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第11話 開戦と日米武力衝突対策本部と言う名の大本営会議

 「とうとうアメリカと戦争かぁ。中国が先だと思ったんだけどねぇ」

ここは第一護衛隊群旗艦『長門』の予備会議室で、発言したのはしまかぜだった。

しまかぜはストレートの茶髪を肩のあたりまで伸ばした、見た目が14、15歳くらいの少女だ。髪は染めているらしい。規律に縛られるのが嫌いで基本的に会議には出ないのだが、今はちゃんとした会議ではないので参加していた。

 アメリカと開戦してから、政府は陸自を使い駐日米軍の基地を封鎖した。

しかし沖縄だけは第7遠征打撃群により制圧されていた。しかし死傷者や建物の被害は無かったそうだ。

「これで、今回のトップは決まったな」

パソコンをいじりながら言ったのは、黒い髪をツインテールにした12、13歳くらいの少女、護衛艦『ほかぜ』の艦魂だ。

 実は彼女は、艦魂の間で読まれている情報誌『広報かんこん』の編集部の一人である。他には第四護衛隊群のさわかぜなどがいる。

 余談だが『広報かんこん』のモットーは、「艦魂の艦魂による艦魂のための赤裸々カミングアウト情報誌」らしい。ほんとにどうでもいいことだ。

 ほかぜは、『広報かんこん』の記事を書いていた。どうもトップ記事は開戦の事のようだ。

今この部屋には、六人の少女がいた。みんな思い思いのことをしている。

長門は一応真面目に書類を読んでいるし、ほかぜは執筆中。しまかぜとなだかぜは話している。ひゅうがはラケットのガットを張り直していて、あけぼのに至っては爆睡中である。

他のメンバーは今はいない。

「これから政府はどうするのかしら。まさか本当に戦うとか?」

長門の独り言にひゅうがが反応する。

「国連の介入があるんじゃないですか?」

あんな武力衝突が起これば安保理が動くはずだ。

その疑問に長門は答える。

「アメリカと中国が拒否権を発動したらしいわよ」

「中国も、ですか」

当事国のアメリカが拒否権を使うのはわからないでもない。だが中国も、というのはどういうことだろうか。

隣国の日本が戦争状態になれば、中国にも決して小さくない影響が出るだろう。なぜそれがわかっていながら戦争を食い止めようとしないのか。

「まあいいじゃん。日本に近付く奴は全部始末すればいいんだし」

なだかぜはさも楽しそうに物騒なことを言うが、見た目中学生くらいの少女が言うことじゃない。それを見た長門はため息をついた。

「あなたの言うことは物騒なのよ。女の子としての自覚が足りないわよ」

長門が言うが、なだかぜは興味無いという風にスルーした。

「そういえば長門ぉ、こないだの戦闘の時、陸奥の近くでミサイルが爆発したんでしょ? 大丈夫だったのぉ?」

しまかぜが長門に聞く。

彼女は規律こそ守らないが、仲間の事は大事に考えており、陸奥の事も結構心配していたのだ。

「えぇ、被害は無かったらしいわよ。無事だって手紙に書いてあったし」

「よかったじゃん」

なだかぜはほっとしたように言った。

日本とアメリカが開戦しても、ここの艦魂達は平和に話していた。




 第四護衛隊群は、沖ノ鳥島沖海戦の祝勝会をしていた。この艦隊が日米開戦の直接の理由を作ったようなものなのだが艦魂達は皆、明るく楽しく騒いでいた。約一名を除いて。

 第四護衛隊群は沖ノ鳥島海戦で、米駆逐艦『マスティン』を撃沈した。また、『陸奥』は少し前に米潜水艦も撃沈している。

アメリカが開戦を望むには十分である。

ここまで来てしまったらもう、開戦を阻止する術は無い。

そしてとうとう日本はアメリカと開戦した。

でも第四護衛隊群の艦魂達は、そのことについて不安を抱いていなかった。しかし陸奥は、艦を沈めた張本人なのだ。唯一責任を感じていて、一番端っこの椅子に俯いて座っていた。

