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予告文を書こう!
作:灯宮義流


 ネット掲示板で殺害予告を出して、捕まるバカヤローが後を絶たない。
 まったく馬鹿馬鹿しい話だ、捕まってしまうなんて。リスクがでかすぎることを知らないでやるからそういうことになるのだ。
 この間だって、失笑難題の小田を殺すなんて予告を出して即通報されたアホがいる。もう、アホの中のアホだ。
 無差別に殺すのは駄目でも、一人なら有名人でも通報されまいと思ったんだろう。
 甘すぎて糖尿病になってしまいそうだ。気持ち悪い。

 そんなある日、予告文のエキスパートを名乗る人間が、掲示板の書き込みに歯止めをかけるべく、『予告文を書こう!』というサイトを立ち上げたことを知った。
 なんでもいいからここに予告文を書きこんでいくサイトなんだそうだ。夕飯のレシピから国家戦争予告まで、なんでもござれらしい。
 俺は、そこに底知れぬ魅力を感じて登録した。
 さて、初めての予告文執筆だ。
 まずは、どうして彼等が捕まったかを考えてみるとしよう。
 でも、これは少し考えればわかる。第一に殺すなんて物騒だし、誰も喜ばないようなことを言うから間違いなのだ。
 今は冗談でスーパーの卵の殺害予告を出しただけで通報される時代だ。殺すなんて言われたら、やっぱりスーパーの卵でも傷ついてショックを受けるし、スーパーの店員さんも悲しむ。だから通報されるのだ。
 そもそも殺すなんて言葉を使わなければいいんだ。もっと、多くの人が楽しんで騒げる、最高の予告文を書こう。
 よし、決めた! 俺は興奮しながら、サイトに始めての予告文を書き込んだ。
 きっとこんな予告だったら、みんな本当でも冗談でも笑って許してくれるだろう。みんなの喜ぶ反応が楽しみだ。
 
『本日、東納京ひがしのうきょう駅を爆破します。きっと夏にふさわしい見事な花火が見られますね。では、駅で皆さんお会いしましょう。さようなら』

 翌日、俺は逮捕された。

 何がいけなかったのか、と俺は獄中で考えた。
 みんな花火は嫌いなんだろうか? 今でも多摩川で行われる花火大会なんかは、すごい人気があるのに。
 時代の流れに乗り切れない自分がとても甘かったことを、今回はすごく思い知らされた。
 そうだ、今の時代花火なんて恐らく騒音にしかならないのである。つまり、迷惑防止条例とかなんとか、そういうのに引っかかってしまったのだ。迂闊だった。
 獄中をでて、俺は真っ先にパソコンで『予告文を書こう!』サイトに向かう。
 花火がダメなら、何が良いだろう?
 みんな喜んでくれて、うるさくなくて、でもすごく興奮すること。
 口でいうのは簡単だが、考えるのはとても難しい。特にうるさくない、の部分と興奮するの部分が、なかなか合致しない。
 ということを考えているうちに、テレビでは首相が報道記者に質問攻めにあってる映像が流されていた。
「真実を言ってください!」
「これは、全て真実です」
「本当に総理は事件に関係されていないのですか?」
「述べたことが、私の真実です」
 なるほど、今国民は”真実”を求めているというわけか。
 国民のニーズに気づいた俺の頭に、予告文の神様が舞い降りた。
 そうだ! 首相に真実を言ってもらえるような、そんな予告文にしよう。きっとみんな喜んでくれるに違いない。
 ただ、そこで注意しなくては恐喝にならないような予告にしないといけない。つまり、首相に話す気にさせなくてはいけないのだ。
 が、その問題は、首相の汗でピッタリと額に張り付いた、しかし不自然に濃い頭を見ているうちに解決した。
 首相にとって真実を言うための足枷になっているもの、それはすなわちこれだ!

『明日の十時、首相のカツラを奪います。カツラがなくなれば、きっと首相も本当のことを言ってくれるようになると思います。頑張ります。では、ごきげんよう』

 翌日、俺は逮捕された。そして、面会にやってきた首相によって、髪の毛を一本も残らず刈り取られた。


前より勢いがなくなってしまった。コメディとなると、どうしてもシレッとしてしまうのが自分の悪い癖。













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