挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
不正破壊者の我侭姫 作者:桜崎あかり

ステージ1

6/102

エピソード5


 次々と動画アップされていく光景は、デンドロビウム本人も把握していた。
自分のプレイ動画をデータ収集用や格ゲーにおける対戦動画のような形でアップしているようなケースもある中で――異様な光景にも思える。
「まぁ、芸能事務所の連中が自分への批判目的でアップしている訳ではない以上――こちらからは何を言っても無駄だな」
 動画に違法性が感じられないものであれば、運営サイドは動画削除を行わないスタンスを取っている。
それは特定プレイヤーからの削除要請があっても同じだ。一時期、有名プレイヤーが個人的都合で削除を要請した事がネット上で話題になった事もあるのだが。
『どうしても動画削除を要請するのであれば、それ相応の理由を付けて欲しい』
 この時はネットストーカーや特定芸能事務所からの誹謗中傷を受けているという理由だったらしいが、運営としては拒否したという。
運営の言う相応の理由とは、プライバシー侵害や無差別テロ等の事件性が高い物、第3者の著作権侵害――もしくは人格権侵害が確認出来る夢小説等であれば即時対応するのだが、それ以外はスルーされるだろう。
「しかし、特定の芸能事務所が――天狗のようになってコンテンツ市場を食い荒らしていくのも、良い話とは言えない」
 デンドロビウムはコンビニで購入したチョコをかじりながら、テーブルに置かれているコーヒーに手を付ける。
チョコの袋には《黒雷》と書かれていたのだが、このスティック型チョコはコンビニ等でも人気の部類だ。
何故、彼女がこうした人気のある菓子を複数購入しているのか? おそらくは鉱物の可能性が高いのかもしれない。
「運営が動きを見せないのは、証拠がないと言うよりも――犯人をおびき寄せているのか?」
 デンドロビウムは、運営が動画削除に積極的ではない理由に犯人をおびき寄せている説を考えた。
超有名アイドルの楽曲に差し替えた動画は問答無用で削除されているのは、動画投稿者が著作権に詳しくないからだろう。
しかし、超有名アイドルファンやアイドル投資家はその辺りの法律も詳しい可能性が高く――別の手段で潰しにかかるのは目に見えていた。
「とにかく――この件は様子を見るか」
 その後、デンドロビウムは黒雷を1袋食べ、ゴミは持ち歩いている袋の中に入れた。
ARゲームのアンテナショップに行けばゴミ箱もあるだろうが、今はゴミはひとまとめにして持ち帰った方が早いかもしれない――という判断なのだろう。


 デンドロビウムとは別の視点で今回の動画騒動を見ている人物がいた。彼は事務所の一角ではなく、入口付近でタブレット端末を見ている。
それは武者道の社長と言うポジションにいる山口飛龍やまぐち・ひりゅうだった。
彼はARゲームの運営サイドにまでは介入しておらず、この辺りは運営に一任している。その理由は色々とあるようだが――。
「ネット炎上するような案件を放置するのも、非常に危険だとは言ったが――」
 タブレット端末で動画のいくつかをサムネイル画像の段階で判断し、この動画を再生するまでもないと動画のタグで判断する。
動画を再生する時間の無駄と言う訳ではなく、色々と彼なりの理由があるのかもしれない。
「しかし、運営の方針に口出しをしない事を約束している以上――今は様子を見る事にしよう」
 山口も運営側へ匿名で通報しようとも考えたが、運営の方針等には口出ししない事を約束していた為、今は様子を見るしかない。
事件が巨大化しては危険なのだが、それによって現れるガーディアンと見せかけた悪目立ち勢力の方に警戒すべきだ。
「この事件の真相を知っている人物は――」
 しかし、山口は一連のネット炎上を含めた事件には裏があるとも考えている。
それを踏まえると、下手に事件を早期解決させようとするのも危険かもしれない。


 デンドロビウムのプレイ動画では、相変わらずのチートじみた動きや攻撃をする相手プレイヤーが悪目立ちしている。
その一方で、デンドロビウムはロングビームライフルやビームサーベル、アンカーアームと言った武器で相手プレイヤーを次々と吹き飛ばしていく。
「飛行ユニットではないのに、なんて動きをする!」
 サブマシンガンで武装した重装備ガジェットを使うプレイヤーが、飛行能力を持たないデンドロビウムに驚いていた。
飛行ユニットが数人単位で空からデンドロビウムを攻撃しているのだが、それでも有効なダメージは与えられていないのである。
デンドロビウムは飛行能力を持たなくても、ビームライフルは半径50メートルであれば飛行ユニットを落とせるし、アンカーアームやシールドビットは無線が届く範囲ならば射程無制限と言ってもいい。
これだけの重装備ユニットを操っているのに、操作ラグや誤差は0.0005程度――絶対無敵ではないはずなのに気づかないプレイヤーが多いように思える。
その原因は、彼らが使用するARガジェットがチートガジェットと言う事もあり、チートの力でデンドロビウムに100%勝てると言う幻想をいだいていたからだろう。
その結果として、彼らは慢心した結果――デンドロビウムに圧倒的な力で叩き潰されるのである。
【あのプレイヤー、チートなのか?】
【1P側はチートではないだろうな。あのスピードを踏まえると、だが】
【2P側のプレイヤーは、ほとんどがチート使いじゃないのか? 下手にチート使いに関わると失格になると言う話もある】
【あくまでも反則を取られるのはチートを使ったプレイヤーだけだ。連帯責任と言う事はない】
【旧ガジェットのチートや不正チップであれば、マッチング前に判定されて参加不能になるはずだ。それが機能していないのはおかしいが――】
 チートに関しては、動画のコメントでも言及されているのだが――あまり深くは追求しない雰囲気なのは間違いないだろう。
深く関わり過ぎて、今度は自分が使うようになっては終わりだと言う事もあるからだ。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