という症状の中のひとつと数えられています。その名のとおり、手首を切る行為ですが、多くの場合、死ぬことを目的に切るわけではありません。自殺とは全くの別物なのです。やっかいなのはその常習性です。リストカットは決して推奨されるべきものではありませんが、一種の追いつめられた自己表現の手段とも言えます。
この一文が今までの私を大きく変えた気がした。
こういうことは、あるんだ。
私は、気が狂っているのではない?
安堵感と、悲しさのあまり、私は血まみれのタオルを持って泣いた。
でも、あの人もそうなの?
白く伸びた細い傷を眺めながら、貴方のことを思い出した。 |