3 恐怖
毎日、だった。
毎日、流歌と帰った。
毎日、他愛ない話をした。
毎日、あっという間に時間は過ぎ、
そして、毎日・・・・・。
今日は、雨だった。
「じゃあ、みく、ばいばぁい」
「う・・・ん、ばいば・・・い」
流歌と別れたら、気を引き締めないといけない。
楓が、この頃毎日やってくる。
ひたひたひたひたと、ついてくる。
振り向いてはいけない。
何事もないように、ふるまわなければならないのだ。
ぱらぱらぱらぱら・・・・・
傘に雨が当たる。その音が、心地いい。
楓の足音を、消してくれる。
ぴちゃぴちゃぴちゃっ・・・
わざと、水を跳ね飛ばしながら歩く。
ぴちゃっ、ぴちゃっ・・・
ひたっ、ひたっ、ひたっ・・・
あぁ、でもやっぱり聞こえるんだよね、どうしよう。
もう、みくるは慣れてきていた。
自分の後ろに足音がすることを、恐れなくなった。
だが、
自分の後ろに、楓がいると思うと、やはり怖い。
あの、寂しそうな、悲しそうな、青白い表情をして。
歩いていると思うと、やはり、足音を恐れずにはいられない。
ガチャッ、
「ただいまぁ〜」
バタンッ
ガチャッ、ガチャッ。
カチャカチャ、カチャンッ。
うん。そうなんだ。
もう、うちには日課になってるよ。
何事もないようにただいまを言う。
その直後、扉を閉め、鍵を二つ掛け、チェーンまでする。
それは、やっぱり楓が怖いからなんだろうね。
今日は、ちょっと違った。ほんの少し違った。
扉を閉める時に、隙間から外を見た。
あぁ、そっか。
足音が、一人分多いっていうことは。
足跡も一人分多いってことなんだね?
泥の上についている、足跡。
足跡が、足音が、ひとつ。
余計に。
楓は、きっと、ずっとついてくるだろう。
楓は、きっと、怒っているんだ。
怒って、そして悲しんでいるんだ。
あの、暗くて悲しい、寂しくて青白い表情の中で。
バタンッ。
足跡を視界から消して、鍵を掛けた。
チェーンも掛けた。
そして、
みくるは、きっと、何事もないようにふるまい続ける。
みくるは、でも、鍵も閉めるしチェーンも掛ける。
みくるは、楓を恐れているから。
自分のした事と、過去の思い出と共に。 |