「……私が撃たなかったら……」

陸奥は日本が開戦したのは自分のせいだと思っていた。自分さえいなかったら、今でも日本はアメリカと良好な関係が保てたのではないか、と。

そんな陸奥に、さざなみが近づいてきた。

「元気だせよ、陸奥。別にお前のせいじゃねぇだろ?」

「でも……」

さざなみが陸奥を元気づけようと話しかける。だが陸奥は顔を上げようとしない。さざなみはそれでも言葉を続ける。

「お前は悪くねぇよ。だいたい俺ら艦魂は艦を動かせる訳でもねぇんだぞ?」

「でも……」

陸奥はまだ顔を上げない。

さざなみは陸奥の肩に手を置いた。

「でもじゃねぇ。とにかく顔上げろ。こないだの戦いで勝てたのはお前のお陰なんだからよ」

さざなみがそう言うと、陸奥は少しだけ顔を上げた。それを見たさざなみは、陸奥の手を掴んで立ち上がらせた。

「えっ?さざなみさん?」

「ほらいくぞ」

さざなみは陸奥の手を引いて部屋の中央、つまり騒いでいる艦魂達の真ん中に行った。

その後陸奥は、酔っ払った艦魂達(主におおたかやおきかぜ)に揉みくちゃにされた。

具体的に言うと、みんなの中に入った瞬間さざなみはいなくなり、全員の手によって陸奥は確保された。そしていきなり胴上げが始まった。

陸奥にはもう何が何だかわからない。

胴上げが終わると今度は全員がグラスを持つ。

「ほら、陸奥も持って」

きりしまに言われ、よくわからないが、陸奥はグラスを持った。グラスにはビールが注がれていた。

「私達の勝利を祝って、乾杯!」

きりしまが音頭をとり、みんな一斉にビールを飲む。陸奥もそれにならって一気に飲み干した。

それから陸奥はきりしまに、開戦の事を聞いてみた。

「なんでアメリカと戦わないといけないのにこんなに楽しそうなんですか?」

その問にきりしまは笑って答える。

「そりゃあみんなアメリカが好きじゃないからよ」

「え?」

陸奥は驚いた。アメリカは同盟国で、戦後から今まで日本を支えてきてくれた。そのアメリカのことが好きではない、と言うのはどういうことなのだろうか。

「どういう事ですか?」

「戦後、アメリカ日本の復興を手伝ってくれたけど、日本を操り人形として使ってる節があるのよ。それがみんな嫌だからね」

きりしまはさらに続けた。

「それにね、私とかは戦争の時に同名の艦を沈められてるからね。一度ぎゃふんと言わせてやるわ」

「そうだったんですか」

「そう。だから戦争は好きじゃないけどこれだけはやるわ」

きりしまはそう言うと、グラスにビールを注いで一気に飲んだ。

「ぷはーっ」

きりしまが飲んでいるのを見て、陸奥もグラスにビールを足す。

「陸奥、そんなに飲んで大丈夫なの?」

前に陸奥が酎ハイを飲んだ時は、酔っ払ってすぐにダウンしていた。今回もそうなると思ったきりしまは陸奥に聞くが、陸奥は彼女の注意を聞かずにそれを飲んだ。

「酎ハイのほうがおいしいですね」

陸奥は飲んでからそんなことを言う。今ので酔っ払いのスイッチが入ったのか、先程よりも足取りがふらふらしている。

「危ないわよ」

きりしまが言ったが既に遅く、陸奥は見事に転倒した。

「陸奥?」

きりしまは陸奥に駆け寄って肩を揺らしたが反応はない。

よく見ると陸奥は転んでそのまま寝てしまったようだ。

「しょうがないわねぇ」

きりしまは陸奥を抱えてさざなみに声をかけた。

「さざなみー。私ちょっと抜けるから」

「おう」

それだけ言うときりしまは光に包まれて消えた。




 きりしまが現れたのは戦艦『陸奥』の一室、秋月将の部屋だった。将はぐっすり寝ているらしく、きりしまが少し物音を立てただけでは起きる気配はない。

きりしまはそんな将の布団を剥いで陸奥を寝かせた。そして二人に掛かるように布団を戻した。

「ふふふっ」

きりしまはそれを見てにやりと笑うと、ポケットからカメラを取り出した。そのカメラを起動して二人にピントを合わせ、写真を撮った。

そしてすぐに部屋を出て会議室に戻った。




翌日、二人は朝からとても気まずい状況に陥った。その後きりしまを捕まえて一通り怒った。

 だが結局、きりしまの撮った将はさわかぜに渡り、『広報かんこん』に掲載された。そして例の写真は全国に出回ることとなったのだった。




