挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
不正破壊者の我侭姫 作者:桜崎あかり

ステージ1

5/101

エピソード4


 あるアンテナショップ、そこには先ほどのコーヒーを飲んでいた青年がセンターモニターの中継を見ている。
他にも数人のギャラリーがパイプ椅子を自分で用意したり、茣蓙を敷くなりしてスペースを確保して視聴していた。
茣蓙を敷いてスペースを独占するのは本来であればNG行為に該当し、ネット炎上案件になりかねないだろう。
しかし、このアンテナショップでは特定のNG行為には目を光らせる一方で、一部の行為は免除をしていたのである。
「チートはチートであり、それ以上でもそれ以下でもないのは――分かっているだろう」
 先ほどの青年は北条高雄ほうじょう・たかおの発言を気にしていた。
彼女はチートとバランスブレイカーを同列に語られる事に対し、不快感をあらわにしていたのだろう。
しかし、何故に同列で語ってはいけないのか? バランスブレイカーが壊れ性能であるという事でチートと同列にされる事は今に始まった事ではない。
それなのに――である。彼女の思考が若干古いのか、それとも家庭用ゲーム機のゲームと同列でARゲームを買っているのか?
「ARゲームもイースポーツ化や大手ゲームメーカーの参入、町おこしとしてのゲームタイトル立ち上げ――何が変わったというのだろうか」
 彼は超有名アイドルの芸能事務所がゴリ押しのコンテンツ流通を仕掛けようとしていた時代と、今のARゲームの現状で何が違うのかが分からなかった。
一体、何処に違いがあるのか? 決定的な違いとは――。


 7月10日――お昼頃には次々と動画がアップされていったのだが、その動画の中身はある共通点が存在していたのである。
それは、デンドロビウムが参戦していたことだ。別視点の動画と言う事だが、数十単位で動画がアップロードされるのも妙だった。
同じバトルの動画が数十個も――と言う事であれば、一部の動画に権利侵害やまとめサイトのリンクが貼られたダミーと言う路線もあるのだが、今回は別だったのである。
「これは、どう考えても――」
 この光景を見ていたジャック・ザ・リッパーは、別の意味でも戦慄する。その表情はARメットを被っている為に確認出来ないのだが。
動画自体はデンドロビウムのプレイ動画オリジナルもあるのだが、それをベースにした俗に言うMAD動画も存在していたのである。
権利侵害で削除されるのはテレビ番組の違法アップロードやアドベンチャー系のゲームの実況動画に代表される売り上げに支障が出るケースと言った部類に限られていた。
つまり、今回のデンドロビウム関係の動画はARゲーム側が悪質と判断せずに放置しているのが正しいかもしれない。
ARゲームの運営サイドとしては、作品を意図的に貶める目的、政治的思想を含む物、特定芸能事務所を神格化するような物はアウトと考えている。
実際、アーケードリバースの劇中曲ではなく超有名アイドルグループの楽曲に差し替えた動画は既に削除されていたが、対応したのはこれ位だ。
「特定プロゲーマーを勇者に仕立て上げ、芸能事務所を潰そうと言う計画でも――動いているのか」
 この動きをジャックは警戒する。一部のゲーマーを神格化すれば、他のゲーマーを集中的に叩くような状態もあり得るだろう。
それに、このような一部の人物を神格化するような行為は超有名アイドル事件でも繰り返されており――いわゆるテンプレ芸とも言える。
「しかし、ここまでの情報戦を展開する事に意味があるのか? ARゲームが他の作品よりも人気がない、知名度が低いのであれば――!?」
 ジャックは何かに気付いた。ARゲームの人気は、ソシャゲやVRゲーム等と並ぶクラスで人気となっている作品もある。
しかし、海外への進出と言う可能性もニュースで取り上げられる事があるのだが、その手の話は株式市場の操作などと一蹴されてしまう。
ARゲームは日本国内限定とも言うべき存在――ある意味でも神格化されている可能性は高いだろうか。
情報戦をすれば、逆に芸能事務所やマスコミなどに悪用され、風評被害などでARゲームが運営終了になる可能性が高い。
ある意味でも情報戦はもろ刃の剣と言える物だった。それを覚悟の上で行う意味――ジャックは何となくだが予測できる。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