ここは官邸の一室である。出入口の横には『日米武力衝突対策本部』と書かれていた。

その部屋の中にはテーブルと椅子が置かれ、数人の人が座っていた。内閣総理大臣、防衛大臣、統合幕僚長、陸・海・空の幕僚長である。

この『日米武力衝突対策本部』は沖ノ鳥島沖海戦が終了してからすぐにつくられた。

ちなみにこの組織は、自衛隊内では『大本営会議』と呼ばれていたりもする。実際、ここで話し合われていることは大本営と大差なかった。

「これからどうするのですか?」

発言したのは航空幕僚長であり、名前はまだない。

「まずは問題を一つずつ解決したいくべきでしょう」

海上幕僚長が言った。

「例えば何ですか?」

「結構あるな。燃料の問題に周辺諸国との関係、物価などだろう」

聞き返してきた航空幕僚長に、防衛大臣の滝澤俊光たきざわとしみつが答える。

そして内閣総理大臣の寺崎陽介が言った。

「まずは燃料の確保が優先だな」

石油などの燃料がなければ戦いにならない。

「どうするんですか?」

「まあ、攻める場所は決まっているだろう」

寺崎総理はニヤリと笑って言った。

海上自衛隊艦魂広報課 『広報かんこん』第六版


『東日本大震災』


長門「もう結構たってる気がするんだけど……」

サムライ「気にしない」

みくま「作者のところは大丈夫だったの?」

なだかぜ「そういえば家は青森だったよね」

サムライ「青森市ですから。太平洋に面してないから津波の心配はあまりないんですよ。津波警報が出たときはびびりましたが」

しまかぜ「同じ青森でも八戸はひどいもんなぁ。どうなっちゃうんだろぉ」

ひゅうが「地震のとき、学校から歩いて帰ってきたってほんと?」

サムライ「はい。一時間くらいかかりましたね。そしたら家までもう少しってところで横をバスが……」

みくま「ドンマイ」

サムライ「地震直後、教師が話し合いのためにいなくなった瞬間みんなが携帯でワンセグを見始める。あれはうけた」

なだかぜ「作者は?」

サムライ「もちろん見たよ。PSPで」

長門「さいですか」

しまかぜ「作者地震の後すぐにインフルでダウンしたしねぇ」

なだかぜ「マジで!?」

しまかぜ「マジでぇ」

なだかぜ「うわだっせぇ」

サムライ「結構つらかった。二日目が一番ヤバかったですね。あとはひたすら暇」

長門「親に隠れてゲームとかしてたものね」

サムライ「それ禁句ですよ長門さん」

みくま「地震で大変なときに、よくできるね」

一同「東日本大震災の被災された多くの方にお見舞い申し上げます」


『春休みなのに……』


サムライ「春休みなのに春期講習とかふざけてますよね」

なだかぜ「じゃあ出なきゃいいじゃん。強制じゃないでしょ?」

サムライ「それがうちのロリコン担任のせいで四年制大学を志望してる人は強制とかになったんですよ」

あけぼの「それはまた、なんというか……。ドンマイ」

みくま「ていうか前に自衛隊行くとか言ってなかった?」

サムライ「やめた。遊べないじゃん」

長門「ふうん。で、講習はちゃんと受けたの?」

サムライ「まさか!音楽聴いたりゲームしたり春休みの宿題やったりしてましたよ」

あけぼの「こいつの人生オワタ」


『編集後記』


サムライ「最近遊びすぎです」

なだかぜ「カラオケ行きすぎだっつーの」

しまかぜ「こっからどう話を広げるぅ?」

サムライ「実は、今回で最終回なんです」

しまかぜ「え?マジ?」

なだかぜ「今までありがとうございました!」

























































































































































































サムライ「嘘だけど」

しまかぜ「っておい!」

なだかぜ「ご意見、ご感想おまちしていまーす」

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